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IS  バニシングトルーパー 025

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 セシリアの命令に従い、四枚のビットがエクセレンにビームを撃ち出す。
 攻撃されないなら、ビットを使うリスクもなくなる。クリスが距離を詰めた時点で、セシリアはビットを射出して、エクセレンへ飛ばした。

 「ちょっ! 危ないわね!!」
 三連ビームキャノンを一旦下げて、エクセレンはビットの攻撃を回避した後クリスから距離を取ろうとしたが、自分の足に金属の糸が絡んでいるのを気付いた。
 エクスバインの右腕と繋がっている、チャクラム・シューターのワイヤーだった。

 「もう逃がさんぞ! エクセレンさん!」
 「しまっ……!!」
 ワイヤーを切断する前にボクサーの腕に引っ張られたゲシュペンストMK-IVの体勢が崩され、エクセレンはクリスの方へ引き寄せえられていく。元々機体重量が軽いゲシュペンストMK-IVでは、ボクサーのパワーに抵抗できない。
 そしてクリスはエクセレンが来る方向に向かってスラスターを噴かして、ボクサーの爪先にあるブレード状パーツに念動力を集中させた。
 「喰らえ! ブレードキック!!」
 「きゃあああ!!」
 念動力のエネルギーを帯びた爪先のブレードはまるで取り澄まされた刀。これをゲシュペンストMK-IVのエネルギーシールドに思いっきり切り刻んだのと同時に、クリスはワイヤー先端のチャクラムを爆発させた。
 キックと爆弾の二重攻撃。これでかなりのダメージを与えられたはず。落ちていくエクセレンの追撃ちをセシリアに任せて、襲ってくる巨大な杭が空気を切り裂く音を聞こえたクリスは次の敵への対応行動に入った。

 「僕のことも忘れないでね!!」
 ゲシュペンストMK-IIIのバーニアを噴かして接近してくるシャルロットはリボルビング・ブレイカーを振り上げて、クリスへ強襲をかけてきた。
 だがそのスピードはクリスにとって、十分に対応できる範囲内だった。

 「踏み込むなら、今の三倍の速度で来い!!」
 「うわぁぁあ!!」
 ボクサーの右腕でシャルロットのリボルビング・ブレイカーを掴んだ後自分の右側へ引っ張って、クリスは無防備に晒されたシャルロットの脇に膝蹴りを食らわせた。蹴り飛ばされたシャルロットは体勢を整えてもう一度仕掛けようとするが、その前にセシリアの射撃が来たので、やむなく攻撃を避けつつ高度を下げてエクセレンと合流した。

 「すみません、エクセレンさん。まだ失敗した……」
 「大丈夫大丈夫、まだ挽回できるから~! でもクリス君の言うとおり、もっと大胆に攻めないと、彼を落とせませんよ?」
 「それは分かってますけど……」
 エクセレンに笑顔で励まされ、シャルロットはもう一度リボルビング・ブレイカーを構え直して、エクセレンの前に出た。
 (やっぱり僕では、MK-IIIの力を引き出せないのかな……)
 しかし彼女の中では、自信を揺るぎ始めた。


 「双方のダメージだけを見れば互角ですが、やはり流れ的にクレマン君達の方がやや有利ですね」
 「さすがだな。自分の機体特性をよく理解している。多少のリスクがあっても強引に仕掛けなければ、あんな装備をつけた意味がない」
 モニター室のメインモニターを見上げえている真耶が述べた率直な感想に、千冬は頷きながら自分の顎に指を当てる。
 現時点のエネルギーシールド残量では、肉を切らせる覚悟で強引に仕掛けるクリスは一番低いの50%前後、シャルロットとエクセレンは60%前後、序盤から回避を専念してたセシリアだけが75%以上をキープしている。
 数字だけ見ればクリスの消耗は激しいが、彼はまだ防御の切り札を温存している。
 「……」
 二人の隣にいるマリオン博士は不安定に上下しているMK-IIIの稼動率グラフを睨んで、眉を顰めたまま動かない。


 「ここからはMK-IVの方を優先的に落す。援護を頼むぞ」
 「はい」
 現状を確認した後、クリスはセシリアに指示を出した。
 「次からもっと火力を集中させる。後一回か二回の攻撃でエクセレンさんを落とせば、後は簡単だ」
 「分かりました。それでその……もし勝ちましたら、今夜私の部屋に来てくれますか?」 
 「……何の話だ」
 いきなり訳が分らん話をし始めたセシリアに、クリスは困惑の目を向ける。

 「私が最後まで落とされなかったら、何でも聞いてくれるって話ですよね?」
 「……」
 「その……ダメですか?」
 「……何をする気だ」
 「そ、そんな~私に言わせたいのですか?」
 染めた頬に手を当てて、セシリアは体をもじもじさせる。

 しかし二人は大事なことを忘れていた。
 この通信は、外部スピーカーを使っていることを。

 「へぇ~今夜セシリアの部屋に行くんだ……」
 「……あっ」
 プライベートチャンネルから響いたシャルロットの怒りで爆発寸前の声を聞こえた時、クリスは思わず戦慄を覚えた。
 慌てて視線を向けると目に入ってきたのは、黒いオーラを発散しながらクリスを睨んでくるシャルロットの姿だった。

 「だ、大丈夫? シャルルちゃん……」
 「……こっちから仕掛けましょう、エクセレンさん」
 隣のシャルロットから漂ってくる異常な空気を感じて、エクセレンは引き攣った笑顔で彼女に話しかけたが、シャルロット本人は既にクリスを甚振ることをしか考えてない。

 (人がシリアスに悩んでいる時に、あの男はいつもいつも……!!)
 エクセレンの合図に合わせて、シャルロットは動き出す。

 「MK-III、力を貸して!!」
 バックパック、肩部装甲後部、そして脚部装甲後部。
 重心を落としたシャルロットがそれらに配置されているバーニア全部を一斉に点火させた瞬間、ゲシュペンストMK-IIIは咆哮した。
 まるで、眠っていた猛獣が目覚めたように。

 「くっ……!!」
 吼え出したゲシュペンストMK-IIIのバーニアから生じた常識外れの推進力で、シャルロットはクリスへ猛進する。
 勢いで最大推力を使ったが、予想を遥かに上回ったGがシャルロットの体に襲いかかり、彼女の息が苦しくなる。
 だが、これくらい少し我慢すればどうってことない。もう一度右腕を振り上げて、リボルビング・ブレイカーをセットする。
 「撃ち抜くよ!!」
  
 「なっ!!」
 一瞬だけで自分の懐に飛び込んでリボルビング・ブレイカーを撃ち込んで来たシャルロットに驚きな声を上げて、クリスは慌てて腕で受け止めようとするが、重装甲の重さに全バーニアの推力を上乗せしたゲシュペンストMK-IIIはシャルロットが確信した通り、誰も止められない。

 「しまった!!」 
 「この距離、貰った!!」 
 体勢が崩れたエクスバインボクサーのエネルギーシールドに杭を当てて、シャルロットはリボルバー式弾倉にある弾薬を爆発させる。
 「行けっ! リボルビング・ブレイカー!!」 
 パァァァン!!
 
 「ぐっ……!!」