二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

君を守る

INDEX|2ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

1章



ここは、いつも椿が使う登下校の道とは真逆の方向。
学校から歩いて30分程行った所にある商店街の一角。
商店街のちょうど中間にある、花屋のすぐそば・・・の電柱の陰。
「おいっ!!押すなよ姫子!!」
「あたしちゃうわっ!スイッチが押してんねんっ!!」
「こらこら、あまり騒ぐと見つかってしまうぞ。」
スケット団はその電柱の陰に一塊になって潜んでいる。
はたから見たらおかしな光景だ。
先ほどから通り過ぎる買い物客が、ちらちらといぶかしげに見ている。
しかし、三人の視線はある一点に集中している為、その視線にも気づいていないようだ。
そしてその三人の視線の先には、椿佐助。
何やらそわそわと時計を気にしながら、花屋の前に突っ立っている。

「何やってんだ椿のやつ。」
「なんや、花でも買うんやろか?」
「花屋の前で仁王立ちする高校生。不思議な光景だな。」
三人は首をかしげる。

不意に椿の視線が一点に止まった。
花屋のほうに小走りで近寄っていく。

「あっ!!!椿が動きよった!!!」
姫子が思いっきり声を上げたため、ボッスンが姫子を押さえつける。
スイッチも唇に人差し指を立て『シーっ』とやっている。
「声でけえよ!」
「ごーめーんー。
 あっ!!花屋からだれか出てきた!!」
またも姫子が声を上げたが、ボッスンもスイッチも今度はそんなことにかまってはいられなかった。

花屋から出てきたのは、女性だった。
年のころは20~30歳くらい、中肉中背。
椿に駆け寄っていく。
それを迎える椿の表情はよく見えないが、体の動きは何やらぎくしゃくしている。
そのぎくしゃくとした動きのまま椿は女性に話しかける。
女性はくすくすと笑いながら自分の持っていた手荷物を椿に手渡す。
二人は2,3言葉を交わし並んで歩き始めた。

「なにあれ、なにあれ、なにあれーっ!!!!」
姫子がキャアキャアと騒ぐ。
「ハッハッハッ。椿もやるもんだなぁ~。」
スイッチが抑揚のないパソコン音声で笑う。
「・・・・。」
ボッスンはというと、何も言うことが出来ずにうなだれている。
「やっぱりなぁ~。そーゆーことやったんやなぁ。ええなぁ~。
 ほら、みてみぃボッスン。椿、手と足一緒に出てるで。
 チョー緊張しとる~。かわええなぁ~(笑)」
姫子が何やら大はしゃぎでボッスンの肩をバシバシ叩く。
しかしボッスンはピクリとも動かない。
いや、小刻みに震えている。
フルフルと震えるボッスンに気づき姫子は顔を覗き込む。
「いや、いや、いや、いや、ありえない。ありえないだろう。
 か、彼女?いやいやいやいやいや。
 俺を差し置いて、椿の野郎が先になんて・・・、
 ないないないないないないないないない。」
ボッスンがぼそぼそとつぶやいている。
「いや!そうか!!分かったぞ!!!
 従弟だ!親戚だ!!ねーちゃんだ!!!!」
ひらめいた!とばかりにボッスンが叫ぶ。
が・・・、
「いや、冷静になれボッスン。
 椿の生い立ちは分かっているだろう。わざわざ説明するまでもないだろうが。
 従弟も、親戚も、姉も・・・ありえない。」
「そやでー、ボッスン。あんたが一番わかってるやろが。」
二人は呆れたように突っ込む。
ますますどんよりとうなだれるボッスン。
「だって、だってよー。」
そして今度はいじけ始める。
「かーっ!!めんどくさいな!!
 ほら、二人が行ってしまうで!はよ、おっかけな!!!」
姫子とスイッチは両側からボッスンをつかむとズルズル引きずるように走り始めた。

作品名:君を守る 作家名:nanao