Blue
「バー・・ロッッ・・・」
とても甘い言葉だった。
寂しかった一人の時間が消えていくようだった。
あの別れの日の抱擁感とはまるで違う。
温かくてたまらない。
「やっと言えた。」
そう言って笑った顔は何度見たいと願ったことか。
一番似合ってて、一番安心する。
一番大好きな顔・・・・
「・・・KID・・・好きだ・・・っ・・」
何度も夜の空に向かって囁いてきた言葉を口にした。
夜になると高い建物の屋上や屋根の上で過ごしてきた。
もしかしたらあの白い鳥のような姿が現れるんじゃないかと淡い期待を胸に。
神出鬼没だからいつ現れるか分からない。今日はここじゃなかったんだなと、違うところだったんだなと、目当ての宝石がなかったのかなと、言い訳を沢山考えて。
何度も後ろを振り返った。風が吹くたびに。
『どうして泣いてるんだ?』と声がした気がして。
誰も居ない夜が永遠と続く光景に涙した。
でも、ある時白い鳥が目の前を飛んで行った。
思わずその鳥を追いかけようとすると、飛んできた方向から声がした。
『あっこら逃げんなぁーーっっ!!!!』
相変わらずだなと思わず笑ってしまった。
振り向くとそこにはどこか幼いながらも同じ姿のお前が居たんだ。
「待たせてごめんな。」
「・・・っ・・」
「もう先に行ったりしないから。」
「・・・あぁ・・っ・・」
「じいちゃんになるまで傍に居てやるから。」
「・・・・・っ・・!!」
「・・・・・・・シンイチ?」
「・・・KID・・・俺もずっと傍に居る。」
「あぁ、一緒に居よう。」