魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
通信を続けるティアナの横で、エリオはバイクの周りに漂うフェイトの魔力を感じ取る。
「確かにフェイトさんの魔力だ。微かに感じる」
「でも犯人の魔力は感じられないね」
「そりゃそうよ、犯人には魔力は無いし…更には『質量兵器』を使っていたらしいから…」
報告を終えた後、2人の間に割って入る。
「“質量兵器”!?」
世間に出回る脅威に驚く一方、恐ろしくもある。
それが子供なら尚更だ。
「兎に角、早急に確保する必要があるのよ。アンタ達、地上本部に行くのよね?他の局員と一緒にこのバイクを本部に持っていってくれない?多分ヴァイス陸曹長がいらっしゃると思うから」
「あ、はい。分かりました」
『ヴァイス=グランセニック』――地上本部のヘリパイロット兼武装隊に属する。
一年前の機動六課に配属し、ロングアーチのヘリパイロットとして皆を支えた。
過去のトラウマがあって武装隊を除隊していたが、克服して復隊している。
「私は周囲を見て回るから。まだ近くに潜んでいるかもしれないし…」
「分かりました、気を付けてください」
2人に手を振り、ティアナは早足で去っていった。
視線をバイクに向け、それはポツンと佇んでいた。
BEAT第3棟部は、応援要請の対応で忙しなく人が行き交っていた。
一階は特に出入りが激しくガヤガヤと騒いでいる。
そんな中、シグナムが部下を引き連れ第3棟部に入って来た。
「隊長、武装隊の準備は完了しています。何時でも出撃出来ます」
「分かった」
「それと、ランスター執務官補の報告によると犯人が乗っていたバイクを発見したそうです。既に回収して此方に向かっています」
「そうか。流石はティアナ、動きに無駄が無いな」
「シグナムーーッ!!」
彼女を呼ぶ声。見ると、遠くから小人ように小さい、悪魔のような羽、シグナムの騎士服に似た赤色の服を着たアギトが浮かんで向かって来ていた。
「アギトか。検査は終わったようだな」
「ああ。いろんな項目があって大変だったけど、これで正式に管理局員になった訳だ」
「これからは気を引き締めていかなくてはな」
「言われなくても分かってるって!!」
エレベーターに向け歩いていた所、不意にシグナムと局員の男性の肩がぶつかった。
「も、申し訳ありませんっ!!」
「いや、私こそすまない。余所見をしていた」
「すみませんでしたっ!!」
男性はそそくさとその場を後にする。
アギトの視線が男性に向くが、気にする事無く背を向けた。
シグナム達はエレベーターへと歩いていった。
振り返り、彼女らを見つめる男性。
何事も無かったように歩き出し去っていった。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威