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IS  バニシング・トルーパー 011-012

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 「い、いいえ。何でもありませんわ!」
 「そうか」

 「あの……もう話しかけていいか?」
 ポテチを食べながらアリーナへ視線を向けるクリスと、両手を赤らめた頬に当てているセシリアに声をかけたのは、前列の席に座っている箒だった。
 「篠ノ之か。どうかしたか?」
 「いやその、クレマンはこの試合をどう思ってるのか、ちょっと意見を聞きたくてな」
 「うん……相手は一夏と喧嘩中だから、手加減はしないだろうし、さらにあの甲龍ってISはちょっと特殊な射撃武器を持ってるから、一夏は苦戦しそうだな」
 「特殊な射撃武器?」
 それを聞いたセシリアは真面目な顔で話に割り込んできた。やはり射撃武器には興味があるらしい。
 「ああ、名称は『龍咆』。空間に圧力をかけて不可視の砲身を形成し、見えない衝撃を弾丸として撃ち出す。射撃角度も弾丸もほぼ制限なしで、中々に厄介だ。一夏にも一応存在を教えたが、有効な対応方法までは確定していない」
 「龍咆」について、クリスもデータを読んだ程度の認識しかない。実物でも見てない限り、有効な対応方法を立てるのは難しかった。
 「……なら、一夏は第一回戦で負けると思うか?」
 「それは断言できない。イグニション・ブーストと零式白夜の併用による奇襲が成功すれば、多少の劣勢でも十分挽回できる。まっ、成功すればの話だが」
 「結局は一夏次第か……」
 クリスの分析を聞いた箒は何か思うところがあった様で、心配そうな顔してゆっくりと視線をアリーナの中にいる一夏の方へ向け直した。

 すっかり見物気分でポテチを食べているクリスと違って、アリーナの空中に対峙している一夏と鈴の間には、剣幕な空気が漂っていた。
 「今謝るなら、痛めつけるレベルを少し下げてあげるわよ?」
 「そんなのいらねぇよ。全力で掛かって来い」
 「一応言っておくけど、絶対防御も完璧じゃないのよ。シールドを突破するだけの攻撃力があれば、殺さない程度に痛めつけることだって可能なの」
 「甘いな。クリスのスパルタを耐え抜いた今の俺に、肉体の痛みなど効くもんか」
 「うわっ、今のちょっと引いたわ」

 二人が睨みあっている間に、試合開始のコールが鳴った。
 「それでは両者、試合を開始してください」
 ガキィィィイン!
 試合開始の合図と共に、両者は格闘武器を展開し切り合って、金属がぶつかる音が響き、火花が飛び散る。
 クラス対抗戦の第一試合が、今始まった。

 「やれやれ、やっぱり白式では有効な対応は難しいか」
 コーラを啜りながら、クリスは頬杖してそう言った。
 試合が始まって間もなく、一夏は完全に鈴に押さえられていた。
 不可視の砲撃に対して、射撃武器を持たない一夏はうまく出来ずに、見る見るうちにエネルギーシールドが減らされていく。
 「そろそろだな」
 「何か?」
 「……」
 セシリアの問いに、クリスはただ顎で一夏の方を指す。
 苦戦している一夏は雪片弐型の刀身をスライトさせ、ビーム刃を形成させた。
 「奇襲を掛ける気だ」
 一夏のエネルギーシールド残量も少なく、零式白夜の使用時間がかなり限られているので、何度も仕掛ける余裕はない。。一夏もそれを理解している様で、覚悟を決めた目つきをしていた。

 「さてはて、俺のフリーパスがとうなるか……うん?!」
 ズッドオオオオオオオン!!!!
 この勝敗を決めるタイミングで、乱入者が現れた。
 何かがアリーナを覆うエネルギーシールドを貫通して、グラウンドの地面に衝突した。巨大な衝撃音と共に大量の砂塵が舞い上がった。

 「な、なんだ!?」
 「地震!?」
 アリーナの観客席で、生徒達は突然のアクシデントに驚いていた。女子達は浮足立ってて騒ぎ始めた。
 「セシリア、篠ノ之。クラスの連中をすぐに避難させろ」
 騒いでいる女子達の中、クリスは真剣な声で二人に指示をした後、食べ終ったお菓子の袋と空き缶を持って、席から立ち上げた。
 「はっ、はい! っでクリスさん、どこへ行くのです?」
 クリスの指示通りに行動しようと立ち上がったセシリアは、出口へ向うクリスに呼び止める。するとクリスは振り返って手の中に持っているゴミを揺らして見せて、
 「ちょっと、ゴミを捨ててくるだけさ」
 と言い残して、観客席の出口に入って姿を消した。

 塵煙が収まった後、そこに現れたのは、一機のISだった。
 あの巨大な手足部分のみに留まらず、グレー色の装甲と太いケーブルで装着者の全身を覆った「全身装甲(フルスキン)」タイプのISだった。
 「試合中止! 織斑、凰はすぐに退避しろ!」
 所属不明ISの姿を確認した瞬間、会場のスピーカーを通して千冬が指示を出した。
 「か、会場内に所属不明のISが出現!会場にいる生徒は避難を開始してください!」
 千冬の指示に続いて、警報音と真耶の放送が流れた。放送が終わると同時に、観客席に設置されているシャッターが作動して、生徒達をアリーナと完全隔離した。

 「何なんだ、あれは?!」
 アリーナに取り残されている一夏は、いまいち状況を飲み込めなかった。
 「一夏は早くピットに戻って!」
 鈴の方は既に事態を理解した様で、一夏に避難するように指示した。
 「所属不明IS?ロック……俺はあいつにロックされているのか!?」
 ハイパーセンサーが提示した情報を読んで、さすがに一夏も目の前の所属不明ISが敵意を持っていることを理解した。
 「あんたははやく逃げなさいよ!」
 一夏がぼうっとしているのを見て、鈴は彼を催促する。
 「お前はどうするんだ?!」
 「あんたが逃げるまでの時間を稼いでやるわよ!」
 「女を置いて逃げるような真似、できるか!」
 「仕方ないでしょ! あんたの方が弱いんだから!」
 「馬鹿にするな! 俺だって……って危ない!」
 二人が言い争っている間に、所属不明ISからビーム弾が鈴へ飛んできた。一夏はそれに逸早く反応して、鈴を抱き上げてその攻撃から逃れた。

 「織斑先生、一組の避難は完了しました」
 クラスの避難が終わった後、箒とセシリアが報告のためにモニター室を訪ねた。
 「ご苦労」
 簡単に返事をして、千冬の視線がメインモニターから離れない。そこに映っているのは、未だに退避できずに敵の攻撃から逃げ回っている一夏と鈴だった。
 そして、何故か椅子に座っている真耶はコーヒーカップを持って苦い顔をしていた。
 「先生、私にIS使用許可を。直ぐに所属不明ISを撃退しますわ」
 手を胸元に当てて、セシリアは千冬に出撃許可を請った。
 「そうしたい所だが、あれを見ろ」
 真耶が向っているモニターを指して、千冬はそう言った。
 「遮断フィールドがレベル四に固定、しかも扉が全部ロックされた!?」
 セシリアと共にモニターを覗き込んだ箒が驚きの声を上げる。
 「あのISの仕業ですの?」
 「さあな。ただ他のクラスの生徒もまだ避難を終えていないし、突入隊もこれじゃアリーナに入れないことだけは確かだ」
 眉をきつく寄せて、千冬の顔は明らかに苛立っている。

 「……そう言えば、クレマンはどこだ?」