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モン・トレゾール -私の宝物-

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「ちょっとした傷なら舐める方が治りは早い。唾液には自浄作用があるからね」

クワトロはアムロの指先に絆創膏を貼りながらそう言ったが、当の本人は許容量オーバーの出来事にほとんど反応を返せないでいた。
そうこうしているうちに焦げ臭い匂いがし始めて、初めてアムロは我に返った。

「やだっ!フライパン!!」

慌てて火から降ろすと、フライパンを濡れた布巾の上において熱を下げる。
お蔭で料理は辛うじて炭化して食べれなくなるという事態を免れたのだが、やはり少し焦げてしまっていた。

「あ〜あ。ミライさんの美味しい卵とじがぁ〜」
アムロはがっくりと項垂れた。

「これは卵とじと言うのか?初めて見る料理だが美味しそうな香がする。何処の料理なのかね」
「日本って言ってた。ミライさんのご両親は日本人なんだ。だからお店で出される料理は和食が多いわ。とは言っても家庭料理がメインだから、料亭?とか言う処で出されるような眼が飛び出そうな程高い料理じゃないし、他にもアジア圏の料理や欧州の料理も出してるの」
「そうか…。だからカードが使えないんだな」
「こんな下町でカードなんて信用されないわよ。現金至上主義ですからね、一般庶民は!おまけにブラックカードなんて見た事もないし、偽物だって思われるのがオチね。……貴方、この下町で、ブラックカードで買い物しようとしたってわけ?ばっかじゃないの?!」
「むっ……」
クワトロは反論したくても事実なだけに何も言えない。

「まだ、携帶電話のマネー機能の方が有効だわ。あの、♪チャリーンッ♪って音が、お金入った〜って心境にさせるもの。さぁ、どうぞ」

アムロは焦げ付いた所を避けて、丼に入れた白米の上に卵とじを乗っけると、クワトロの前に出してやる。
電子レンジからはシュウマイと餃子が加熱されて出された。

「え―――っと、スプーンはないのかな」
クワトロはテーブルの上を眺めると、困ったように言った。

「和食や中華は基本、お箸で食べるものなの。使えないの?」
「お箸?……ああ、これか…。・・・・・・使えない事もないが……上手には……」
「しょうがないなぁ。あ!まさか先割れスプーンじゃなきゃ嫌だっなんて、言わないわよね」
「はぁ?先割れスプーンとは何だ?」
「ああ。いいの。知らないならそれで。……はい、スプーン」
アムロは男がホッとしたようにスプーンを受け取り食べるのを見ていた。
ひと匙掬い、口に入れるなり、クワトロの目が見開かれた。


「旨い!!こんな旨い和食は料亭でも食べたことがない」
その一言を最後に、クワトロは猛然とスプーンを動かし、あっという間に完食してしまった。
アムロがシュウマイや餃子を隙を見てどんぶりにいれてやったが、それも一緒にである。そして、食べ終わっても尚、アムロの分をじぃっと見詰めてくる。その視線が捨て犬か捨て猫が餌をくれる人に投げかけてくるものに似て見えて、アムロは無碍に出来なくなった。

「まだ、食べたいの?」

問われて、初めて自分が物欲しそうにしていたのだと気付いた男が、慌てたように首を横に振った。
「いやっ!!それは君の朝食だろう?しっかり食べないと大きくなれないだろう?いいよ、私は…」
「あのね!そんな顔されて言われても、真実味に欠けるって言うの。大丈夫よ。私ならいつでも食べさせて貰えるし、シリアルバーで過ごしたって気にならないから。どうぞ、召し上がれ」

アムロは自分の前に置いてあったどんぶりをクワトロの前に押しやった。
立派な身なりをした男が、羞恥に顔を赤らめながらも嬉しそうに食べ始めるのを、アムロはふわりと笑いながら見詰めた。