魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
お父さんから、さやかが行方不明になったと連絡を受けた夜…
ボクは、意味もなく、寮を跳び出していた。
見滝原に戻ろうと思ったのか、さやかを探しに行こうとしたのか、ボクにも解らない。でも、居ても立ってもいられなかったことだけは、確かだった。
ボクは、さやかが、大好きだった。
幼い頃から、活発で、小学生の頃は男子ですら容易に太刀打ちできない程喧嘩が強くて…それでいて、友人達や、ボクのことを、本当に大切にしてくれていた。
ただ、いつも守られるだけなのが、ボクは不満で仕方なかった。
ボクは、両親にお願いして、剣術を含む武術を習わせてもらった。強くなりたい。さやかに守られる自分ではなく、守れる自分になりたい。そんな思いからだった。
気がつくと、ボクは、剣道の小学生大会で、全国優勝を果たす程の実力を身に着けていた。
そのおかげで、あすなろ市に在る、有名私立学園の中等部から、スポーツ特待生としてのスカウトがきた。
でも、ボクは、迷った。不安だった。
そんなボクの背中を押してくれたのが、やはり、さやかだった…
『苦しくなったら、いつだって相談してきなさい!』
守れる自分になりたいと思いながら、結局、守られたままだった。
だから、今度こそ、守れる自分になって、帰ってこよう…そう誓って、ボクは、見滝原を出て、その私立学園に通うことにした。
それなのに…さやかが…いなくなってしまったって…
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希