魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
あすなろ市…南中と呼ばれる、有名私立学園・中等部…
その校門付近で、織莉子は、自分が『美樹』と呼んだ人物を待っていた。
出てくる生徒達が、白女の制服を纏った織莉子を見ては、『キレイ』、『可愛い』、『誰か待ってるのかな?』、『声かけちゃおうかな』というようなことを言っていた。もちろん、ガン無視を決め込んではいたが…正直、かなり恥ずかしかった。『本当に声をかけられたりしたら、どう対処すればいい?』などと考え、そんな自分に、さらに恥ずかしくなり、顔を赤らめ、モジモジとしている様が、また愛らしい。魔法少女になって、心が冷めきってしまったように思えても、やはり、年頃の女の子なのだ。しかも、どちらかというと、純粋無垢な部類の。
「ごめんね…部活が終わるまで、待たせてしまって」
ようやく、美樹が、ジャージにハーフパンツというラフな姿で、校門から出てきた。
すると、織莉子も、これまでの乙女チックな様相から、魔法少女としてのキリッとした雰囲気に戻り…
「あなたこそ…よく、逃げなかったわね?」
織莉子が、そう問いかけた。
「ここまで来て、名前まで知っているってことは…ボクのこと、おおむね調べがついてるんでしょ? 足のつくような物を残した憶えはないのに、どうやって調べたかは知らないけどさ…まあ、《美樹・さやか》のことを知っている人なら、そこから辿ることもできたか…二度も顔を晒してしまったのは、ちょっと迂闊だったかな。まあ、とにかく、そこまで知られちゃってるなら、ここで逃げたって、その場しのぎにしかならないからね」
美樹が、そう答えた。
「いい覚悟だわ」
「で、ボクをどうする気なのさ? 仲間の所に引きずり出して、リンチにでもする?」
「そんな手荒なマネをするつもりはないわ。そもそも、私達が束になってかかっても、あなたが本気になれば、触れることすらできそうにないし…とりあえず、あなたと、ゆっくりとお茶が飲みたいだけよ。何度も言わせないでもらえるかしら?」
織莉子が、そう言って、美樹を見つめた。もちろん、言葉の謙虚さとはうって変わって、威圧感全開でだ。
美樹も、その威圧感を『フッ』と一笑に伏し…
「それは失礼…うちで良かったらおいでよ。ただの寮の一室だけどね」
「そうさせてもらうわ」
こうして、二人は、美樹の寮の部屋へと向かった。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希