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魔法少女リリカルウィッチーズvol.2

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5th MISSION


撤退から3日後。
セイバーズは、騎士カリムやクロノ・ハラオウン提督らの計らいでクラナガン北部、ベルカ自治領に駐屯していた。

そこで仮設ではあるが専用の宿舎と格納庫を用意してもらい、そこで寝泊まりをしていた。
隊員達の心に出来た傷は大きく、士気は著しく下がっていた。
しかし、撤退してきた日に比べれば、だいぶ落ち着いてきたと言える。
バルクホルンは、自らの不甲斐なさを気にして撤退してきたその日から、鍛練を続けている。
ヴィータやシグナムも連模擬戦に明け暮れており、ミーナとはやては、様々な場所に呼ばれてはネウロイの対策会議に出席していた。しかし、未だ有効な対抗手段を見出だせないでいる。
その他の隊員にしても以前よりも口数が減り、何だかどんよりとした空気が流れてしまっていた。

その日の夜、美緒はミーナの部屋を訪れていた。
「ミーナ、この間のネウロイについてだが…」
「ええ、わかってる。調べはしてみたわ。でも、この世界じゃ…」
「やはり思うようには調べられん、か」
「元の世界でなら、何かわかるのかも知れないのだけど…」
「まぁ仕方ないさ。ネウロイの出現例は、この世界にはないんだからな」
言いながら美緒は部屋の椅子に腰かける。
「そうね。それ故に対策も講じづらくなってるわ」
「今日の会議はどうだったんだ?」
「有効な手立てを見出だせなくて手詰まり、ってところね」
はぁ…と溜め息を吐きながらミーナは話す。
「だが、まさかネウロイの巣が自力で移動をしてくるとはな」
「それは私も驚いた所よ。こんなパターン、今までなかったもの」
「ああ。それに不可解なのは、何故あれだけ大量のネウロイを一挙に市街地へ送り込めたか、だ」
「トゥルーデは、突然空間を裂くようにして現れたって言っていたわ」
「何かネウロイだけが使える転送方法のようなものがあるんだろうか。いずれにせよ、今回のネウロイは今までのそれとは違う、ということだな」
「そうね」
二人は更に議論と推論を重ねていく。

「トゥルーデ、ご飯食べに行こ~」
エーリカがバルクホルンにそう促す。
「私はいい。腹が減ったなら一人で行け」
片腕で腕立て伏せをしながらバルクホルンはエーリカの誘いを断る。
「でもトゥルーデ、ずっとトレーニングしてるじゃん。少しは息抜きもしないとだよ?」
「うるさい。だいたいハルトマン、ネウロイにいいようにしてやられたこと、カールスラント軍人としてお前は悔しくも何ともないのか?」
「トゥルーデ、気にしすぎだよ。私だって悔しくないわけじゃないけど、そんな時もあるって。それより私は、あれだけ大規模に攻められたのに皆無事でいられたことの方が嬉しいよ。トゥルーデは、そう思わない?」
「私は……いや、確かにお前の言うことも一理あるかも知れないな。犠牲者が出なかったのは不幸中の幸いだ」
そう。3日前のネウロイによる奇襲の時、セイバーズ及び管理局本局局員、それに民間人における犠牲者の数は奇跡的に0だったのだ。
「でしょ?」
「あぁ。これも1つの意味で勝利と言えるのかも知れないな」
そう言ったバルクホルンの口元には久方ぶりの笑みがこぼれていた。

格納庫ではシャーロットが気晴らしに自分のストライカーの整備を行っていた。
「ん?」
作業しながら横目でチラッと見やると、フェイトが興味深そうにストライカーを眺めていた。
「ストライカーに興味あるのか?」
フェイトに向けてシャーロットはそう問いかける。
「え?あ、えっと…うん。私達の世界には無いものだから珍しくって」
「そっか。ま、当然だよな」
「これって、どうやって動いてるの?」
「装着者の魔力を原動力にしてるんだ。詳しく話すと長くなるけど、この中に魔導エンジンっていうのが積まれてて、そこに…」
フェイトに訊かれるとシャーロットはストライカーについて解説を始める。
「っていうふうな感じかな。簡単に説明すると」
「なるほど…。モデルとかはあるの?」
「一応、陸軍や海軍なんかが使ってる戦闘機をモデルに造られてるよ。例えば私のは…」
「P-51D ムスタング…かな」
と、二人の会話に割って入る者の姿があった。
「なのは!」
「その通りだ。よく知ってたな」
なのはの方を見ながらシャーロットは言う。
「こっちは」
「零式艦上戦闘機…かな?」
「これは?」
「うーん…流石にわかんないや」
なのはは苦笑いで返す。
「なのは。よく知ってたね」
「昔、インターネットで少し見たことがあるだけだよ」
「なのは達の世界にも、あるのか?こういう戦闘機が」
「うん。と言っても、私達の世界だともう何十年も前の戦争で使われてたものなんだけどね」
「そうなのか…。ちなみに、今はどうなんだ?」
シャーロットのメカ魂に火が点いたようだった。このあと、なのははしばらく質問攻めにあった。

大浴場では複数のセイバーズの面々が入浴していた。
「もう3日になるのね…」
湯に浸かりながら、不意にティアナが口を開き呟いた。
「ティア…あんまり気にしすぎない方がいいよ。あの時はもう、どうしようもないくらい追い詰められてたんだし…」
「わかってる。わかってるわよ、そんなこと。でも…」
あの時。咄嗟に何も手立てが浮かばなかった自分にティアナは不甲斐なさを感じていた。確かにスバルの言う通り、追い詰められはしていたものの彼女は納得がいかないようだった。そうして3日、一人で悩み続けていた。
「一人でダメなら、皆で考えれば良いんですよ」
と、リーネが口を挟んだ。
「でも私は、センターガードとしてフォワードの他の三人にも的確に指示を与えなき…」
「じゃあ貴女はあの数を相手に、たった四人で戦おうとしていましたの?」
ペリーヌに重ねて問いかけられ、ティアナははっと口を紡ぐ。
「何もあなた達だけで戦う必要はありませんのよ。あなたの仲間も、わたくし達もいるではありませんの。一人で背負い込まず、仲間を頼るというのも大事なことですわよ」
「……そうね。簡単なことよね。私には、頼れる仲間達がいるのよね。それなのに私は、一人で必死になって、何か自分が凄く恥ずかしいわ」
「一人じゃ無理でも、皆と一緒なら出来ることが沢山あります!」
「そうだよ、ティア。私達四人だけじゃない。皆いるんだから。だから、皆と一緒に頑張ろう!」
「ええ、そうね!」
迷いの吹っ切れたティアナの顔には笑みが戻っていた。

シャーロット達が話す傍ら、エイラとサーニャは夜間哨戒任務の準備をしていた。
「サーニャ、準備できたか?」
「もう少しだから、待ってて」
ストライカーの暖気をしつつ、二人は会話をする。
「これから哨戒任務かぁ。ご苦労様や」
背後から声。見ると、はやてが仲良さげに話す二人の後ろに立っていた。
「あ…お疲れ様です」
「お疲れ様です」
サーニャが言うと、エイラもそれに倣う。
「そんなかしこまらへんでええよ。今は勤務外の時間やし。あ、でも二人はこれからやったね」
そう言って誤魔化すようにはやては笑う。
「それにしても二人、仲良いんやね?」
はやてが二人が手を繋いでいるのに気付いて言う。
「えっ?」
「わ…わわっ」
言われてエイラは、顔を赤くして慌てて手を離す。
「……」