魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
「くっ……!!」
「落ち着けアギト。今助かる命がある。何を優先すべきか考えろ」
「……分かった」
シグナムを先頭に部屋を出る。すると、はやての目に絶命した男性局員が映る。
「死んでるんか!?」
無言の答――。
それを理解したらしく、表情(かお)を歪ませる。
しかし、その先にある無惨な光景を見てはやては更に絶句した。
血みどろの床一面に死体の山――。
急に気持ち悪くなり、はやては壁の隅に嘔吐した。
「はやてッ…!?」
「……酷い…酷すぎる…!」
窓ガラスを割った後、勢い良く落ちていく。
身体ごと押さえるT‐900を、“シグナム”はいとも簡単に擦り抜け左腕を伸ばし指を柱に減り込ませる。
衝撃を伴いながらも、ブレーキを掛けていく。
爪痕に似た痕が、ビルの中央付近まで柱に長く付いた。
脚に違和感を感じ右脚を見ると、辛うじて落ちなかったT‐900が足首を握っていた。
そのままよじ登り始めると、敵は脚を振り彼女を柱に叩きつけた。
衝撃の後人形のようにフラつく彼女に、再び叩きつけて追い撃ちを掛ける。
遂には握る手が離れ、T‐900は下へ落ちていった。
落下していく彼女を見つめ、敵は傍の窓ガラスを殴って割った。
ルーム内に響く割れた音。
刹那の出来事に、中にいた局員はどよめき始める。
「な、何だ…!?」
「どうしたっ!?」
「シグナム隊長っ!?」
一人の局員が、外から飛び込んで来た“シグナム”を見て叫ぶように言った。
視線の集中を受ける中、“シグナム”は気にする素振りもせず真っ直ぐ扉に向かい出て行った。
落下したT‐900は、勢い良く地面に衝突した。
円形に深く凹んだパネルの床が、その衝撃の強さを物語っている。
ドスの聞いた轟音に、近くにいた人は驚きを隠せない。
辺りがざわつき始め“クレーター”に人だかりが出来ると、倒れるT‐900に注目が集まる。
「な、何…?」
「何か落ちてきたぞ…」
「人間だっ!!」
「死ん…でるよな…?」
不揃いに言葉が飛ぶ。その時、彼女が急に起き上がり周囲は慌て出した。
ある筈のない連続する出来事に動揺を覚える程である。
しかし彼女は、さも当然に立ちビルへと歩いていった。
あっけに取られる市民を尻目に、背を向け続けた――。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威