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マヨネーズ生卵β
マヨネーズ生卵β
novelistID. 38947
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愛し子2

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ポツリ、ポツリ、訥々と語られた経緯は信じられない内容だった。
悚然とした彼に、どう慰めの言葉をかけたらいいかわからない。
気を落とすな?
心配をするな?
すぐに見つかる?
どんな言葉も、あまりにも軽すぎる。
目の前の彼も、表立ってはいないが空港中で捜索活動をしている米軍の兵士も、楽観することも悲観することも出来ず、アメリカを捜索し続けている。この国の人にとって私がそうであるように、彼らにとってアメリカは祖国そのものだ。祖国を失ったも同然の状況で、どれだけの慰めが役に立つだろう。
東の空が俄に明るくなって、空港を僅かに照らす朝日は煙に包まれていた。
マスコミ向けに「全員救出、死者0」の情報を出した後、現場保存を理由に報道陣を締め出したから、朝のニュースはこの解決した奇跡の事故でもちきりとなるはずだ。

ただ一つ、アメリカの失踪を隠して。

「以上が、これまでに起こったことです。日本さん、アメリカさんは見つかるでしょうか」
「ええ、きっと見つかります」
力強く断言し、彼の肩に腕を沿わせても、忍び寄る絶望を打ち払うことができない。
「どうして、こんなことになってしまったのか」
沿わせた腕に力を込めても、どれだけの慰めになるのかわからないけれど、何もしないよりはずっといい。
「日本さんはお優しいですね。どうしてアメリカさんがいつもあなたの元に向かうのか、今なら理解できる気がします」
日本はどう返事をしていいかわからず、昨晩渡されてとっくに冷め切った缶コーヒーのプルタブに爪をかけた。
彼もそれにならい、一緒に缶コーヒーを一口含んで息を吐き出す。
「私は、アメリカさんに出会ったとき、本当に落胆したんです」
唐突な言葉に日本が意味を考えあぐねていると、彼は苦虫を噛み潰したような顔で微笑んだ。
「すみません。この待ち時間に耐えられそうにありません。聞いて頂けますか?」
「構いませんよ。私などでよければ」
「ありがとうございます。私は異例の出世を果たしたエリート中のエリート。そう言われています。スラム出の快挙だと」

作品名:愛し子2 作家名:マヨネーズ生卵β