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メア@這いよる篝ちゃん
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魔法少女リリカルほむら、2枚目

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少し説明を繰り返すことになるけれど、この世界の鹿目まどかには、以前の世界の記憶が断片的にある。正しくは、一部の記憶と、それに伴うイメージを感覚として覚えているといえば正解。だからこそ、この世界のまどかに、私は魔法少女や魔女のことを話した。これは、今後まどかが別の魔法少女に接触する際に問題が発生してしまう可能性を孕んでいて、ある意味で賭けのようなものだったのだけれども。

「何か、思い出せることはある?」
「…そうだね、優しい人だった、のかな?あと、今会った雰囲気からは分からないけど、ほんの少しだけ、マミさんに似た感じがする。テヒヒ、どうしてなのかな?」
「そう、間違ってはいないわ。」

こうして、まどかが私の傍にいてくれている今、そうした問題が発生する可能性は低いと思われる。そして何より、こうして私たちのことをまどかが覚えていてくれているという事実が、私にとって何よりも嬉しかった。 
嬉しい筈なのだけれど。

「(心のどこかが痛む、この感覚はなぜなのかしら)」

不意に、心の何処かが軋むのを感じ、私はそれを無視した。



「転校生?」
「そ。1年ほど休学してたんだけどさ。色々あって、暫くアンタと同じ学校通うことになるな。そっちが1年なら、クラスだって一緒かもね。」
「へー。色々って?……あ、ごめん聞いてよかったのかな?」

あん「別にかまわねぇよ。アンタと同じ見滝原に通ってて、すっげーお節介ばかり焼く奴がいてさ。初めて会ったアタシも、色々世話になった。(色んな意味でな)」

さや「ふーん?(そういえば、まどかも結構そんなところあったな。)」

あん「久しぶりにそいつを見かけたら、何か他の奴に溺愛しててさ。(QBの説明はできないし、人ってことで話すか。)」

さや「ほうほう、で?(まどかといえば、確かあの転校生、いきなりまどかと親しくなってたっけ。もともとこっちに住んでたみたいだし、戻ってきてすぐ杏子が見かけたとしても、変じゃないわね。)」

あん「それで、気になってそいつの部屋をこっそり訪ねたら、悍ましい量の、その溺愛してる奴の姿した、ぬいぐるみとか写真があってよ。(やば、思い出しちまったら寒気が……。)」

さや「え、なにそれ、もしかしてストーカー?(あの転校生、まどかのこと溺愛してるみたいだし、一昨日だって、寝言でお母さんとか……ううん、きっと思い過ごしよ)」

あん「今日もそいつと二人っきりで出かけるとか言って、この駅前でウィンドウショッピングしてる…らしいんだ。(人から聞いた、位のニュアンスで。)」

さや「あsdfghjkl!?(転校生だーーーーーーー!!))

さや「まどかが危ない!!!」

あん「え、なに、どうした?」

さや「私も、その人のこと知ってる、ちょっと危ないと思ってたんだよ!大事にならないように今すぐその人探しに行こう!!」

あん「え、本気か!?(確かに同じ学校なら知ってる奴がいても不思議じゃないよな。)」

さや「(あの転校生を放ってはおけない!!)」
あん「分かった、行こうぜ!(マミを学園のお姉さま(アイドル)にする為、さやかをマミの付き人にしてやる!!)」

こうして、二人は昼過ぎの街へと繰り出した。



昼過ぎ。
街を散策していた私は、駅前の外れの辺りに来ていた。

「きゅうべぇ、魔女の反応を感じたわ。」
「ボクもだよ、この強さならそろそろ結界が出来ているかもしれない。」
「急ぎましょう。」

人気の無い路地を、ソウルジェムの反応を頼りに進んでいく。

「この魔力の強さ、恐らく大物ね。気を引き締めないと。」

と、そこで私は、昨日の魔法少女のことを思い出した。

「きゅうべぇ、念話で暁美さんに連絡は取れる?」
「いや、付近一帯にはいないようだね?」
「仕方ないわね。それなら私達だけでいきましょうか。」
「……待ってマミ!この駅前の、ここから反対方向の街外れに、僅かだけど魔女の反応があるよ!この距離からでも感じられるなんて、向こうも大物の筈だ。」
「二つも同時に!?」

想定外の事に狼狽える。今まで一人でずっとこの街の魔女と闘ってきたけれど、同時発生などは起きたことがなかった。その事自体は想定していたものの、頭数の問題から、出来るだけ短期決戦で魔女を倒して、もう一方に向かうという無策に近い状態だったからだ。

「けど、暁美さんがこの街にいる今なら、対処の仕様もあるわ。きゅうべぇ、念のため彼女を探して!それから、向こうの魔女は任せると伝えて!昨日暁美さん達もこの辺りに来ていると言っていた筈よ。」
「わかったよ! けどマミ、君も気をつけるんだよ!」
「ええ!」

きゅうべぇの言葉が、素直に嬉しいと感じた。いつも一人で魔女と闘ってきた私にとって、自分の事を心配してくれる存在は、本当にかけがえの無いものだって気づかされたから。だからこそ。

「きゅうべぇ、私、これからも魔法少女として精一杯頑張るわ。だから、これからもずっと、幸せに暮らしましょうね?」

一人じゃない、それに気づいた私は、何だってできると感じた。




巴マミが魔女の結界へと侵入する、その1時間前。

「まどか、悪いけど、嫌な予感が当たりそうよ。」
「それって?」

佐倉杏子と美木さやかの二人を見かけてからも、ショッピングを楽しんでいた私とまどか。少し休憩しようと二人でベンチに腰掛けたところで、ふと魔力の波動を感じた私は、大きくため息をついた。

「魔女よ。それも、結構な大物だわ。商品を全て、無料の自宅配送にしておいて良かったわね。」
「あ、うん、そうだね。それで、ほむらちゃんはどうするの?」
「ええ、それなのだけど。ここで待っていたら巴マミも来るだろうから、それを待とうと思うわ。」

言ってから、果たしてそれでいいのだろうか、といった疑問が私の脳裏を掠めた。

「――待って。この波動はきっと、銀の魔女のはず。この時期にこの場所でアイツが出現するとしたら……。」

想定するのは常に最悪の状況であるべき。その予想が統計に基づいた確実なものであるのなら、こちらも最善を尽くす必要がある。そう考えた私は、ペンとメモ用紙を取り出した。

「ごめんなさい、まどか。今から巴マミか佐倉杏子、出来れば両方を探してくれないかしら?」
「どういうこと?」
「この街に、もう一つ魔女が出現するわ。それも、極めて危険な魔女が。いい?今から駅前の正反対の方向に向かって。もし巴マミに会ったら、このメモを渡して!佐倉杏子には、こっち。他の諸々は任せるわ!」
「任せるって、ほむらちゃんはどうするの!?」
「こちらの魔女を倒したら合流する。それまで何とか巴マミの結界入りを阻止して。」
「……わかったよ!」

メモ書きをスカートのポケットに終い、走り去るまどかを少しだけ見つめ、魔女の結界へと意識を戻す。街の路地に生まれた歪な空間を忌々しげに思いながら、その只中へと私は足を踏み入れた。



街中を、うろ覚えの地図を頼りに駆け抜ける。
昨日会った少女、暁美ほむらを探していたボクは、奇妙な感覚に陥っていた。

「誰かがボクを呼んでるのかい?」