Blue
初めて見る太陽に新一は顔を輝かせた。
触りたそうに腕を伸ばした。
珍しくはしゃぐ新一は嬉しそうだった。
真っ黒な体は白さを取り戻していった。
その後、少しづつキラキラと光を反射させながら灰になっていく。
その様子を俺は泣きながら見つめていた。
自分の体で太陽から隠そうとしても消え始めた体はもう止まらなかった。
新一は困ったように俺の顔を見つめると、
もう消えてしまった手で俺の首に抱き着いた。
「俺ヴァンパイアで良かった。」
「シンイチ?」
ほとんど腕が消えていた。
さっきは立てなかった足で新一は地面へと降りた。
体のあちこちが欠けていった。
くるりくるりと回る。
「綺麗だろ。」
風に舞って消えていく自分の体だったもの。
光が新一を包み込んでいるようだった。
その中心で新一はくるりとまた回る。
「こんな綺麗な死に方人間じゃ無理だぞ。」
その晴れ渡る笑顔が、
やっぱり本物と比べてみても、
お前の方が輝いているなと思う。
「綺麗だよっっシンイチ・・・」
新一がまっすぐに俺を見た。
もう消えてしまったのに、腕が見えた気がした。
大きく両手を広げて、
「カーイトッッ」
俺の名前を呼んだ。
俺は新一に抱き着いた。
新一は腕の中から俺を見上げて笑いかけた。
足が欠けていった。
顔の半分が欠けていった。
「じゃあな、またなっ。」
「・・っ・・待ってるっっ!!!!・・」
また明日会えるかのような軽い挨拶だった。
そうして新一は完全に消えていった。
「快斗?」
「・・・・母さん、」
後ろからかけられた声に、
ひどく懐かしいと感じた。
「そんな所で何してるの?
ほら入りましょ、お土産買ってきたわよ。」
「・・うん。先に入ってて。」
「そう?早くしなさいね。」
頬に残る涙が嘘ではないことを証明してはいても、
まるで夢から覚めた時のような感覚だった。
でも、はっきりと目に焼き付いてる。
―――綺麗だろ?
そう笑った新一の顔が。
ふと、自分の手が何かを握りしめていることに気が付いた。
掌をそっと開くと、そこにあったものにまた涙が溢れた。
―――――それに寂しくない。
そういうことか。
ありがとな。
ありがとう。
ありがとっっ・・
あぁもうっっ!!!
もう少しだけ泣かせて・・・