新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第42話
操作感覚の微妙な違いからリズムを外しまくる。結局、梓はゲームオーバーになってしまう。
その後、俊が続ける姿を梓は後ろで見続ける。
梓 「俊さんは、こっちの方は得意なんですね。」
俊 「ま、まぁな・・・ゲームの方は・・・・前からやってたんだ・・・・。」
梓 「あの・・・・その・・・もしよかったら今度本物弾いてみます?ギター。」
俊 「え?!・・・・お、おう・・・・。」
梓の意外なまでの言葉に思わず心が躍った。
梓 「コートが難しいと思いますけど、教えてあげますよ。」
俊 「そっか・・・さんきゅっ・・・・・よっしゃっ!」
ステージクリアー。もう一方では、勇士朗と光がイニシャルDの最新版で対戦していた。大音量のユーロビートが流れる中、二人とも無言で操作し続ける。尚、勇士朗がEVO?、光がGDインプレッサを使う。何れも鍛えたカードデータの車両だ。
次々と迫るコーナーに一瞬の判断とタイミングで適した操作をしていく二人を唖然としながら澪と唯が見守る。
澪 「すごい・・・。」
唯 「ふおおおお・・・・。」
テールトゥノーズの攻防。次々と現れるコーナーを勇士朗と光はクリアーしていく。
唯 「ふいー。勇兄ちゃんはこんな世界にいるのかぁ〜・・・。」
澪 「へ??」
唯 「居候してる従兄のお兄ちゃん、走り屋さんやってるみたいだよ。」
澪 「実際にこんなのやってるの?!」
唯 「みたい・・・。」
そうこうしている内にギリギリで勇士朗のEVO?がコーナーで抜きに掛かり、勝利を収めた。
光 「ああー!!やられたぁー!!」
勇士朗 「はぁー!!かったー!!7勝3敗!!」
10回連続でやり続けた勇士朗と光。二人して汗だくだった。息も若干きらしてる。
唯 「残念だったねー・・・はい。」
光 「ありがと〜・・・・でも大健闘だ!大健闘!!」
疲れきった光にタオルとお茶を手渡す唯。澪も勇士朗に水を手渡す。
澪 「はい!買っておいてあげたよ。」
勇士朗 「あ!ありがと!澪ちゃん!」
ゴクゴクとペットボトルを飲む二人。唯は微笑ましく光を見ている。澪は飲むたびに動く勇士朗の喉仏へと目線が移る。彼女にとって何気に惹かれるポイントだった。
澪 「・・・・・・。」
勇士朗 「ん?」
澪 「あ!なんでもないよ!」
目線があった澪は恥ずかしげに手をぱたぱたさせて誤魔化す。余計に勇士朗は「?」となった。
勇士朗 「???」
その頃。関東を震撼させていたBLW事件に新展開を迎える報道が流れた。警視庁が改めて下水道内の捜査に乗り出したところ、アタッシュケースを持った黒尽くめの不審な男を逮捕したのだ。
早速これを期に取調べが行なわれ、改めてBLWの正体、研究施設の所在が判明した。要がその中間報告を緊急会議にて報告する。
要 「現在までのBLW事件における最重要人物、古寺原卓雄容疑者の話で、BLWの新たな詳細がわかりました!!」
警官A 「詳細は確か、生身の人間を遺伝子操作したモノのはずだったな・・・。」
要 「容姿や大きさが余りにも異形だったので、当初の科警研の判断ではそう判断していたようです。彼の証言と今までの見解は若干異なりました。人の遺伝子を操作したのは確かですが、実際は人の細胞一つと他の創作遺伝子を合成させたものだったんです。」
警官B 「つまりそれは生きた人間を誘拐していたという見解は違ってたというのかね?」
要 「はい。そういう意味では安心しました。実際に科警研の協力を得て、古寺原容疑者が持っていたアタッシュケース内のBLW細胞で実験をしました。映像をどうぞ・・・。」
実験映像のDVDが映し出される。アタッシュケースに入ったBLWの卵のようなものが確認できる。これに科警研の者が古寺原から押収した特殊な栄養剤を含んだ注射器で刺し、一定時間放置するとたちまち卵がグロテスクな動きで形を変え、数分余りでBLW‐01と化した。
そして直ぐに待機していたジェイデッカーがJバスターを撃ち、BLW‐01は駆除された。
この映像に会議に出席していた警察官一同は驚愕した。冴島もこの脅威的なバイオテクノロジーにきゅっと眉間にしわを寄せる。
冴島 「これが・・・BLWの正体・・・!!」
要 「・・・捜査の結果、古寺原容疑者は薬品メーカーの株式会社、ケミカルコーポレーションの社員だという事がわかりました。この会社は表向きには薬品メーカーですが、その裏では生態兵器の研究も行なっていたようです・・・尚、彼らはBLWを『バイオ・バグ』と呼称していたようです。」
冴島 「・・・バイオ・バグ・・・・!!」
要 「付け加え、変異体と呼んでいたタイプですが、これらは先ほどのDVDにもあった特殊な栄養剤によるもので誕生させていたそうです。」
そして後日。9月第一週未明。東京都多摩市・ケミカルコーポレーション本社。警視庁による一斉摘発が行なわれる。だが、社内へとS.W.A.D.部隊が展開しようとした矢先、事を追い込まれた社員達が暴挙に出た。立てこもりつつ一斉にバイオ・バグを社内で解き放ったのだ。
外へと次々と出現するバイオ・バグ01の群れ。S.W.A.D.隊員やケミカルコーポレーションの社員を捕食しながら跋扈する。それ以外にも数体の02と03が出現。この事態に有事の際の為に待機していたM.P.D.BRAVEに緊急出撃の要請がかかった。
イヤーマイクに手を添えながら要請を受諾する要。予想していた事態が発生してしまい、要は内心的に彼らに対する憤りを覚えた。
要 「やはり社内からバイオ・バグが・・・この期に及んでよくもそのような暴挙を・・・!!!了解っ!!これより我々は戦闘行動に移行する!!葉山!!出すぞっ!!」
葉山 「了解っ!!」
パトライトを展開させて、待機場所から発進するJバギー。ジェイデッカーも両肩、両翼のパトライトを光らせ、Jバスターを構えながら上昇する。ガンレイバー、ショットレイバーも同様に銃を構えて前進。戦闘に臨む。
ガンレイバーは今回の任務より、新たに開発された強力なビーム銃、エネギーガンに装備を変更していた。Jバスターの小型縮小版と言った感じの銃だ。
バイオ・バグの群れ 「クケキョコココカァァアアアアアッ!!」
バイオ・バグ01の群れは敷地内を縫うように這い回る。既にアクティブ承認済みだったJバスターをこれらに向けて低空より連続精密射撃をするジェイデッカー。
ジェイデッカー 『やはり、予想通り反抗に及んだか・・・Jバスター、ロック・オン!!!』
ズドォオオオッッ!!! ズドォォッ、ズドォォッ、ズドォォ、ズドォオオオオオオッ!!!
ズドォガァアアッ!!! ディドォガ、ズヴァギャ、ドォディガァッ、ガギャドォオオ!!!
作品名:新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第42話 作家名:Kブレイヴ