魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
エレベーターが最上階に到着する。
扉が開くと、この世と思えない光景が目に飛び込んで来た。
戦いを経験している者にとっても、これは不快極まりない。
そこは――血の海だった。
銃弾を脳天に撃たれた者。
或いは斬り刻まれた者。
男女問わず絶命していた。
「酷ぇ…」
「………」
「……行こう」
惨事を横目にしつつ、先に進む。
やがて司令室に着くと、扉の前に男性局員が倒れていた。
レイルが生死を確認するが、既に命は尽きていた。
「心臓を一突きか…。もう死んでいる」
そして刹那に、シグナムがレヴァンティンで扉を両断した。
「……ッ!?」
見ると、はやてが首を掴まれ額に銃口を押し付けられていた。更に、向こうでリインが頭から血を流し倒れ込んでいる。
しかし、その相手がシグナムと姿形が瓜二つだった事に、重ねて驚愕した。
「なッ…!?」
「シグナム…!?」
「はやて!!」
「バッテンチビ!!」
「み…みん……な…」
“偽のシグナム”がゆっくりと横を向く。
そしてその時、ショットガンを構えたT‐900によって弾が撃たれた。
着弾した敵は仰け反り、はやては解放される。
刹那、T‐900は突進――フラつく敵を抱き抱え、そのまま窓ガラスを割って外に放り出た。
「がはッ…ごほッ…!!」
床に付き首を押さえてむせるはやてに、ヴィータが近付き労る。
「はやて、大丈夫か!?」
「……無事…や……それよりあの娘が…」
「ターミネーターは落ちても死なない。身を呈して守るのが軍人という者だ」
「主はやて…申し訳ありません……私共がいながらこのような失態…!!」
「ええよ。私かてすぐ気付けばこのような事…」
ヴィータの支えで立ち上がり、デバイスを待機形態へ戻す。
「せやけどリインが…」
「おいッ、バッテンチビッ!!返事しろッ!!」
身体を揺らすも、彼女は目を覚まさない。
「待ってアギトちゃん、脳震盪を起こしているかもしれないわ」
シャマルは両手で優しくリインを持ち上げた。その様子をアギトは涙目になりながら見ている。
「兎に角此処を出るぞ。奴は執拗に俺達を殺しに来る。もう此処には戻れない…」
「てめぇ…バッテンチビは怪我してんだぞ!?この階の奴らだって……そんなに我が身が大事かよ!?」
「誰だって自分の命は惜しい。どんな屈強な奴でもだ。死んだ者は助からんが、ソイツはまだ生きてる。移動しながらでも治療出来る筈だ」
落ちたショットガンを拾い、レイルは部屋を出て行った。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威