魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
残された、美樹は…
「負けた…小学生で全国優勝してから、一度も負けたことがなかった、この私が…あんな子に…」
催涙煙のせいか、それとも…目から滝のように涙を溢れさせていた…
「覚悟か…さやかも、魔法少女になった時、きっと、あの子のような覚悟を決めたんだろうな…
それに比べて…私は…自分の悲しみを、『魔法少女を戦わせない為に』という名目で戦うことで、まぎらわしていたにすぎなくて…あんなに一生懸命な人達を、勝手に可哀そうに思って、いらぬ施しまでしてしまって…さやかが、何を想って戦う運命を受け入れたかなんて、それこそ考えもしないで…ほんと、馬鹿だよ…」
そこで、ようやくマヒが治まったのか、スッと立ち上がり、煙の外まで出た。
その時、羽織っていたマントが落ちた。
すると、無造作に束ねられた長い髪が現れた。昨晩や先程までは、マントやジャージにしまっていた為、判らなかったのだ。
美樹は、その長い髪を掴み、空を見上げた…
「でも、決めたよ、さやか…間違いから始めてしまった事だけど…お父さんや、お母さんには申し訳ないけど…私の…『ボク』の気持ちには、何の変わりもないから。そう、さやかの代わりって想いだけじゃない…これは、ボクが自身が望んで始めた、ボクの戦いなんだから…」
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希