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IS  バニシング・トルーパー 000-002

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 「私もそう思います!」
 どうやら女子達の中では既に結果を決めたらしい。
 「いやなんで俺が?初心者だぞ」
 席から立って抗議する一夏だった。
 しかし本人の意思を無視して、女子からの「I・CHI・KA」の連呼が高まる一方だった。
 「わたし、クレマン君がいいです」
 突然に、異声が現われた。
 「そうね、クレマン君も捨て難いわね」
 「そうよ!私は断然クレマン君派よ!」
 クリスを推薦する声が上がり、すぐに一夏派の勢いに追いついて、統一だった女子生徒達の意見も見事に両分した。

 「落ち着け!」
 千冬の一声で、クラスはすぐに静けさを取り戻した。
 「織斑とクレマンの二名だな。さて、他にいないのか?いないならこのまま投票で決めるぞ」
 クリスはあくまで沈黙のままだった。正直に言うと、責任のある立場には立ちたくない。だが、代表になれば戦闘の機会が比較的に増える。如何すべきか、クリスは内心で迷っている。
 「納得いきませんわ!!」
 クリスが迷っているうちに、横の席にいる女子生徒から異議の声が上がった。横を振り向いて見ると、声を上げたのは長い金髪ロールのお嬢様っぽい女子生徒だった。
 「そのような選出、認められません!大体実力から行けば代表候補生であるこのわたくし、セシリア・オルコットが代表に選出されるのは必然ですが、物珍しいという理由で運だけの男が選ばれるなど論外ですわ!そんな屈辱の一年間をわたくしに味わえとおっしゃるんですか!」
 プライドの範囲を通り越して、傲慢にすら取れる発言だった。立場上そういう人種の相手に慣れたクリスは何とも思わんが、一般人として生きてきた一夏は少々頭にきていた。
 「だ、大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――!」
 セシリアとか女子生徒が長々と喋っているうちに、クリスは鞄から事前に用意された紙の束を取り出して、ページをめぐた。
 IS学園に入学する前に、要注意人物のリストを渡されている。
 (セシリア・オルコット…イギリス名門出身の代表候補生で、第三世代ISの専用機をもっている……か)
 「…随分のことを言ってくれるじゃないか。イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
 クリスが資料を読んでいる間に、一夏が既に自分を抑えずにセシリアへ反撃の言葉を投げた。
 「あ、あなた、私の祖国を馬鹿にしてますの?」
 「先に人の祖国を馬鹿にしたのはそっちだろう」
 「……」
 立っている二人が席から離れて、正面から凄い剣幕で睨み合い、火花を散らす。
 ふっとクリスが教壇の方を見ると、千冬はただ腕を組んでこの状況を静観していた。
 しかも、その口元は少し揚がったように見えた。
 「織斑先生」
 険悪な空気の中、クリスが手を上げて発言の意図を示す。
 「……なんだ、クレマン」
 「先生、先ほどオルコットさんは、代表は実力から選出すべきだと言いましたね」
 「ええ、そうですわ」
 セシリアが視線を一夏から離れ、クリスを睨んできた。
 「このクラスは編成されたばかり、お互いの実力はよく知らないはずですが」
 「イギリス代表候補生である私の実力を疑いますの?」
 「肩書きは所詮肩書き。自分の実力は人に示すものであり、聞かせるものではありません。それともオルコットさんは口先だけで、代表候補生に選ばれたのですか?」
 「…言ってくれますわね」
 セシリアが更にキツイ、まるでアイソリッド・レーザーでも撃てそうな目つきでクリスを睨み付ける。
 「そこで提案ですが。自分も含めた三人で、クラス代表の座を賭けてISで勝負するというのはどうでしょ」
 「勝負か…」
 手を顎に当てて、千冬が考え込むような仕草を見せる。だがその口元は吊り上げたままだった。
 「その勝負、受けて立ちますわ!!」
 千冬の結論も待たずに、セシリアは指でクリスを指して宣言した。
 「お前もそれでいいよな、一夏」
 「ああ、それでいいぜ。四の五の言うより分りやすい」
 一夏も二つ返事で勝負を承諾した。
 「…仕方のない馬鹿共が」
 呆れた顔で、千冬が手を教壇についてクラスに告げる。
 「では、一周後に、第三アリーナでクラス代表選出戦を行う。三人とも準備しておくように」
 「はい」
 「ええ、わかりましたわ」
 「分かったよ」
 三人三様の返事して、クラス代表選手戦の件はそのまま決まってしまった。

 そしてすぐに四時限目が終わり、昼休みとなった。
 「クリス、飯喰いに行こうぜ」
 一夏は一人の女子生徒を連れて、クリスの席に近づいて昼飯を誘いにきた。
 「ああ、いいよ。丁度食堂の場所を聞こうと思ったところだ」
 教科書とノートを鞄にしまって、クリスが席から立ち上がった。
 「あっ、こいつも一緒だけど別にいいよな」
 一夏が自分の後ろにいる女子をクリスの前へ押し出した。
 「…篠ノ之箒です。よろしく」
 「クリストフ・クレマンだ。よろしく」
 長い黒髪のポニーテールをしている、とても気の強そうな、凛々しい女子だった。どういうわけか微妙に不機嫌そうな顔しているが。
 「んじゃ早速食堂に行こうか」
 二人の挨拶が終わったのを見て、一夏が箒の手首を引いて教室を出て、クリスもその後を追った。

 「うちの食堂のメニューって結構充実してるだから、洋食の種類も多いぜ」
 「いや、今はむしろ和食を制覇したい」
 「…どうでもいいが、早く決めてくれ」
 食券販売機の前で迷う男二人に、箒が催促をかけた。
 「おっと、すまん。んじゃ、天丼セットと、唐揚げと、焼き餃子と、野菜サラダ……」
 食券販売機のボタンを電話番号を押すようにに押して行くクリス、そして目を丸くして凍結した後に並んでいる箒も含めた女子たちだった。
 「お前、一日で制覇する気じゃないだろうな」
 「まさか。昼に食べ過ぎると、午後は眠くなるからな」
 呆れた顔で聞いてくる一夏に、クリスが五、六枚の食券を販売機から取り出して見せる。
 「まあいい、早く行って席を取っといてくれ」
 「わかったよ」
 IS学園の食堂はかなり広いので、クリスはすぐに席を確保した。一夏と箒もすぐに来て、三人がテーブルを囲んで食事を始めた。
 「…な、俺たち、何が注目されていないか?」
 「男子生徒だからな。余所見してないでお前も早く食え。そっちのエビフライと唐揚げは食っていいぞ」
 「おっ、ありがとな」
 「……いやいや、注目されているのはそういう理由じゃないと思うぞ」
 六人用テーブルを埋め尽くすほどに並んだクリスの料理と食事に集中する男子二人を見て、箒は思わずツッコミを入れた。
 「篠ノ之も遠慮しなくていいぞ」
 「遠慮しておきます」
 「しかし、クリスは結構細身なのによく食うな…太らないのか?」
 「ああ、実は俺、ハースタル機関のバイオ部門が開発した脂肪分解剤を飲んでるから、いくら食べても太らない」
 「「「「「「えっ?」」」」」」
 一瞬で目の色が変わった箒。そして同時に、一斉に視線をこっちに向けてきた隣のテーブルの女子たち。
 「それ本当か!?いくらだ?いや、それよりどこで買えるだ?通販で買えるのか?」