魔法少女リリカルウィッチーズvol.1
ゆっくりとストライカーのプロペラが回りだし、美緒は後部ハッチから大空へと飛び立つ。
「ねぇ、スバル。あの雲の所…何だか変じゃない?」
ふと黒い雲の方を見たティアナは異変に気付き、言う。
「本当だ。何か、粒々みたいなのが沢山…」
同じくスバルも異変に気が付く。
「……行ってみる?」
「もちろん!」
二人は海岸沿いへと向かう。
その頃、なのは達時空管理局のエース達もヘリに乗り、出動準備に入っていた。
「アルト、あとどのくらいかかりそう?」
フェイトがヘリの操縦士であるアルト・クラエッタに訊く。
「あとほんの数分です。二人が心配なのはわかりますが、もう少しだけ辛抱してください」
全速力でヘリを飛ばしながらアルトは問いかけに答える。
「了解。頼んだよ」
それを聞くとフェイトは席へと戻る。
ミーナはヘリから統合戦闘航空団の皆がいる宿舎へと通信を入れる。
〔先ほどネウロイが出現しました。坂本少佐が先に出撃しています。皆さんも、直ぐに出撃してください。なお、メンバーはバルクホルン大尉、ハルトマン中尉、イェーガー大尉、ルッキーニ少尉、クロステルマン中尉します。〕
ミーナからの通信を聞き、待機する人員以外のメンバーは出撃準備に入り、続々と離陸していく。
エリオとキャロは、現れたネウロイと先んじて交戦していた。
「あれがネウロイ…」
「私達の新しい敵なんだね」
「うん。でも、あの形状は…」
二人はフリードリヒに乗りながら敵の出方を伺い牽制している。そんな二人の目の前には、かつて戦ったことのある敵が現れていた。
「ガジェット・ドローンⅡ型…だよね」
そう。記憶に新しいジェイル・スカリエッティ事件の時、彼等が扱っていた無人機動兵器。その飛行タイプの型をネウロイは象っていたのだ。
「……もしAMFを持ってるとしたら厄介だ。少し攻めるよ」
無人機動兵器はAMF(アンチ・マギリンク・フィールド)という魔力を無効化するバリアを持っている。これを有するかを確かめるべく、エリオは自分のデバイス『ストラーダ』を起動する。ストラーダは腕時計から瞬時に槍型のスピーアフォルムへと変化し、自らの主の手に収まる。
「行くよ、フリード!」
「クルルゥ!」
竜騎士である彼は、今やすっかり相棒となった、自分のパートナーであるキャロが連れている竜に声をかけてガジェット型ネウロイへと接近していく。その間、ストラーダへと魔力を流し込む。
「紫電……一閃!!」
雷を纏わせた矛先で、固まっていた数体のガジェット型ネウロイを一度に撃破する。その際、しっかりとした手応えを彼は感じ取る。
「AMFはないみたいだな…」
その手応えから、以前自分達を苦しめたバリアが無いことを確認する。いくらネウロイといえど、そこまではトレース出来なかったようだ。
そこへネウロイからの反撃が襲う。真紅の光線が放たれ、フリードリヒは危機を察知し瞬時に身を捻って回避する。と同時に火球を放ち、ガジェット型ネウロイを一機撃墜する。
「この調子で持たせていくしかないな…」
エリオはそう呟き、迎撃態勢に移る。
「無事か!?」
と、ここで現場へ到着した美緒がエリオ達に声をかける。
「はい!あの、貴女は…?」
「私は第501統合戦闘航空団所属、坂本美緒少佐だ。これより、貴官等を援護する」
言うが早いか、美緒は背中に回してあった機銃を手に取り、構える。
「直に私の仲間やそちらの援軍も到着する。それまで持ち堪えるぞ」
「了解です!」
三人は改めて迎撃態勢に入る。そんな中、美緒は右目を隠している眼帯を上げて紫色をした瞳でネウロイ達を見る。
「全て子機のネウロイか。本体はどこだ…?」
右目を上下左右に動かし、ネウロイの本体を探す美緒。彼女の固有魔法『魔眼』はネウロイのコアを見抜くことができるのである。
「この数ですし、簡単には見つからないのではないでしょうか…?」
と、キャロが美緒に進言する。
「あるいは、ある程度を倒すまで本体はどこかに隠れている可能性もあるな」
キャロの言葉を聞いて美緒は推察する。
その間にもガジェット型ネウロイは三人と一頭の方へと前進してくる。
「やはり本体より先に、子機を何とかしなければならないようだな」
美緒はそう呟くと、機銃をガジェット型ネウロイに向けて放つ。数が数のため、たいして狙いを定めずとも弾丸はネウロイに直撃し、破壊された子機のネウロイは粉雪のようにバラバラに砕けて消えていく。
エリオもこれに倣い、ストラーダを振るうことでガジェット型ネウロイを撃墜していく。
「くっ、しまった!」
しかしやはり三人では防衛にも無理があり、何機かのガジェット型ネウロイが市街地の方へと抜けていく。
エリオはこれを追おうとする。その時、通信が入る。
〔こちらティアナ・ランスター。エリオ、聞こえる?〕
「ティアナさんですか!?はい、聞こえています!」
〔いい?エリオ、キャロ。アンタたちはそこに残って敵の迎撃を続けて。うち漏らしは私達に任せて〕
「了解です」
ティアナからの指示を受けたエリオとキャロは旋回し、ガジェット型ネウロイの迎撃へと向かう。
「さて、と。いくわよ、スバル」
「オッケー!」
短く言葉を交わすと、二人はそれぞれのデバイスを起動させ、バリアジャケット姿となる。
「ウイングロード!!」
ガジェット型ネウロイが迫って来ているため、スバルは空中でも戦えるように魔力で作られた道を展開する。
それから数分後。
物量差に防戦を強いられつつあった三人と一頭だが、後方から飛来した一条の桜色の魔力砲撃が多量のガジェット型ネウロイを一撃で仕留めるのを目撃する。
「これは…なのはさんの!」
キャロが援軍の到着に気付き声を上げる。
「高町一等空尉以下三名。これよりそちらを援護します」
なのは、フェイト、シグナム、ヴィータの四人が現場へと到着する。
「エリオ、キャロ、怪我はない?」
「「はい、大丈夫です!」」
保護責任者であるフェイトが二人に訊くと、二人は元気に答える。
「戦況はどうなっていますか?」
なのはが美緒に今現在の状況を説明するように求める。
「見ての通り、敵の物量差に押され気味だ。私は敵の本体を探す。その間に皆は子機を押さえていてくれ」
戦況の説明と同時に美緒は皆に指示を出す。
「要するに、全部ブッ壊してけばいいってことだろ?」
「フ…わかりやすくていいな」
ヴィータが言うと、シグナムが相づちを打つ。
「少佐、遅れて済まない」
美緒が指示を出し終えた所へ、バルクホルンらウィッチーズも現場へと到着した。
「来てくれたか。お前達も、管理局の皆と一緒に子機を押さえていてくれ」
美緒の言葉に一同は了解と返し、ネウロイへと向かって行く。美緒は眼帯を持ち上げ、ネウロイの本体を探し始める。
シグナムは向かってくるネウロイ達を真っ向から切り伏せていく。一機一機を確実に仕留めていくうち、団体となって動いているネウロイを発見する。
「レヴァンティン!」
[シュランゲフォルム]
作品名:魔法少女リリカルウィッチーズvol.1 作家名:Dakuto