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IS  バニシングトルーパー 028-029

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 重装甲なゲシュペンストMK-IIIと違い、カスタムSPは装甲量を抑えている。肩にスラスター付きのコンテナ二つ、背部とリアスカートアーマーに長いウイング状スタビライザー四枚が増設され、シールドが外された左腕には更に大型のパイルバンカー「リボルビング・バンカー」が換装され、銃器を扱う右腕の装甲も一部が改造され、ゲシュペンストのと近い形状になっている。
 元々バランスのいい機体が、攻撃力と機動力に大きく傾けた仕様になっている。だが汎用の射撃武器が大量に携行しているなら、射程距離にも死角はなさそうだ。

 (肩のコンテナはクレイモアか? しかしこれではバランスの悪さがゲシュペンストMK-III以上のはずだ。新型のバランサーでどこまで補助できるか……)
 エクスバインのゴーグル越しに、クリスは状況を分析し始めた。
 シャルロットの機体の重心は左腕に傾けているため、使うにはかなりの繊細な操作と大量な集中力が必要だ。こっちが集中して狙えばシャルロットはきっと長くは持たない。早めにミスを誘って落すべきだろうけど、レオナは片手であしらえる相手ではない。
 レオナを牽制しながら箒を援護してシャルロットへ攻撃するチャンスを作りだす。第一戦目から中々にハードな仕事だ。
 そこまで思うと、クリスはエクスバインの通信チャンネルを開いた。

 「箒、聞えているか」
 「クリスか、聞えている。どうした?」
 「いきなり専用機相手じゃキツイかもしれないけど、このペアを倒せれば他のペアにも負けはしない。気を抜くなよ?」
 「ああ、承知している。それとその……」
 何か言いたげな顔して、箒は言葉を一旦止めた。

 「なんだ?」
 「……ありがとうな、色々と」
 「誰もただとは言ってないよ。借りとしていつか返してもらうさ」
 「ふん、お手柔らかにな」
 冗談めいた口調で箒を揶揄すると、彼女も薄く笑って返した。一瞬笑い合うと、二人は各自の武器を握り締めた。

 『試合開始!』
 ビ――――!!
 ブザーの音がアリーナに鳴り渡った瞬間、四人が同時に動き出した。

 クリスとレオナは同時に高度を上げて、それぞれ両手の武器で同時に相手ペアの二人を狙い、箒は腰を低くしてブレードを構えてシャルロットへ突進した。
 しかしそこでシャルロットは一歩も動かず、真っ先に両肩部コンテナハッチを開放した。

 「あれはっ!?」
 コンテナに内蔵している予想外れの結果を見た瞬間、クリスは驚異な声を上げた。
 ゲシュペンストMK-IIIと同じクレイモアを積んでいるのなら、今シャルロットと箒の距離ではまず当らない。しかしカスタムSPのコンテナに積んだのはクレイモアではない、量産型ゲシュペンストMK-II改のスプリットミサイルに内蔵されたのと同型のマイクロミサイルだった。

 「箒、逃げろ!!」
 「もう逃げられないよ! スクエア・クラスター!!」
 シャルロットの言葉と同時にみっしりと積み込まれたマイクロミサイルは一斉に点火してコンテナから飛び出し、箒へ襲い掛かる。
 クレイモアと違って至近距離では使えないし、ハッチ開放から発射までにもやや長めのタイムラクが生じるが、有効な射程距離はクレイモアより遥かに長い。
 流石はマ改造機、やることがえげつなくて手に負えない。

 「しまったッ!!」
 慌てて急停止して、箒は地面を蹴って横へ移動する。
 しかし打鉄相手にこの攻撃は有効すぎる。ホーミング性能の低い弾頭だが、その数量による広い攻撃範囲ゆえに回避するのは難しい。急停止した箒の今の位置ではミサイルのシャワーを浴びることになる。

 「後退して高度を上げろ! 」
 初手から大幅に削られるのはなんとしても避けられるべきだ。シャルロットに向かってフォトンライフルSの引き金を引いて追撃の勢いを殺し、クリスは加速して箒の元に向かうが、そこでレオナは連続してブレードレールガンを撃って接近してきた。

 「貴方はまず自分の心配をしなさい!!」
 片手は銃撃で牽制射撃をしながら、もう片手でブレードレールガンの実体ブレードを使ってレオナは斬りかかってきた。

 「早いっ!!」
 さすがは高機動タイプ、レオナの接近スピードはクリスに武器の切り替え時間を与えない。一瞬で目の前まで迫ってきた剣をクリスは咄嗟に肘に収納しているファング・スラッシャーで受け止めたが、そこにレオナはクリスの脇腹に蹴りを加えた。

 「落ちなさい!!」
 「くっ……!!」
 レオナの蹴りで衝撃を受けたクリスはバランスを崩して下へ落ちる。 
 しかしそれはクリスにとって好都合だった。衝撃の勢いに乗って丁度箒と合流して、逆立ちの体勢で彼女とめのミサイルの雨と間に割り込んだ。

 「今だ! グラビコンシステム、最大出力!!」
 手を開いて掌を前へ向けて、クリスは迷わず重力の防壁を発動した。そこに衝突した大量のミサイル弾頭が爆発し、クリスと箒の視界を閃光で遮る。
 序盤からいきなり防御の切り札を使わされたのが痛いが、箒に大ダメージを負わせるわけにはいかない。

 「いきなり派手にやってくれたな……散開するぞ、箒!」
 「ああ!!」
 降ってくるマイクロミサイルのシャワーがを凌ぎ切った瞬間、クリスと箒は同時にミサイルの爆発で発生した黒煙から飛び出した。
 二人が優先して狙うのは、スラスター全開で距離を詰めてきたシャルロット。ブレードを構えた箒は正面からシャルロットへ突進し、クリスはグラビトンライフルで箒の後方から援護射撃を行いながら仕掛けてくるレオナを迎撃する。

 「攻撃を受けて援護へ繋ぐとは、少しは頭が回るようなったかしら?」
 「くっ、予想以上に厄介だな!!」
 電磁力によって加速して押し出される高初速の実体弾丸を間一髪のタイミングで交わしながら、クリスはグラビトンライフルの銃口をレオナに向けてバーストモードを照射するが、レオナはズィーガーの脚部スラスターを噴かして軽い動きで容易く回避し、距離を詰める。

 「切り刻まれなさい!!」
 「させるか!」
 迫ってくるブレードレールガンの斬撃を、クリスはロシュセイバーで受け止めた。
 シャルロットと箒を視界の隅に置いて注意を払っているため、左手の武器をグラビトンライフルのままにしているが、至近距離では取り回し難い。
 しかしこの攻撃を最初からフェイントとして振り出したレオナはすぐにもう一丁のブレードレールガンの銃口を向けてきた。


 「お前こそ、ワンパターンなんだよ!」
 ブレードのフェイント攻撃を受け流しながらぐるりと横へ回転して、クリスはレオナの横からもう一度ロシュセイバーで素早く斬り払うが――

 「前言撤回、やはり貴方はまったく成長してないわ」
 「読まれたっ?!」
 クリスの動きを完全に先読みして一歩引いてかわした後、レオナは二丁のブレードレールガンの銃口を一斉にクリスに向けて迷わず引き金を連続して引いた。至近距離から交互して撃ち出される銃弾にダメージを負わされたクリスは一旦距離を取ろうとするが、後ろから箒の追撃を振り切ったシャルロットが接近してきた。

 「逃がさない!!」
 「先に俺を落とす気か!?」