ARMORED CORE Another Story
011
翌日、レヴィンは商人達のトレーラーにあるガレージでACの調整をしていた。
「おし、とりあえずフレームと内装関係の調節は終わりだ。武装はどうするよ?」
と、コックピットで作業していたレヴィンに向け此処の商人旅団のACのチーフメカニックのヘイレン・テクスが無線を飛ばす。
「それに合わせてFCSも交換しねえとだからよ。」
「分かりました。じゃあ、いま載せてるライフルを降ろしてマシンガンに変えて貰えますか? ミラージュのPIXIE2かクレストのMG-500あります?」
「あー、ミラージュの方はねえがクレストの方はある、そっちでイイか?」
「大丈夫です、それとあわせてFCSも広角サイトの物に変えといて下さい。」
「おっしゃ、任せな! その他の変更はあるか?」
「他はこのままで大丈夫です。ミサイルも今のS60-10で十分ですし。レーダーも初期型ですがこのCRU-A10で問題ないです。」
「分かった、んじゃあちっと降りて一服しててくれ、載せ換えちまうからよ。出来たら呼ぶぜい。」
「分かりました。」
と一通り自分の要求を言ってレヴィンがACから降りてくる。
それに合わせて
「レヴィンさん、コーヒー飲みます?」
と何故かついていくと言って聞かなかったラミュが聞いてくる。
どうも、ガイルやラーシャには許可を貰ったらしいが。
「あ、ああ。んじゃ貰うよ。」
「分かりました。」
と言って給湯室に行ってしまった。
『なんでガイルさんは許しちゃったのかな~・・、しかもラーシャさんまで許可しちゃうし・・・。放任主義すぎるでしょ。』
などと、物思いにふけっていると。
「おい、キミが新しく雇われたパイロットか?」
と女性に不意に後ろから声を掛けられた。
「え? まあ、そうですけど。」
「そうか、ふむ・・・。」
「あの~、失礼ですが名前は?」
「ああ、済まない。私は此処でMTのパイロットとして雇われている。ナタル・マレスティアだ。」
「どうも、レヴィン・レイロックって言います。」
「よろしくレヴィン。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。にしてもすごいですね、此処の設備。トレーラーのコンテナがガレージになってるなんて。しかもACの他にも上級MTまで。」
「企業とかの輸送依頼も結構来てな、それが良い稼ぎになるんだそうだ。」
「なるほど、それで護衛ですか。まあ、あからさまに自社の輸送部隊を使うより目立たずに低コストで輸送できるのは向こうもオイシイわけか。」
「まあ、そのおかげで中々危険な時もあるがな。」
「そこら辺は割りきるしか無いですよ。企業からの依頼ですからね、物資を狙ってる連中だっているんでしょうし。」
「まあな、だから我々みたいな連中に声が掛かるんだがな。」
「それはそうと此処の電力はどうしてるんです?」
「トレーラーの車軸に発電機があってな、それで発電してる。走っていれば自然に電気が蓄積される。」
「はぁ~なるほど。」
「もっとも、トレーラー自体の燃料が無くなってしまえばどうしようも無いが。」
「それを言ったらお終いでしょう。」
「それもそうだな。」
などと談笑していると、コーヒーを持ったラミュが少々不機嫌そうな顔で
「どうぞ、コーヒーです。」
というなりさっさと行ってしまった。
「?? どうしたんだろうか。」
と頭を傾げ?マークなレヴィンの様子をナタルが呆れたようにつぶやいた。
「少々失礼な事をしてしまったかな・・・。しかし彼女も苦労するな。」
「どうしました?」
「いや、なんでもない。」
そこへ装備の載せ換えが終わったらしいヘイレンが声を上げた。
「おーい、載せ換え終わったぞー、起動テストしてみてくれ!!」
「あ、はーい。すぐ行きます! それじゃ、また。」
と言ってコーヒーを飲み干すとACの方にかけて行った。
作品名:ARMORED CORE Another Story 作家名:TaMaNeGi