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IS  バニシングトルーパー 025

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 背部の反重力ウイングを展開して機動性を更に高めたゲシュペンストMK-IVを駆使して、エクセレンはパルチザン・ランチャーでセシリアへ一直線に突っ込むシャルロットの進路に合わせてビームの弾幕を張る。その中に交えている実弾は、正面から来るゲシュペンストMK-IIIの5連チェーンガンによるもの。

 「そんな!! 今までは本気じゃなかったと言うのですか!?」
 「悪いけど、貰ったよ!!」
 ビーム弾幕の中に動きが封じられ、MK-IVの高機動モードに驚くセシリアに、順調に距離を詰めたシャルロットは容赦なくリボルビング・ブレイカーを打ち込んだ。撃鉄が倒れて弾薬に着火し、そこに生じた爆発的な推力で、先端にある巨大な杭がセシリアのエネルギーシールドに一点集中の衝撃を与えた。

 「ぎゃあああ!!」
 支点のない空中で、機体重量が相対的に軽いブルー・ティアーズは一発を喰らっただけで吹き飛ばされる。
 そしてその先には、既にエクセレンが待ち構えていた。
 「はいはい、元の位置に戻って~!」 
 体勢が崩れているセシリアに接近して、パルチザン・ランチャーの銃口を突き付けてトリガーを引いた。

 「Eモードっと!! これ、気持ちいいよ~」
 下方銃口から吐き出されたエネルギーの激流で、セシリアは再び元の位置へ押し返される。そこに待っているのは、ゲシュペンストMK-IIIの肩部コンテナを全開にしたシャルロットだった。
 「レイヤード・クレイモア! 抜けられると思わないでね!!」

 同時にエクセレンはパルチザン・ランチャーの銃身を上下展開して、その中心部分にエネルギーを集束させて、セシリアに照準を合わせた。
 「〆のXモード、行くわよ!」

 「きゃあああ!!」
 前方にレイヤード・クレイモアの嵐、後方にパルチザン・ランチャーのXモードのビーム照射。機体のバランスすら取り戻してないセシリアに逃げ場はない。この一連の攻撃で、まだ60%以上を温存していたセシリアのエネルギーシールドが一瞬で底を尽きた。
 「そ、そんな~!!」
 シャルロットとエクセレンの連携攻撃はまさに電光石火。あっと言う間に敗北へ追い込まれたセシリアは、まだ信じられないって顔で悲鳴を上げて地面へ落ちて行った。

 「わお~完全勝利ってやつ?」
 パルチザン・ランチャーの砲身を通常状態に戻し肩に担いで、エクセレンは満顔の笑みでシャルロットに同意を求めるが、シャルロットは顔を引き締ったまま喋らない。
 彼女の視線は、地面にに立っている機影へ真っ直ぐに向けている。

 「まだ、終わりじゃないぞ」
 辛うじて最後の一割も足りないエネルギーシールドを保っている、クリスとエクスバインボクサーだった。
 パートナーのセシリアが撃墜されて地面に片膝ついて動けないし、自分のエネルギー残量もあと一撃で即ゲームオーバー。元々の優勢だった局面がシャルロットとゲシュペンストMK-IIIによって一気に変えられ、窮地へ追い込まれた。
 さすがと言いたいところだが、まだ諦めるには早い。苦笑いして、クリスは空中にいるシャルロットに通信を飛ばす。
 「……今から逆転するから、覚悟しろ」
 「この状況で? いくらクリスでも無理だよ」
 シャルロットの言うとおりだ。後僅かのエネルギーシールド残量で一対二、どう考えても逆転は絶望的だ。

 「……本当は模擬戦の後に言うつもりだったが、今に言うから、よく聞け」
 「何を?」
 未だに怒っているような顔をしているシャルロットの顔を正面から見詰めて、クリスは真剣な表情で言葉を続ける。  
 「俺はこれでも悩んでたんだ。お前のことを大事にしたいけど、他の子も別に嫌いじゃないから如何 すればいいって。でも今日マリオン先生からお前を移籍させたいって話を聞いた時、それは嫌だなって思った」
 「……どういうこと?」
 「俺はまともに女の子と付き合った経験もないから、喜んで欲しいと思っても、ああいうやり方しかできない。それが逆にお前を不安にさせたみたいで、すまないと思っている」
 一旦言葉を切り一回深呼吸した後。話を再開する。

 「お前は辛いことをずっと一人で耐え続けてきたのに、優しさを忘れていない。それところか、他人の心配をする余裕まで持ってる。そんなの俺には絶対できない。でもそんなお前を見てると、無理してストレスを溜め込んでないか、ずっと心配してた。俺を殴ったのも、締め出したのもお前の気持ちから出た行動なら、それを受け入れるのが俺の役目だと思った。これからはお前のことをもっと大事にしたいし、ずっと隣に居て欲しい。だから……」
 ボクサーの腕を動かして、シャルロットを指差す。

 「……逆転できたら、俺の彼女になれ!!」
 と、クリスはやけくそ気味の大声で叫んだ。
 プライベートチャンネルを使った通信だから、二人以外の人間が聞こえないのが幸いだ。
 ……シャルロットが常時に開いているMK-IVとの通信チャンネルを切ったらって話だが。

 「えっ……えぇぇぇぇええ~?!!」
 予想外の展開に思いっきりうろたえて驚きの声を上げた後、シャルロットは隣でにやけているエクセレンの生暖かい視線に気付いて、耳まで真っ赤に染めた顔を逸らして視線を泳がせながらクリスに問いかけた。
 「本当に……私でいいの?」
 「ああ。そうじゃないなら最初から言わない」
 「私、嫉妬深いよ?」
 「問題ない。俺も独占欲が強い方だ」
 「じゃ、パソコンにあるバニー服のセシリアの写真も削除していい?」
 「いつ気付いた!?」
 「削除していい?」
 「……」

 「……削除して、いい?」
 引き攣った笑顔で、シャルロットは青筋を立ててリボルビング・ブレイカーの弾薬を装填し始めた。
 「ちょっと待て、俺は別に疚しい気持ちであの写真を撮ったわけではないぞ?! ただ撮影が趣味なだけで……」
 「今から逆転できなかったら、クローゼットの奥にしまってあるバニー服も一緒に処分するよ!!」
 「まだ新品同然なのに勿体ないだろう!!」

 クリスの抗議に耳も貸さずに、シャルロットはゲシュペンストMK-IIIのバーニアを噴かして突っ込んできた。それと同時にクリスもエクスバインボクサーの拳を握り締め地面を蹴って、突進してくるシャルロットに向って飛び立った。
 「……1分内で片をつける!!」

 「乙女の純情を弄って……この女の敵!!」
 「人聞きの悪いことを言うな!!」
 正面から向き合ってくるエクスバインボクサーに、シャルロットはリボルビング・ブレイカーの杭を真っ直ぐに振り出した。
 しかし、その杭の先は空を切った。
 「なっ……!!」
 確実に狙ったはずなのに、攻撃を放った瞬間にボクサーの姿が空気の中に薄れて消えた。
 「分身!?」
 「あと一歩だったな!」
 シャルロットが狙った位置より一歩引いた所に居たクリスは彼女の腕を掴んで、自分の右側へ導きながらローキックで相手の体勢を崩す。
 受け止められないなら、受け流せばいい。元々機体重心の高いゲシュペンストMK-IIIが突撃体勢中なら、バランスを崩せばすぐひっくり返してしまう。
 「お前は後回しだ……下で待ってろ!!」
 「なっ!!」