GO! GO! YOUNGSTER
「だって、普通の奴はもっと上手に書けるし…ゾロ、おれがこんなだって知らねェし」
悪い言っちまったと言うに言えずエースは目を泳がせたが、ルフィは俯いたままだったので気付かなかった。エースは誤摩化すようにルフィの頭を撫でた。
「とにかくここまでが今のところのお前の精一杯だ。いいからもう寝ろ。明日はまた休みだろ? 頭冷やせ。一日くらいゾロも放っておいてやれ。そんでお前もどうしたらいいのか考えてみたらいい。それでもまだゾロと友達になりてェってなら、またぶつかってみろ。だけど今までと同じじゃきっと結果だって一緒だ。ルフィ、ゾロはお前が嫌いなわけじゃねェってのはおれが保証してやる。だからもう寝ろ。続きは明日だ」
ルフィがぐずぐずと愚痴を言う度にエースはそう言い聞かせるように慰めてやった。ルフィはずびずびと鼻を鳴らしながらエースの腰に腕を回してぶつぶつ呟いていたがそのうちに眠ってしまったようだった。涙と鼻水で湿ったシャツにうんざりしながらエースはルフィを抱き上げてルフィの部屋の万年床に転がした。ルフィがエースのシャツの裾を離さないのでそのままその枕元に胡座をかく。泣きつかれて眠ったルフィの寝顔は不細工だった。エースは苦笑してその顔を拭ってやり、そのまま長いこと弟の寝顔を眺めていた。
ゾロのことと、それからあの国に残してきた皆のことを思いだしていた。
作品名:GO! GO! YOUNGSTER 作家名:たかむらかずとし