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IS  バニシングトルーパー 030-031

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 わざと気にしないふりして、クリスは窓の外に目を向ける。しかし視界の隅でセシリアの明らかにショックを受けた顔が見えた。

 そしてこのタイミングで、シャルロットはMAP兵器をかましてきた。
 「はい。クリスと私は付き合いをしている恋人同士です。その辺も含めて、よろしくお願いします」
 「おい、先生の前でばらすなよ!!」

 「「「「「「なにいいいいいい!!」」」」」」
 いきなりのカップル宣言にクラスメイト達は再びハモり、シャルロットは満足したように笑った。

 「ヒドイ」
 騒がしい教室の中、一人の女子の声だけがはっきりとクリスの耳に届いた。
 まるで地の底から響いてきたような声に、クリスは思わずぞっとしてしまう。声の元へ辿ると、そこに立っているのは涙目のセシリアだった。

 「あの、セシリア? 確かに内緒にしたのは悪いと思って……」
 「ヒドイですわよ!! わたくしに内緒でそんな……!!」
 「あっ、ちょっと、落ち着け!!」
 セシリアの両手に光の粒子が集い長い銃身を形成していき、それを見たクリスは慌てて教壇まで走ってシャルロットの手を握り、教室の外へ逃げながら近くにいる千冬に助けを求める。

 「先生! セシリアは教室で局部展開したぞ! 何とかしてくださいよ!!」
 「何を言っている。私にはただの長い鈍器にしか見えない」
 「ただの長い鈍器ならいいのかよ!!」
 千冬にあっさり見捨てられ、やむなくクリスはシャルロットを連れて教室を抜け出して廊下に逃亡する。

 「修羅場だ!!」
 「リアル修羅場だよ!!」
 「わお、これが日本の名物、修羅場ですわね?」
 「当事者に日本人は一人もいないけどね」
 クラスメイト達は誰一人も助けをせずに、温かい視線で逃亡する二人を見守る。

 「待ちなさい!!」
 「やばい! シャルロット、来い!!」
 「あっ、はい!!」
 廊下に逃げ込むと、教室の中からセシリアの声が聞こえてきた。
 この遮蔽体のない廊下ではスターライトMK-IIIに狙い撃ちされる。なら、別の教室に隠れるしかない。シャルロットの手を引いて、クリスは急いで最も近い教室――二組の教室に駆け込んで、引き戸に閉めて息を潜めた。

 「チッ、逃げ足が速いですわね!」
 廊下から、スラーライトMK-IIIを担いで走り去って行くセシリアの足音が段々と小さくなっていき、やがて聞こえなくなった後、クリスは胸を撫で下ろして、シャルロットと一緒にゆっくりと立ち上がる。
 しかし、いきなり駆け込んだのに、いくら知り合いが多くても二組は誰も驚きの声を上げてないとは不思議だ。
 とは言え、ここで侘びと説明をしておくのが筋だな。

 「えっと、お騒がせしてすみません。これは……あっ」
 「ええええ!?」
 二組の教室の現状を確認すると、二人は何故皆が驚かない理由をよく分かった。
 それは、生徒達の今の注目の的はクリス達ではなく、教室の中央に居る二人だったからだ。

 片方は今の状況を完全に把握できずに目を丸くしている少年、伊達隆聖、もう片方は隆聖の胸倉を掴んで、彼に口付けをしている小柄な銀髪少女、ラウラ・ボーデヴィッヒ。
 そう、この二人は今、二組生徒全員の注目の中でキスをしている。

 「「……」」
 クリスとシャルロットも二組の生徒達と一緒に押し黙ったまま言葉を失った。
 正直ある程度は予想内のことだったが、まさかいきなりキスを仕掛けるとは思わなかった。

 しばらく経ってラウラは隆聖の唇を解放し、真っ赤な顔して石と化している隆聖を指差した。
 昨日で部隊の副官と相談した結果、血縁のない人間が家族になる方法が一つしかないとの事だ。
 なら、己の意志を持ってそれを正々堂々と宣言し、実行するまでだ。

 「だ、伊達隆盛、現時点をもって貴様を私の嫁とする! 異論は認めん!!」

 「いや、この場合は嫁じゃなくて、婿だから」
 二組の生徒全員がこの超展開に唖然としている中、クリス一人が冷静に訂正を入れた。