魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
解放されたシャマルは、壁に寄り掛かり首を押さえて咳き込んでいた。
「大丈夫かシャマル!?」
「ええ…大丈…夫。それよりヴィータちゃん、デバイス…」
「ああ、ハリー大隊長が全面的に許可したんだ。質量兵器を持った次元漂流者に警戒しろってな」
『質量兵器』――魔法に頼らない物理的な武器の総称。
小型から大型まで指一本でも扱える代物故、管理局発足以降開発及び所持を禁止している。
(手応えはあったが何か変だ。まるで物を飛ばしたような感覚だった…)
瓦礫が動き徐々に姿を見せる。
大して傷は無く、その場に立ち尽くした。
「なっ…!?あんだけやって無傷かよ!?……はっ!?」
一瞬の隙があったのか、女性は既にヴィータの目の前に迫り、殴り掛かる体勢に入っていた。
為す術無く殴打され、扉を破壊して廊下まで吹き飛んだ。
「ヴィータちゃん!?」
女性が廊下に出ようとすると、騒動を聞きつけた数名の局員が集まって来た。
そこにシグナムも駆けつけ、人だかりが彼女を避けていく。
「!!……ヴィータ!?」
廊下で倒れるヴィータに近づく。
「…シグナム……」
「何故バリアジャケットを…!?」
「危ねぇ…ジャケット装着してなかったら大事だった…」
見ると、バリアジャケットの左胸部分が黒く汚れているのが分かる。
医務室の方を向くと、奥にシャマル、手前に迷彩服を着た金髪の女性が立っていた。
「お前は……?」
そのまま廊下に出た女性は、辺りを見渡し左側の奥の向かいに
『THIRD MEDICAL OFFICE』=『第3医務室』
と書かれた部屋を発見し、そこに向け歩き出した。
「おい…」
ヴィータの言葉に立ち止まり振り向く。
刹那、アイゼンを構えたヴィータが彼女の後ろに迫り、後頭部を強打する。女性は飛ばされ、数回床をバウンドして屈んで体勢を整えた。
「やっぱりな……お前、人間じゃないだろ…」
「………」
「何!?そうなのかシャマル!?」
「確かに、彼女の身体は殆ど機械だった……戦闘機人と思ったけど、造りが違うし…恐らく別の…」
「要するに質量兵器の塊だろ?だったら、今此処で破壊した方が良いじゃねぇか?」
「……邪魔をするなら、お前を殺す…」
「…やっと喋ったと思ったらそんな事かよ」
互いに戦闘態勢を取り、睨み付ける。
「止めろ“T‐900”!!」
突然男性の叫び声が、廊下中に木霊する。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威