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Blue

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起き上がろうとして、
まるで下半身に力が入らないことに気づいた。
見れば、足の先まで黒くなっていた。

快斗はそっと新一を抱き上げた。
異様な軽さだった。


壁にぶつからないように、階段を下り、
玄関の前で立ち止まる。
今は昼間、太陽は当然のように頭上にある。
ヴァンパイアである新一が外に出ればどうなるかということぐらい、
快斗にも分かっていた。



「シンイチは強いな。」

「バーロー何言ってんだよ。」

「俺待てるかな。」

「待てるよ。お前なら。」

「自信ねぇよ。」

「俺がある。」



止めることはできない。
止める資格などない。
長い間、シンイチは待っていてくれた。

俺が言ったまた会えるという言葉を信じて。



だから俺も、待たなくちゃ。

シンイチが必ず会えると言うなら。




「辛いだろ、寂しいだろ、ざまぁみろ。」

「いぢめんな。」

「・・・KID。」


先ほどよりも黒くなった手がそっと快斗の頬へとのびる。
快斗は必死に涙をこらえていた。
けれど、いつも冷たい新一の手が心なしか温かく感じ、涙は途端溢れ出す。


「寂しいよ‥辛いよ‥ごめん。ありがとう‥
・・っはは、ぐちゃぐちゃだよ。」

「うん。ごめんな。」

「俺は笑って送り出せそうにない‥だせぇ。」

「いいよ、お前の笑顔うさんくせぇもん。」

「なんだとっ‥‥」





――――――笑ってシンイチ


――無理だバーロッ‥‥っ‥


――――――絶対にまた会えるから




――――――笑ってシンイチ‥・・・・・






――――――太陽みたいだ‥







「大丈夫。
きっとすぐだ。それに寂しくない。」

「なわけっ‥」

「大丈夫だ。」


この笑顔に快斗は弱かった。
何よりも大好きで、何より弱い。

快斗はぐしゃりと顔を歪ませた。
溢れる涙は止まらない。
止まりそうにない。



「っはは、俺あのときこんな顔だったのかな。」

「シンイチはもっと綺麗だよ。」

「‥っ‥バーロー」

「好きだよ。
好きだよシンイチ。大好きだ。」


「俺も好き。」



「‥っ‥っ‥‥」



行かないでという言葉は必死に飲み込んだ。




「行こうぜ。」




新一の体はもう、
片手で支えることができた。

快斗は涙でぼやけるドアを見つめ、
振える手でドアノブに手をかける。


ガチャリと音が鳴り、日差しが差し込む。





太陽が新一を眩しいくらいに出迎えた。


作品名:Blue 作家名:おこた