魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
その晩…
ボクが魔獣に襲われた、あすなろ市の公園で…
「ジュゥべぇ! 出てこい!」
大声で、その名を呼んだ。
『そんなに大声で呼ばなくても、聞こえてるよ』
ジュゥべぇが、姿を現した。
「契約してやる。だから、ボクの願いを叶えて欲しい」
ボクは、そう告げた。
ジュゥべぇは、ニッと笑い…
『それで…命と魂を対価とし、魔獣と戦う運命を受け入れてまで、君は、どんな願いを祈るのかな?』
「ボクの願い…それは…」
ジュゥべぇに、願いを告げた…
『契約は成立だ。君の祈りは、エントロピーを凌駕した』
こうして、ボクは、さやかと同く…魔法を手に入れた。
その後、すぐに、また、見滝原に戻り、キュウべぇに案内させ、さやかと行動を共にしていたという魔法少女達の戦いを見学し…
再び、あすなろ市に戻ってきた時は、深夜だった。
そんな時間であったにも関わらず、寮の前で、牧さんと御崎さんが、ボクの帰りを待ってくれていた。おそらく、ジュウべぇから、ボクのことを聞いたのだろう。
「契約…しちゃったんだね…」
牧さんが、物悲しそうな表情で、そう言った。
「だけど、なってしまったからには、戦いから逃れることはできない。それに、元々、剣技に長けている君が、プレイアデス聖団に加わってくれると、非常に心強いのだけどね。星も一つ、空いていることだし」
御崎さんが、彼女達のチームに、ボクを誘ってくれた。
日本では『昴(すばる)』と呼ばれる、夜空に輝く牡牛座の散開星団…《プレアデス》。その名の由来となった、ギリシャ神話に登場する、月の女神アルテミスに仕えた七姉妹にあやかってつけられたチーム名…《プレイアデス聖団》。
しかし、今は、和紗・ミチルが消えてしまった為、星が一つ空席のままなのだ。
「いや…申し訳ないけど、ボクは、誰とも一緒に戦うつもりはないよ。君達のチームが『プレイアデス』を冠している以上、その資格すらないしね」
ボクは、少し皮肉を込めつつ、そう答えた。
「なるほど…そう言うなら、まあ仕方ない。とはいえ、魔獣との実戦は、剣道の試合とは、まったく違う。それは、解っているはずよね? なら、慣れるまでは、私達と一緒に戦った方が良いと思わないか?」
御崎さんが、今度は、そう提案してきた。
「そうしなよ。チームに入れとか、言ったりしないから」
牧さんも、そう言ってくれた。
ボクは、二人の提案を受け入れ…
また、助けてもらったお礼も兼ねて、数回、プレイアデス聖団の六人と一緒に、あすなろ市で魔獣狩りをした。
それで、いよいよ、見滝原で行動することにした。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希