魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
「その必要はないよ!」
突然、そんな声が、辺りに響き渡った。
同時に、残っていた魔獣の数体に対し、無数の閃光のような衝撃がはしり、次の瞬間、バラバラに斬りとばされた消滅した。
そして、傍の街灯の上に、その攻撃を行った者が、腕組みをした状態で、姿を現した。
「お前は…偽さやか!」
杏子が、その姿を見て叫んだ。そう、美樹だ。
「でも、ちょっと待って?…髪が…長い?」
マミが、そのことに気がついて、驚きの声を上げる。
マントは羽織りなおしていたが、もはや、長い髪を隠してはいなかった。その長い髪が、マントと共に、風になびいている。
すると、美樹は、ニコッと笑みを浮かべ…
「青天の勇者の意思を継ぎ…この世の闇を斬り祓う!」
そこで、左腰の鞘から剣を抜き、両手でかまえ…
「青き魔法剣士…美樹・はるか…只今参上!」
そう名乗りを上げた。
「「「・・・・・・」」」
ほむら、杏子、キリカは、絶句し…
「///」
同じ言葉を失っている状態とはいえ、恍惚とした眼差しを向けている、マミ…
「わーっ! かっこいいーっ!」
ゆまに至っては、手を叩いて大喜びしていた。
と…
「あの子…まさか、中二病をこじらせていたとはね…中二だけど」
変身した織莉子が、苦笑いしながら、現れた。
「織莉子!…じゃあ、アイツは…」
キリカが、そう問いかけた。
「まあ、予想はできていたけど…でも、本当に来てくれて、安心したわ。今日から、あの子も、私達の同士よ」
織莉子が、そう答えた。
「け、けどよ…あいつ、『美樹』って…それに、あすなろにいたってことは…あいつ、さやかの親戚かなにかか?」
杏子が、恐る恐る、そう訊いてきた。
「親戚どころか…美樹・さやかさんは、あの子の、双子のお姉さんだったのよ」
織莉子が、ニッコリ微笑んで、そう説明した。
「双子?」
ほむらが、驚きの声を上げた。
「そんな…でも、美樹さんから、妹さんがいるなんて話し、一度も…」
マミが、そう言いかけて、考え込む…
よくよく考えてみれば、ここに集まったメンバーで、さやかに関わりがあった者でさえ、知り合ったのは、この学年が始まってからだ。
そして、そのような詳しい家庭の事情を知る程に、深いつき合いに発展する前に、彼女は消えてしまった。
おそらく、はるかのことを知っているとすれば、アニメや漫画に登場した人物では、さやかと小学生からの付き合いのあった《鹿目・まどか》が消えてしまった今、同じく志筑(しづき)・仁(ひと)美(み)と、幼馴染の上(かみ)条(じょう)・恭(きょう)介(すけ)くらいだろう。
そして、この二人と、ここにいるメンバーは、ほとんど繋がりがない。せいぜい、ほむらが、同じクラスである仁美や恭介と、挨拶を交わす程度だ。
つまり、中学進学と同時に、別の街で寮暮らしを始めた はるかの存在など、知る由もなかったというわけだ。
「そ、それなら…ソックリなのも解るけどさ…でも、そんな設定って、ありかよーっ!」
杏子が、そう叫んだ。
そう…画面に出てこなかったからといって、美樹・さやかに、両親以外の家族が『いない』などという設定は、原作のどこにもありませんので、勝手に作らせて頂きました。ご了承下さい。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希