魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
そう、ほむらは、目的に関しては、何となく察していた。グリーフシードが残されている数が、あまりにも、的確だったからだ。
つまり、単独で行動していた場合の、魔獣との戦いで消費した魔力の浄化分と、魔法の使用を控えた状態での必要分とが、こちらの人数も踏まえた上で、まるで考えられているようだった。
事前の調査で、どれ程の数の魔獣が出現しそうか、なんとなくではあるが判っているだけに、そういう事も、良く考えると解るのだ。
しかも三日連続ともなれば、ただ『忘れていった』というだけでは、もはや辻褄が合わない。
「だけどさ…そんなことして、アイツに、どんなメリットがあるわけ?」
キリカが、そう訊いてきた。
そう、目的が解った今となっては、問題はそこだ。
だからこそ、ほむらの思惑としては、全てを聞き出す為にも、織莉子やキリカの協力を得てまで、無理にでも捕まえておきたかった。
だが、相手の能力を見誤り、今回の作戦は失敗してしまった。例え、また、織莉子の予知に頼ったとしても、瞬間移動で逃げられてしまえば、手が出せない。
再編前の世界で使えていた、自分の時間停止の能力の場合は、停止する前に拘束されてしまうと、逃げられなくなってしまったが…
「…厄介な能力ね」
思わず、そう口に出してしまった。
「とにかく、これ以上、ここにいても仕方がないわ。あの子の言うとおり、他の場所のグリーフシードを回収して、戻りましょう」
織莉子が、全員に、そう促した。
こうして、その晩は、織莉子とキリカ、ほむら達四人で、他二ヶ所の場所を別々に周り、グリーフシードを回収して、美国邸に戻ることになった。
その途中、魔獣の気配を探ってみたが、どちらのチームも発見することはなく、提供されたグリーフシードだけ持って帰ってきた。
戦わずにグリーフシードを入手できた…そんなふうに思える者は、誰もいなかった。
敵か味方か…それ以前に、誰なのかもハッキリしない者に施しを受けることが、我慢できなかった。
「しかたがないわね…あまり、気は進まないけど…」
ほむらが、自分の考えを、語った。
「…そうね…確認するなら、そういう手もあるわね」
マミも、渋々ではあるが、同意はしてくれたようだ。
「あ、あたしは…やだからね…やるなら、あんた等だけでやれよ…」
杏子は、その案を拒否した。
「では、明日の放課後に」
ほむらは、そう言って、借りている部屋に戻った。
マミ、杏子と ゆまも、それに倣う。
「キリカ…実は、私も、同じような事を考えていたの」
四人が部屋に戻ったタイミングを見計らったかのように、織莉子が、そう告げた。
「じゃあ、君も、ほむら達と一緒に?」
キリカが、そう訊き返した。
「いいえ?…私は…」
織莉子は、自分のプランをキリカに告げ…
「…だから、明日は、あなたに任せるわ。まどかのこと、よろしくね」
自分も、寝室に戻っていった。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希