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メア@這いよる篝ちゃん
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魔法少女リリカルほむら、2枚目

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銃声を頼りにたどり着いた場所は、甘い砂糖菓子のにおいが漂い、敷き詰められた砂が、小麦粉のようにサラサラで、部屋全体がお菓子に覆い隠されたような広大な空間が広がります。その中央には紫色の大きな卵のようなものが、巨大な鳥の巣状になった木の上を占拠するように置かれていました。

「(マミ、遅れてごめん)」
「(きゅうべぇ!)」

銃声の根源では、地面から無数に出現するマスケット銃が、マミさんによって放たれています。銃を手に取り、打ち終えてから新たな銃へと持ち帰るまでの、その全ての所作
が私には流れるように感じられて、その優雅さに思わず見惚れてしまいました。
そんな私は、きゅうべぇの念話で現実へと引き戻されました。

「(暁美さんは?)」

迫りくる使い魔たちを、精確に銃で捌きながら、マミさんはこちらに念話を飛ばします。

「(彼女はもう一方の魔女を退治に向かっているよ。それより、まどかに貰った情報を伝えに来たんだ。)」
「(ごめんなさい、後にして!もうすぐ魔女が現れるわ!)」

マミさんが叫ぶのと同時に、卵の上部から亀裂が走り、中から小さな縫いぐるみのようなものが飛び出しました。ふわりと風に乗りながら落下する魔女は、こげ茶色のマントを羽織っていて、頭部に付いた大きなピンク色のリボンが、黒いつぶらな瞳いっそう強調させていました。

「(その魔女についての情報だよ!明美ほむらが言うには、今の魔女の体は偽物らしい、倒せば中から巨大な魔女が出てくるから気を付けて!)」
「(!? ……了解よ、なら油断せずに確実に仕留めるわ。)」

魔女が地面に落下する寸前、マミさんは精密な狙いで魔女の額を打ち抜きます。衝撃で地面にぶつかり、ボールのように跳ね上がる魔女を、どこからか出現した黄色いリボンが絡め捕りました。

「貴方が偽物なら、さっさと本物に交代してもらうわね。」

身動きの取れない魔女に対して、4発の銃弾が撃ち込まれる。拘束されたまま悲鳴を上げた魔女から力が抜け、裂けた部分から黒い蛇のようなものがマミさんを目がけて飛び出してきた。

「終わりよ。tiro(ティロ)・finale(フィナーレ)!!」

マミさんの掛け声とともに出現した巨大なマスケット銃と、通常サイズの無数のマスケット銃から、凄まじい数の銃弾が魔女に対して打ち出されて。直撃を受けた魔女の体はあらぬ方向へと捻じれ、断末魔の叫びとともに霧散しました。

――かちゃり。
消え去った銃の代わりに、マミさんの手にはティーカップがあって、彼女はそっとカップを消滅させると、「お粗末さまでした」とこちらにウィンクして見せます。そんな御茶目なマミさんの下へと、身体を抱える私の腕から飛び降りたきゅうべぇは駆け出していきました。

「ふふ、きゅうべぇったら。」

小さく、もふもふとした体を抱きかかえたマミさんは、自分を心配するきゅうべぇに対して嬉しそうに微笑みました。
そんな時でした。

「マミさん、危ない!?」
「え?」

縫いぐるみの姿で、ぐったりと力が抜けた魔女から、倒したはずの黒い魔女が這い出てきて、マミさんの方へと直進してきます。
不測の事態に硬直してしまうマミさんの腕から、白い生物が魔女に向かって飛び出しました。






「……さよならマミ、元気でね。」






魔女に飲み込まれる寸前、確かにそう念話を発したきゅうべぇは、自分の身体の内側から爆散しました。爆風で、別々の方向に吹き飛ばされる魔女とマミさん。数メートル離れた場所で、地面に手を着きゆっくりと立ち上がったマミさんは、茫然とした表情で先ほどまで自分が立っていた場所を見つめます。

「きゅう、べぇ……?」
「………」
「ねぇ、きゅうべぇ、返事してよ…?」
「………マミさん、まだ魔女が生きてます。」
「きゅうべぇ、出てきてよ…?私に可愛く微笑んでよ……、私に貴方を護らせてよ…?」
「マミさん、一度引きましょう、早くしないと魔女が――」

「――いやぁああああああああああああああ!!」

その手に残るぬくもりを抱くよう、両腕で自分を抱いて。それでも溢れる思いを止められず、跡形も残らない虚空をみつめながら、マミさんは悲痛な声で叫びをあげました。
その声に呼応するように、マミさんを包む魔法少女の衣装が、ワンピース状になりつつ黒く変色して、それに飲み込まれるように、マミさんの身体も黒く変色していきました。

「マミさん!?どうしたんですか!?」

マミさんのいた方へ駆け寄る私は、足元に落ちているものに気づき、それを拾いました。

「これって、マミさんのソウルジェム?……グリーフシードに変質してないなら、一体マミさんに何が?」
「―――!」

爆発の衝撃から立ち直った魔女が、再びマミさんの方に向かい、自身の巨体を薙ぎ払います。マミさんの姿をした黒い存在は、それを容易く避けると、マミさんの身長と同じ長さの黒い槍を出現させ、それを蛇上の魔女の身体の地面に接した部分に投擲しました。
地面に突き刺さり、魔女の身体を固定した後、すばやく魔女の懐に入り込み、今度は黒いマスケット銃を出現させ、腹部に何度も撃ち込みました。

「アアアアアアアアアアアアア!!」

固定された尻尾を引きちぎり、そのまま身体を回転させた体当たりを後ろに飛び去って回避し、続けざまに銃を撃ちながら着地したマミさんは、巨大な銃を出現させて、魔女へと放ちました。辺り一面に銃声が響き、暴力的なまでの威力の銃弾を受け、魔女が言葉にならない叫びをあげました。
それによって巨大な魔女が消えた後、囮となっていた小さな魔女に近づき、その身体が捻じ切れる程に、銃弾を何度も何度も撃ち込みました。

「……マミさん、もう、やめましょう?」

銃弾を放つのを止めないマミさんに対し、震えながらも声を出した私を、マミさんは凝視して。その直後、再び槍を出現させたマミさんは、私の方に向かってゆっくりと近づいてきました。

「マミさん!? マミさん、正気に戻ってください!!」

私の呼びかけに反応し、一度足を止めたマミさんは、けれどもまた私の方に近づいてきて。やがて逃げられない私に対し、槍を大きく反らせました。

――ああ、私死ぬのかな。ごめんね、ほむらちゃん。次の世界の私は、きっとあなたの事を覚えてないけれど。それでもまた、貴方と友達になれたらいいな。





                    「正気に戻れよ、マミ!!」




直視できずに目を硬く閉じた私は、自分を貫く痛みが来ないことに気が付き、そっと目を開けます。そこには、赤い魔法少女の衣装を纏い、マミさんの持つ槍と同じ形状の槍を携えた女の子が、槍を構えたままのマミさんへと対峙していました。

「……こんなもの、いらねぇよな。」

女の子はそっと自分の槍を見つめると、その槍は跡形もなく消滅します。そして、視線をマミさんのもとに戻しました。

「なぁ、マミ。帰ろうぜ?アタシで良ければ、今日はずっと傍にいるからさ。」

無言で少女を見続けるマミさん。やがて、少しずつ彼女の身体が元の色へと戻っていき、そのまま崩れるように女の子へと抱きつきました。

「佐倉……さん……。ぁぁぁぁぁっ……。」