魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】
しばらくして、戦いは、終わった。
「昨日は、姉と共に戦った先輩方に対して、失礼な物言いをしてしまって、申し訳ありませんでした」
周囲に集まってきた、織莉子達六人に、はるかが、そう謝罪した。
「そういえば、魔法少女になった直後の さやかさんが、言ってたわ…」
マミが、その時のことを、語り始めた…
『え?…どうして武器に《剣》を選んだか…ですか?…確かに、銃とか、弓といった飛び道具の方が、素人のあたしが使うには適していたかもしれませんけど…だからこそ、まずは形から入ろうかなと…尊敬する人に、すっごく強い剣道家がいるんで、その人に、あやかってみようかな〜って、思ったりしたんです』
「さやかさん、多分、戦う運命を受け入れたといっても、やっぱり、怖かったんだと思う。だから、そんな自分を奮い立たせようとしたのね。その剣道家が、アナタなんじゃないかしら?」
「そんな…姉さんが、ボクなんかを…」
マミの言葉に、はるかが、声を詰まらせた。
もしも、そうであるなら…自分は、姉の支えになれていた…助けになっていた…そういうことになる。
「とりあえず、アナタほどの人が協力してくれるなら、本当に心強いわ。宜しくね」
ほむらが、そう声をかけた。
「はい。こちらこそ、宜しくお願いします」
はるかも、そう応えた。
「フン…あたしは、アンタなんかとつるむ気は、全くないからね。昨日の物言いとか、ちょっと強いからって、偉そうにする奴が、あたしは一番嫌いなんだ」
杏子が、そんなことを言い出した。
「キョーコ…そんなことゆわないで、仲良くしようよ」
まゆが、なだめようとする。
だが、杏子の批判的な言葉は続く…
「嫌だね。誰が、こんなペーペーのド新人のくせに、態度だけはでけぇ生意気なクソッたれなんかと、仲良くなんか…」
「く、クソ…って、先輩だと思って下手に出てれば、言いたいこと言ってくれるじゃないか…弱いくせに…」
はるかが、そう言葉を返した。
「なに?…もう一度、言ってみやがれ!」
「弱いから弱いって言ってやったんだ! なにが悪い!」
完全に、昨晩の感じが、戻っていた。
「てめぇ…まずは、口の聞き方から叩き込んでやる!」
杏子が、再び槍を出現させ、はるかに突きつけた。
「やれるもんなら、やってごらんよ! 返り討ちにしてあげるから!」
はるかも、剣は抜かず、拳をかまえた。
「…? どういうつもりだよ。まさか…ハンデとかいうんじゃないだろうな?」
「抜くに値する実力だと思ったら、その時は、抜いてあげるよ。ボクは、手加減ができない人間だからね」
「もう、あったまきた…泣かす…絶対に泣かす!」
「いやいや…殺すくらいのつもりできた方がいい。じゃないと、勝負になるかどうかも、あやしいところだから」
「ほんと…さやかもムカつく奴だったが…妹は、それ以上だな、オイッ!」
杏子が、はるかに突っ込んでいった。
「なっ! 姉さんのことを、悪く言うな!」
無手の はるかが、それを迎え撃つ。
「ちょ、ちょっと、あなた達! いい加減に…」
マミが、止めようとする。
しかし、二人は、もはや聞く耳を持たない。
「放っておきなさい。私達は、今のうちにグリーフシードを回収してしまうわよ」
ほむらが、そう促した。
「まったく、佐倉さんは…『美樹さん』とは、ああいう関係にならないでは、いられないのかしらね…」
マミが、呆れた溜め息を吐いた。
ちなみに、それから十数分程、杏子と はるかは戦い続けたが…
杏子の槍の攻撃を、はるかは完全に捌ききった。
魔力より先に体力の限界がきた杏子は、まともに立っていられない程に消耗した状態で…
「お、憶えてやがれ…次こそは…絶対に泣かす…」
と、非常にカッコ悪い捨て台詞を吐くハメになった。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 第2幕 【第3話】 作家名:PN悠祐希