魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
逃走するレイル達は、エレベーターの前に到達する。
遺体の散乱を気にする時間さえも無い。
今は逃げなければいけないのだ。
「エレベーターから行くのか?」
「逃げるのは早い方がいい。それに敵の裏をかける」
扉が開き、中へと入っていく。
はやては戦意喪失してしまい、立つこともまともに出来ない。ヴィータが支えになって共に動いている。
シャマルは掌でリインに治癒魔法を掛け続けている。
エレベーターが作動すると、レイルはマシンガンのストッパーを解除し構えを整える。
「お前…!」
「質量兵器……っていったか…。これは俺達の唯一の武器だ。駄目だと言っても使わせてもらう」
「てめぇ…ふざけん…!!」
「アギト、いい」
「シグナム…!?」
「……武器使用は許可するが、弾はこれを使ってもらう」
シグナムが差し出したのは、金の薬莢が込められた複数のマガジン。
多少小さいが、見慣れた物なので何がどう違うのか見当がつかない。
「……?」
「これは魔力が込められた弾丸だ。撃たれた際に鉛ではなく魔力弾として放出される。使用者の魔力の有無に関わらず使用可能だ。サイズは共に自動で武器に合わせてくれる」
「………」
無言のまま、マガジンを受け取る。
(魔法での攻撃は認可されている……自分勝手な組織だな……)
「実弾は預からせてもらう」
「……分かった」
全てのマガジンを外し、シグナムの掌に渡す。
階数モニターが1階に近付いていくのを確認するや、適合したサイズに変わったマガジンを装填して扉に銃口を向ける。
1階を知らせるチャイムが鳴り、目の前の扉がゆっくりと開いていく。
張り詰めた緊張の中、現れたのは――その場に佇むT‐900だった。
「レイル…」
「…ふっ、お前にはお見通しのようだな」
表情を綻ばせ、マシンガンを下げる。
「マジ!?…あんな高さから落ちて無事なんて…!?」
呆気に取られる彼女等を背に、レイルはショットガンをT‐900に渡す。
「急ぐぞ」
エレベーターから出口へと走り出す。
しかし、その足は止まる事になる。
階段の非常口のドアが破壊され、そこから現れた“シグナム”――T‐Ωによって。
1階にいた局員は状況が読めずに慌てふためく。
「ちィッ…!!追い付かれたか…!!」
シグナムはレヴァンティンを構えるが、レイルが前に出て遮る。
「お前達はヤガミとツヴァイを守れ。そんな状態じゃ話にならない」
リインはともかく、ヴィータが支えているはやては正直言って今は戦力外。シグナム等に守備してもらう方が助かる。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威