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モン・トレゾール -私の宝物-

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「で?何があったんだ?お前さんがこんなに泣くなんて初めてだろう?ちょっとはすっきりしたか?」
「…うん」
目も鼻も真っ赤にしながらも、アムロの涙はようやく止まった。
「良かったら話してちょうだいな。私達で解決出来る問題かしら?」
ミライに冷たいタオルを差し出され、アムロはそれを腫れぼったくなりつつある目に押し当てると、ポツリと言った。
「何をされたって訳じゃないの。ただ…私なんか、たいした価値は無いんだなぁって実感させられたら、何だか……」
「お前さんが?!」
「価値が無いですって?!!」

「「誰がそんな事を言った(のっ)!!」」

ノア夫妻の怒声が揃って発せられ、その勢いに吃驚したアムロは、目の上のタオルを落としてしまう。
慌てて二人を見ると、握り拳を作って怒りに震えていた。

「あ……あ、のぅ〜」
「アムロに価値が無いだなんて、そんな事、天地がひっくり返ったってありえないわ。こんなに可愛くて頭が良くて優しい頑張りやさんは、他にはいないわよ」
「そうだぞ。お前さんに価値が無いってんなら、俺はどうすりゃいいんだ?ハエかゴキブリ並みの扱いになるぞ」
「えっ?やっ。そんな事無い!ブライトさんは立派な夫で父で店主だよ。一人前の社会人として、立つ位置を確保してるもの。私なんか頭ばっかりの世間知らずですもん」
「アムロ?どうしてそんな風に思っちゃったの?この前の就活が失敗したのが、そんなに堪えちゃった?」
「それなら本当にここに就職してくれよ。アムロが一緒に仕事をしてくれるなら、店の拡張も視野に入れられそうなんだぞ」

ノア夫妻が自分を高く評価してくれる事は凄く嬉しい。
しかし、今回の出来事が、何だか就活の不成果以上に自分を落ち込ませていると感じていたアムロは、事の次第をポツリポツリと二人に話して聞かせた。

内容を聞いた二人は、再び激怒した。
「失礼が過ぎるわね。その男!」
「親切にしてくれたお前さんを、馬鹿にするにもほどが……?!シャア?シャア・アズナブルって言ったか?そのCEO」
「うん??クワトロ・バジーナは偽名で、シャア・アズナブルが本名だって……」
「そいつは、金髪に碧眼のえらく顔が綺麗な奴だったか?眉間に小さな傷痕のある…」
「あ〜〜。そう言えば…。傷痕…あったような」
「あいつか!!」
「あら、ブライト。貴方のお知り合いなの?貴方、そんな大企業のTOPと知り合いだった?」
「ほら。ジュニアハイは俺、フランスに居たって言っただろう?あの時の同級生だ。シャア・アズナブルは」
「そう言えば貴方。ご両親のお仕事の都合で、世界各地をあちこち移り住んだって言ってたわね。フランスで一緒だったの?」
「ああ。G―0Nの本部は、たしか北フランスだったと思う。奴はあの当時から女にもてたからなぁ。黙って立っていたって女達が寄って集って来てた。人妻から幼稚園児まで…な」
「まっ!最低!!」
「いや…。奴が悪いわけじゃ無いと思うが……」
「だって、遊ぶ相手に事欠かなかったんでしょ?アムロをその一人として扱ったのなら、私、許せないわ!!」
「ミライさん。私、別に、遊ばれたわけじゃ…」
「本当に玩んだなら、今すぐG―ONへ乗り込んで、CEOの大事な所を切り取ってやるわっ!」

ミライの激怒具合に、アムロのみならずブライトも恐怖し、ついつい自分の股間をそっと押さえた。

「だからアムロ。そんな最低な人の扱いに、貴女が傷付く事無いわ。どれだけ一流企業のTOPをしている人だろうと、貴女と比べたら雲泥の差、月とすっぽんなの。貴女をそんな人が遊ぶ相手にするだなんて豚に真珠、猫に小判だわ」
「あ、あのなぁ、ミライ。ことわざ百科じゃない…んだぞ?怒りの度合いは十分に伝わったがな」
ブライトは宥め役に転向せざるをえなくなってきた。

そんな様子を見ていたアムロは、胸中に巣くっていた淋しさや虚しさが薄らいでいくのを感じて、フッと笑った。
まだ目元も鼻の頭も赤かったが…。

「笑った。ようやく笑ったわね、アムロ」
ミライが、こぼれたアムロの笑顔に、怒りの矛先を納めた。
「貴女のその笑顔が私、大好きよ」
ミライも嬉しそうになって、アムロを抱きしめてきた。アムロもミライを抱きしめ返して、クスクスと笑いあう。
その様子を見ていたブライトは、血の繋がった仲良し姉妹のように感じて、顔を綻ばせた。

 二人が再び怒りの鉾を持ち上げたのは、これから数日後。
 G―ONからの採用通知がアムロの元に届いたと聞いた時だった。