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Blue

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あれ覚えてるか?
あれだよ、あれ‥
なんだっけな、

なんだよそれ。
なんも分からねぇ。

近所のパン売ってたおばさん。
あのおばさん胸元にほくろあったよな。

はぁ?

結構年いってたけど、
若かったよな、名前なんだったっけ。

知るかよ。
てか、変なとこ見てんな。

っはは、でもあの服は見ろって言ってるもんだったろ。
あれは俺は悪くねぇよ。

まぁ確かにな。

覚えてんじゃん。


‥‥るせ。


あれは覚えてるか?

なんだよ。

あーーあれだ。

だから、
なんだよ。


なんだっけ?


知るかよ。




くだらない話ばかりした。
思い出話をたくさんした。
盗んだ宝石のこと。
街の事。
ささいな事。
日常のこと。

そんな日常が幸せだったなと感じることができたから。

一人ではなく、
二人で一緒に感じることができたから。



気づけば、夜が明けていた。
話し込んでカラカラになった喉を潤そうと、
ベッドに二人並んで横たわっていた体を起こす。

ふと横を見れば、
話し疲れたのだろう新一が静かな寝息をたてていた。
新一が起きないようにそっとベッドから降りると、一階へ向かった。
冷蔵庫から牛乳を取り出し、鍋に入れる。
淵がふつふつとなった所で火を止め、マグカップに注ぐ。

「シンイチこれ、好きだったよな。」

やっと思い出すことのできたこと。
本来なら思い出すことなどないことかもしれない。
それが普通なのだろう。
でも、過去の自分を思い出す。
そして思う。

俺は絶対に思い出す。

どこか確信はあったものの。
ちゃんと思い出すことができてホッとする。

新一がここに来てからの日々を思い出す。
きっと、新一は思い出してほしくないという思いがあったんだろうが、
やっぱりどこか寂しさを滲ませた顔をしていたから。


二つのマグカップを持って、階段を上る。
新一がここへ来てから、まだ何処へも行っていないことを思い出し、
二人で久しぶりに日傘でも指しながら散歩しようかなどと考えながら。



作品名:Blue 作家名:おこた