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IS  バニシング・トルーパー 000-002

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 焼き餃子を盛っている皿だった。
 「あっ、どうも」
 「しっかり食えよ」
 「はい」
 そう言って、厳さんはまた厨房に戻った。

 蘭にヨーロッパの話しを聞かせながら、厳さんに念入りに盛られた大量の料理を、クリスはあっという間に全部平らげた。
 「美味しかったです。有難う御座いました」
 「気にしないで。これはお礼ですから。もう少し休んでいてね」
 蘭は手早く食器を片付けて、笑顔でクリスにお茶を出した。
 「ただいま!」
 店の入り口の方から、陽気の男声が聞こえた。
 振り返ると、背の高い、長い赤髪の少年が入ってきた。
 「あっ、兄貴お帰り~」
 「おっ、ただいま!」
 少年が蘭と軽く挨拶を交わし、それを見たクリスは、少年が蘭の兄であることに気づく。
そして少年もクリスの存在に気付いて、意外と驚きな顔してクリスと蘭の顔の間で視線を往復させて、
 「お前、一夏一筋と思ったら、これはこれは『ななな、何言ってんだよ馬鹿兄貴!』……ふあ!!」
と、大声で言ってる途中で、顔が真っ赤な蘭にボディブローを入れられた。
 「はっ!」
自分を驚きの目で見るクリスを見て。蘭は慌てて自分の兄の死体(?)をテーブルの下に押し込んだ。
 「あ、あはは、兄の弾です。見ての通り仕方のないやつで、申し訳ありません」
 「いや。それより、君の兄が泡を吐いてますが……」
 「あ、大丈夫です。いつものことですから」
 「いやいや。白目剥いてるぞ!」
 「大丈夫。いつものことですから」
 「いま、なんかピクピクしたぞ」
 「いつものことですから」
 「……そ、そうか。いつものことか」
 一発で自分の兄をダウンさせた蘭に、クリスが少々うろたえ気味だ。まさか目の前の可愛い少女に、こんなパンチ力があるとは思わなかった。
 「では、俺はこれで」
 「あっ、はい。また来てくださいね」
 「ああ。では」
 手を軽く振って、クリスが五反田食堂を後にした。
 厳さんの料理はの味は確かだった。学園に入学したら、ここに来れる機会が少ないかもしれんが、それでも機会あったらまた来ようと、心でクリスが決めた。
 あとでホテルに戻ると、午前に買った大量のDVDが届いた。シャワーを浴びてベッドで横になったクリスは、とりあえず明日一日は退屈しないだろうと思って、DVDのパンフレットをめぐりながら眠りについた。