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こらぼでほすと ニート10

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 煮込んでいるうちに、歌姫様とレイで味付けもしてくれたらしい。台所からは独特な匂いが漂っていて、空腹を刺激される。カレーうどんは、冷凍うどんをレンジでチンして、盛り付ければ完成だ。悟空が、そちらを担当するらしく、冷凍うどんを取り出している。カレーライスのほうは、ニールの担当だ。カレー皿を取り出して、ごはんを盛り付ける。
「ママは、何にします? 」
「俺、カレーうどんかなあ。トダカさんは? 」
「私はカレーライス。」
「僕、ハーフハーフ。」
「俺、一人前一人前。」
 年少組は食欲旺盛だから、どっちも食べると言い出すのもいる。大量に製作しているから、好きなだけ食え、と、卓袱台に運ばれていく。さすがに大人数になったので卓袱台以外の机も出して客間の襖も開放する。リジェネの前にもカレーライスが配達されたが、食べたことのない代物だ。
「リジェネ、辛かったら生卵落とすか? 」
 ニールに言われて、とりあえずスプーンで口したら辛かった。じたばたして水を飲むと、ニールが生卵を落とした。そして、飲み物はラッシーだ。
「それでも辛かったら、シチューがあるから。」
 ぐちゃぐちゃと混ぜ合わせて口にしたら、まだ辛い。ぶべーと舌を出したら全員に笑われた。
「まあ、香辛料って食わないもんな。こっちは大丈夫だ。」
 すかさず、シチューの皿が出てきた。確かに、こっちはキツイ匂いはない。リジェネの前のカレー皿は、ニールが引き取った。
「悪ぃ、誰か、このカレーうどん頼む。」
「あたしが貰うよ、ママ。」
 ヒルダが、それを引き取って、食事が開始された。がつがつと食べて、うっほーと息を吐く。寺のカレーはスパイシーにできている。なんせ、教えたのがアイシャだから香辛料も大量に投入されている。
「このカレーは独特でおいしいですわ、ママ。」
「アイシャさんが教えてくれたんだ。辛いけど美味いよな。」
「カレーうどんも美味いぜ、ママ。餅巾がうめぇー。」
「ボリュームが出るんで、餅巾着の中身で調整できるんですよ。うち、若いのが多いから、こうでもしないとうどんの消費量が半端ないんで。リジェネ、サラダも食えよ? シン、おまえ、トマトを食えっっ。」
「うっせぇートマトなんか食わなくても野菜は足りてるっっ。」
 各人が賑やかに騒ぐので、かなり五月蝿い。リジェネは、とてもではないが口を挟む暇がない。だが、気付いたら自分の横にサラダが取り分けられていたり、飲み物が追加されていたりする。じっと目の前の机を観察していたら、どうもママが用意して置いているらしい。
「ねーさん、これはイジメか? なんで、俺のだけ、トマト山盛りなんだよっっ。」
「これ、身体にいいんだぞ。さくっと食っちまえ、シン。ほら、レイもサラダ。シチューはお持ち帰りにすればいいから。ラクス、ラッシーのお代わりは? 」
「ママ、自分たちでやりますから食事を召し上がってくださいな。カレーが減っておりませんよ? 」
「そうだよ、ママ。昼寝したら、僕はママに試合を申し込むんだからね。しっかり食べてっっ。」
「俺、アスランと一騎打ちするぜ。ねーさん、応援よろしくな。」
「俺はママとダブルスがしたいです。」
「おい、悟空、うどんが冷たいぞ? 」
「すぐに融けるって。死なない死なない、マーズさん。」
 もうてんでバラバラな会話だが、賑やかで楽しい食卓だ。お代わりも始まって、がつがつと目の前のサラダやら副菜も消えていく。ようやく、悟空以外が満腹になる頃に、坊主が戻って来た。食卓はデザート仕様になっているから、坊主のほうは台所の食卓で新たに食事が用意されている。カレーライスにマヨネーズがトッピングされているが、一々、気にしてはいけない。そういう味覚のおかしな人だからだ。
「あんた、バトミントンってやったことあります? 」
「いや・・・ん? やったかもしれん。今日はバトミントンか? 」
「そうらしいですよ。あんたもやりますか? 」
「おまえは? 」
「一応、参加の予定ですが、俺はやったことがありません。」
「大したことじゃねぇーから、なんとかなんだろ? 」
「どうですかねぇ。テニスなら、大昔にやったんだけど。」
「テニスよりは動きが少ねぇーぞ。おまえ、食ったのか? 」
「食いました。」
「亭主を待ってろ。」
「じゃあ、デザートで付き合いますから勘弁してください。」
 台所の食卓で寺の夫夫が、いちゃこらしているが、これも気にしてはいけない。これは日常茶飯事だから、もうツッコミするのも面倒な代物だ。だいたい、衆人環視の前だというのに、ふたりの空間になっているのだ。これで同居人と言い張る、この夫夫には、もう、どんなツッコミも通用しない。食事が終わってデザートに突入している面々は、すでに対戦表を作っていたりする。
「リジェネは参加する? 」
「面倒だからいい。」
「とりあえず、シングルスで王者決定戦をやって、合間にダブルスを挟む? 」
「罰ゲームは? 」
「顔に墨を塗ればいいんじゃない? 」
「キラさん、正月行事と被ってるから、それ。」
「じゃあさ、負けたら、その都度、輪ゴムで髪の毛止めてこうぜ。一番ピンピンのやつが負け。」
「輪ゴムってあるか? 」
「それでしたら、私くしがピンを持参しておりますから、それで止めていけばいかがでしょう? 止めるのは勝者。どんな形に止めるかは、勝者次第なら、かなり面白いですわ。」
「それいいね? ラクス。一杯あるの? 」
「はい、髪留めからピンまで化粧ボックスに入っております。なんでしたら敗者には化粧も? 」
「キラは似合うから意味ねぇーじゃん。」
「レイも美人になるだけなんだよな。」
 なぜか罰ゲームで盛り上がっていて、一向に対戦表は進んでいない。まあ、ある意味、楽しければなんでもいいので気楽なものだ。
「トダカさんも参加なさいます? 」
「いえ、ラクス様、私は観戦させていただきます。」
「ヒルダさんたちは参加してね。パワフルプレーに期待っっ。」
「一応、あたしたちは護衛なんだけどね? キラ坊や。」
「まあまあ、よろしいじゃありませんか、ヒルダさん。トレーニングにはなります。」
 護衛も巻き込んで対戦は組まれた。シングルスだと実力勝負だから、この場合、かなり過激なことになってくる。バラバラでジャンケンして番号を取る。その番号を適当に対戦表に配置すれば完成だ。
「よっしゃあっっ、俺はアスランを超えるぜっっ。」
「うわぁー俺、ヘルベルトさんか。走らないとダメだなあ。」
「何言ってやがる、悟空。てめぇーのパワーだと俺がしんどいんだぞ? 」
「え? 僕、レイと対戦? うわーん、初戦敗退じゃないっっ。」
「いえいえ、キラさん。勝負はわかりません。」
「ヒルダ、顔にラケット叩き込むとかは反則だからな? 」
「ああ? あたしが、そんな卑怯をするとでもいうのかい? マーズ。」
 さすがに、歌姫様は、シングルスには参加しない。のんびりダブルスで参戦だ。最初は、シングルスからだ。時間があれば総当り戦にすることにして、準備を始めることにした。
「リジェネ、そろそろママを連行いたしましょう。アスラン、後片付けはお願いしてもよろしいですか? 」