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モン・トレゾール -私の宝物-

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Lien -絆-


 「そう言えば、このピアス。貴方のだよね」
アムロが襟元からズルズルと鎖を引き出し、その先にある金属製のピルケースを開けてシャアに差し出したのは、赤い石の付いたピアスだった。
「ああ。私の物だよ。大切に取っておいてくれたのかい?嬉しいよ」
シャアは差し出されたピアスを受け取りもせず、アムロの顔を見詰めて微笑んだ。

シャアがアムロをG−ONに入社させるとブライト達に宣言し、アムロがそれを受け入れてくれた後。
蹴られた脛の痛みすら、今のシャアは忘れ去っている。
何がそれほどシャアを喜ばせたのか。

『アムロが…アムロが、私のピアスを胸に入れていてくれたのだ。紛失しないように、ピルケースに入れて、首から下げて、常に持ち歩いてくれていたのだ。私のピアスを…』

シャアの頭の中はハレーションを起したピンク色という状態だ。
自分との接点になると考えて、アムロの部屋のベッドの上に片耳のピアスを残してはおいた
しかし、それを常に持っていてくれるとは思ってもいなかっただけに、シャアの舞い上がり具合は相当だった。
ニコニコと笑うばかりで受け取らないシャアに、アムロが首をコテンと傾げた。
『かっ可愛い!』
シャアはやに下がってしまった顔を戻す努力を放棄している。

「ねぇちょっと、ブライト。あの人、大丈夫なの? アムロを見たっきり、ニコニコしっぱなしなんだけど…」
「うぅ〜〜ん。大丈夫…だと思いたいんだが…。あんな奴だったかなぁ? もっとクールだった印象が…」
ノア夫妻も、シャアの様子に疑問を抱いた。

「ねぇ。貴方のなら受け取って欲しいんだけど。こんな馬鹿高そうなもの、私持ってたくないんだけど…。って、聞いてるの?」
相変わらずアムロの顔ばかり見詰めて動こうとしないシャアに、アムロは痺れを切らし始めていた。

「馬鹿高いって? アムロ、それは何なの?」
アムロの言葉に反応を返したのはミライだった。

「えっと。よくは判らないんだけど、レッドダイヤじゃないかと思うの。屈折率の感じとかがルビーじゃないし、刻印がDってなってたから」
「「レッドダイヤ?!!」」
ノア夫妻の悲鳴に似た声がハモって発せられた。
「レ、レッドダイヤって…。た、確か、1987年に1ctで1億円以上の値が付いたって聞いたことが…」
「何故、円相場で言うの? ブライト」
「いや、その記事を読んだのが日本だったから……」
「そう…。だとすると、このダイヤ、何ctなの?小指の爪位ありそう…」
「2.5って刻印されてました」
別れてからずっと持ち歩いていたせいか、幾分慣れが入ったのだろう。アムロが比較的ケロリとして答える。
「「2・5ct?!!」」
再び夫妻の絶叫めいた声がハモる。
「か、か、返せ!! アムロ!! それ!早く!! そいつに返しちまえっ!」
「そうよ! 早く受け取らせてしまいなさいなっ!!」
「受け取れっ! シャア!! 早くっ!!」
ノア夫妻がシャアを急かしたが、シャアのほうが一向に気にした素振りはない。それどころか―――

「それはアムロが持っていてくれないだろうか。今まで持っていたようにそのケースに収めて」と、予想不可能な返事をかえしてきた。

「「「はぁ??」」」
今度はシャア以外の3人の疑問符が重なった。

「君に渡したのは右耳のピアスなのだよ。私はヘテロだからね。左耳のピアスがあれば問題ない。それは君に託す。よろしく」
ケロリとした答えに三人は固まった。
「どうせなら付けてもらっても…。ああ。アムロはピアスホールを開けてなかったか。なんなら私が開けてあげよう。そして、このピアスを右耳に付けてくれると嬉しい」

シャアはスルリとアムロの傍に近付き、アムロの右の耳朶に指先で触れた。
細かな産毛に覆われて、アムロの耳朶は凄く柔らかだった。

『我家の後継者の証であるレッドダイヤのピアス。その片割れを渡すと言う事は、配偶者たる者だと言う事になる。そして、右耳に付けるという事は、私の想いに答えてくれると言う意味になる』

シャアの頭の中では、アムロを自分の物にする事は、至極当然に感じられていた。
アムロほど、自分を揺さぶる相手に出会ったことは今までなかった。
純粋な優しさと思いやり。
それが自分だけに向けられたらどれだけ幸せに感じる事か…。

わずか2日。
正味で言えば一日に満たない時間だったが、シャアにとってのアムロは、何者にも替え難い相手となっていた。

シャアは無意識にアムロの耳朶を触りまくっていた。すると、触れている耳朶の温度が高くなっていく事に気付いた。

「アムロ? 君、熱でも?―――グワッ!!」

アムロの顔を覗き込もうとしたシャアの足に、激痛が走った。
アムロがシャアの足の甲を、思いっ切り踏んづけてグリグリとやっているのだ。

「何すんのよっ! あんたって人わぁ!! 勝手に触んなっ!!」
思う存分踏みにじると、アムロはシャアの足を解放した。

『そうだった。アムロは口より先に腕やら足やらが繰り出されるのだった』
シャアは涙を浮かべながら甲を撫でた。

「す、すまない…。あまりに触り心地が良かったものだから…。つい」
「あんたは誰彼構わず『つい』触るわけ?! 相手の許可も取らずに!! そう言えば、ベッドで私を抱いてたのも無許可だったわよね!」
「「なにぃ?!!」」