魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
見滝原から程近い、あすなろ市…
そこに在る、地元では『南中』と呼ばれている、とある有名私立学園・中等部の校内…
すでに放課後であり、部活動が行われている時間…
その剣道場の裏では、ちょうど休憩中らしく、防具を外して道着と袴だけの状態になった男女数人の部員達が、くつろいでいた。
「それにしても…あの子、やたらと腕を上げたわよね」
「ああ…最近、見合っただけでも、恐ろしくなるよ」
「あれなら、高等部の人達とだって…いいえ、全日本選手権に出場したって、充分に渡り合えるわよ」
「年齢制限に引っ掛かるけどな」
「あれ? 今、他の学校の制服着た娘、通らなかった?」
そんなことを話している部員のそばを、コッソリと通り過ぎ、水飲み場まで辿り着く。
そこでは、籠手と面だけを外した状態で、頭の手拭いも巻いたままの、わりと小柄な剣道部員が、上を向けた蛇口から、直接、水を飲んでいた。
「ようやく見つけたわ…美樹さん」
織莉子は、その背中に、そう声をかけた。
すると、その人物は、驚く様子もなく、ユックリと体を振り向かせた。
そこには、昨晩に見た、あの顔…《美樹・さやか》と同じ顔があった。腰の防具である《垂》の正面の物にも、確かに『美樹』と書かれている。
「…君は、昨日の…白い魔法少女…」
「美国・織莉子よ。あらためて、お茶のお誘いにきたわ。今日こそは、付き合ってもらうわよ」
織莉子は、『美樹』と呼びかけた人物に、ニッコリと微笑みかけながら、そう言った。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希