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こらぼでほすと ニート8

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 まあ、過去のデータを述べられるとニールも苦笑するしかない。確かに、そうなのだが、それだけではない。日々の生活まで、暗いわけではないし、どちらかといえばムードメーカーでもあったから、マイスター組を盛り上げていた立場だ。例え、内面が真っ暗でも、それは子猫たちに見せたことがない。
「・・・・二重人格ではないと思う。復讐ばかり考えていたわけじゃないし、刹那たちのことを世話していたのは、家庭的なことを少しでも知って欲しかったからっていうのもあった。他は・・・おまえさんも含めて、家族っていうのが、ほとんど無縁の奴らだったからさ。マイスターは戦うロボットじゃないから、家族がするイベントや季節のイベントも楽しんで欲しいって思ってたんだ。」
 ちっぽけなものかもしれないが、それでも、そういうことが大事だと、家族を失ってニールも知った。なんだかんだとやっていたのは、それでニール自身も救われていたところがあったのだと今は、思う。
「家族って、そんなに大切なものかな? 僕にはないから、必要だとは思わないけど。」
「でも、ティエリアは家族だろ? リジェネ。一緒に誕生日を祝ったりするのは、家族だからできることじゃないか? 」
「やったことない。」
「おまえさん、誕生日は? 」
「さあ? 」
「じゃあ、ティエリアと一緒にお祝いしてやるよ。あいつは十二月だから、その頃、一緒に降りて来い。」
「なんで? 」
「生まれてきたことに感謝をするためだ。ティエリアが生まれて、俺と知り合ってくれたことに感謝をする。」
「僕らが生まれたのは、イオリア・シュヘンベルグの偉大なる目的のためで、ママのためじゃないよ? 」
「もちろん、それが主目的だろうけど、俺と知り合ってくれて一緒に生きてくれてることも重要だ。今は、もう家族みたいなものだから傍に居てくれることが、俺には嬉しいんだ。これから、リジェネとも、そうなれればいいと思ってる。」
 ニコッとニールが微笑むと、リジェネは真っ赤になって俯いた。「さすが、人タラシ。」 と、内心でハイネはツッコミだ。容姿もさることながら、ニールは人と接するのが上手い。特に年下の人間とは、すぐに仲良くなる。それを総じて「人たらし。」 と、ハイネたちは呼んでいる。なんせ。天下の歌姫様をもタラシたのだから、実力の程は言うに及ばない。
「本来は血の繋がったもので家族は構成されるんだけど、それだけじゃない。例えば、結婚というもので繋がる。夫婦は、元々赤の他人だが、結婚すると家族になる。他にも長いこと一緒に生活して、お互いの信頼関係が築かれていれば家族みたいなものだ。うちは、どっちかというと、後者の家族ばかりだ。」
「それはわかる。」
「別に、家族だからって洗いざらいお互いの過去を知る必要はないと、俺は思うよ、リジェネ。いろいろあって、たまたま繋がって、そこに信頼関係があればいいんじゃないかと。」
「うん。」
「そりゃ、ママニャン。うちは、そういう過去ならえげつないぞ? 敵味方入り混じってるからな。」
 なんせ、あの熱愛新婚のキラたちですら、過去には何度か殺しあっているのだ。敵味方に分かれていたとしても、だ。最終的に、平和というものを求望したから、『吉祥富貴』は仲間として繋がった。
「そうだろうなあ。俺、シンの過去を聞いた時に、思わず泣きたくなったよ。そのお陰で、今は強くなったんだろうけど、大変だったんだろうなって。」
「まあなあ、だから平和が一番だってとこで結束してんだけどな。」
「じゃあ、僕とティエリアが敵と味方に分かれてたことも、家族なら許される? 」
 リジェネの何気ない言葉に、ニールはへっと聞き返した。ニールは再始動の戦いの実際は知らない。ある程度は知っているが、組織とアローズの戦いだったという認識だ。イノベイドたちが、アローズを台頭させて操作していたことは知らなかった。
「リジェネ、それ、オフレコだ。」
「いや、ハイネ。待て。リジェネ、おまえさん、ヴェーダに居たんだろ? ヴェーダの奪還に手を貸してくれたんじゃないのか? 」
 慌てて、ハイネが止めようとしたが、そのハイネの口を手で塞ぎ、先にニールが質問する。
「ヴェーダを支配していたのは、僕らイノベイドなんだ。イノベイドのトップが、監視者アレハンドロ・コーナーの補佐をしていたリボンズ・アルマーク。彼が、まずアレハンドロ・コーナーを動かして、組織からヴェーダを取上げた。そして、イノベイドが提唱する世界平和を推進しようと、アローズを作り上げたんだよ。リボンズは地球の支配権を欲しがったから、僕は、それが気に食わなくてティエリアを使ってヴェーダの奪還をした。だから、最初、僕とティエリアは敵同士の関係だった。それでも、家族として仲良くできるものだと、ママは言ったよね? ティエリアは人間だと言うけど、イノベイドだ。これから、延々と僕とヴェーダを掌握し続けるのが、僕らの仕事だ。できれば、僕はティエリアと円満な関係を望んでいるけど、ティエリアはそうじゃない。それも解消できるってこと? 」
 イノベイドというものが存在することは、ニールも知っていた。ヴェーダが目として手足として使役しているのがイノベイドだ。人類に奉仕するために存在すると定義はされているが、各人が個別の心を持っていて、ほぼ人間と同じように思考する。だから、ニールはイノベイドも人間という認識だった。もちろん、イノベイドはヴェーダのために動くから、組織と相反する動きをするのも存在しているだろう。再始動の最終的な敵は、そのイノベイドだったと、理解した。
「・・・そうだったのか・・・」
 ようやく、いろいろと合点もいった。完全な情報開示をされていないから、ニールが再始動の後の大戦について詳しいことは知らない。アローズを瓦解させてヴェーダを奪還したとは知っていたが、それを操っていたのが、イノベイドのトップだったとは驚きだ。
「ママ? もしかして、知らなかった? 」
「ああ、そこまでは知らなかった。つまり、リボンズというのが暴走したわけか? 」
「大きく言うと、そうなる。リボンズは人類よりもイノベイドのほうが優れた存在だから、人類をイノベイドが管理すればいいって結論に至ったから、アローズを創設して人類の管理を目論んだ。」
 そこまで聞かされたところで、ハイネの口を塞いでいた手は払われて、今度はニールが畳に押し倒される。
「聞くなっっ。それだけでいいだろっっ。」
「ハイネ、刹那はイノベーターだよな? つまり、今度は刹那がヴェーダの支配者になるのか? 」
「違う。せつニャンは人類で独りしか存在しないイノベーターだけど、地球の支配者じゃない。イノベイドは暴走して、リジェネとティエリアを残して全員廃棄された。これからは人類が合議で世界を平和にしていく。イノベーターが、それに関与することがあったとしても、それも世界との合議の上のことだ。おそらく、これから未来の地球は、人類がイノベーターばかりになっていくんだと予想されている。今は、せつニャン一人だが、やがて第二、第三と現れて行くはずだ。」
作品名:こらぼでほすと ニート8 作家名:篠義