魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
「危なかった…」
瓦礫の間を通り、溜め息をつく。
しかしサイドミラーに男の姿が無い。しかも後方にサーチしていたがキャッチされない。
見失った事に焦りを見せるフェイトに、バルディッシュの声が飛ぶ。
前を見ると、遠方に止まっている男の姿があった。男は既に銃を此方に構えている。
「……ッ!?」
フェイトに向け銃弾が撃たれるが、オートシールドによりガラス前で防いだ。
咄嗟の反応でハンドルごと動かし身を隠した所為で、車の進行が大きく擦れ歩道に乗り上げ電灯の支柱に衝突した。
フロントは凹み、エンジンは完全に停止した。
「Are you all right,sir?」――
「大丈夫ですか、サー?」
「う……うん…大丈夫…」
ハンドルに前屈みして寄せる。視線を右に向けると、男は銃を下ろし背を向けて去った。
「行った…?どうして…?」
開きづらくなったドアを開け、外に立ち尽くす。
小さくなっていくバイクを、只見つめ続けていた――。
クラナガン郊外のステーション。
出入口に2人の少年少女が出て来た。
外見は子供なのだが管理局の制服を着ている。不揃いな格好でも世界を守る局員なのだ。
赤髪をした少年とピンク色の髪の少女――。
少年の掛けるバッグには、隙間から小さな白竜が顔を出す。
「きゅるくーッ!」
「そうだねフリード、やっと着いた…」
「遠征の任務だったから疲れちゃったね」
「うん。でも報告を頼まれたお陰でミッドに来れたから良かった」
「フェイトさんやスバルさん達に会えるといいね」
少年の名はエリオ=モンディアル。
歳は11。
フェイトを後見人として引き取られた施設出身の男の子。
一年前の機動六課で新人フォワードのガードウイングを勤め、JS事件を解決に導いた。
過去、スカリエッティを中心に実行されたプロジェクトFの人造魔導師でもある。
少女はキャロ=ル=ルシエ。
歳は11。
ル=ルシエと呼ばれる一族の生まれで小さな白竜――フリードリヒを持つ竜召喚士。
だが高い能力故一族から追放され施設にいた所、フェイトに引き取られエリオと同じく後見人とされる。
彼女も機動六課でフルバックを勤め、新人フォワードとして力を振るった。
現在は2人共辺境自然保護隊に戻り、長期遠征を終えこのミッドに来たのだ。
「ええと、地上本部に行くには…」
エリオがキョロキョロと辺りを見回すと、遠くの方に見覚えのある人影があった。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威