魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
「なっ…!?」
「アンタ、シグナムやないな」
デバイスの先端を見つめるシグナムに、はやては鋭い瞳を突き付ける。そして、警戒しながらリインは彼女の側に移動した。
「主はやて、何の冗談を…!?」
「冗談やないで。アンタは知らんやろうけど、シグナムはフェイトちゃんの事を“テスタロッサ”っちゅうんや。せやけどアンタは“フェイト”って言うた。もう後戻りはでけへんで。さあ、どうするんや?」
「………」
シグナムの焦りの表情は嘘のように消え、無表情になる。
そして瞬時にはやての首を掴み、壁に押し飛ばした。
「がはッ…!!」
「はやてちゃん!?」
リインがはやてに向かって飛び出した。
だが、刹那にシグナムが振り向き右手の甲でリインを叩き付けた。
「きゃッ…!?」
勢い良く床に当たり、額に一筋の血を流しぐったりと倒れ込んだ。
「リイン!?……ッ…!?」
壁に凭れ掛かって座るはやてを、シグナムは首を掴み持ち上げた。
「がッ…!!……な、何すん…ねんッ!?」
「こうも早く暴かれるとは…コピーする情報検索を増やさねばな」
「…“コピー”…ッ…?」
「だが、“あの女”よりこれは優れた身体だ。メモリーに保存しておくか」
「“あの女”って……ま…さか……フェイト…ちゃん…!?」
「そうだ、私が襲った。魔法を調べる為にな」
「なッ……どういう…事…や…!?」
「お前が知る事では無い。私が聞きたいのは只一つ…」
「………」
「死神の詩(レクイエム)は何処にある?」
「“れく…いえ……む”…?」
「言え」
握る腕を強くする。苦しさから、はやての口元から涎が垂れる。
「苦しいのは分かっている」
「苦しいも…何も……そんなもん……知らへん!!」
「そうか…じゃあお前は用済みだ…死ね」
拳銃を取り出し、銃口をはやての額に押し付ける。
「ぐッ…!!」
はやてと敵が邂逅する数分前――。
45階第1収監室――この部屋には、レイルとT‐900がいた。
自主的に入った事もあるのだろうか、あれから大人しくしているようだ。
両手首には未だバインドが掛けられ、その効力は維持し続けている。
無機質な室内が、静寂を嫌ほど感じさせる。
ふと、T‐900の脳裏に何かが反応した。
自分では“それ”が何なのか見当がつかないが、“それ”は次第に膨大になっていく。
そして“それ”を追尾していくと、ある部屋に辿り着く。
扉を透き通ると、白黒に映る光景に只一つ――碧色に光る小さな球体が色を付けていた。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威