魔法少女リリカルウィッチーズvol.2
その様子を見たはやては、エイラに近づくと耳元で
「もしかして…サーニャちゃんのこと、好きなん?」
とからかうように囁いた。
「………」
「ん?あれ?おーい、エイラちゃーん?」
からかったつもりだったのだが、エイラが耳まで赤くしたものだから、はやても驚いてしまっていた。それからしばらく、沈黙が流れる。
「う…うるさいうるさい!人の勝手ダロー!!
」
唐突にそう言うとエイラはストライカーのエンジンをふかして飛び立って行ってしまった。
「あっ…エイラ!?すみません、失礼します」
ペコリと頭を下げるとサーニャもエイラの後を追って飛び立って行った。
「……まぁ、愛の形は人それぞれやしなぁ…」
後に残されたはやては呆然と二人の飛び立って行った夜空を眺めていた。
リラクゼーションルームではエリオ、キャロ、ルッキーニが会話をしていた。
「ねぇねぇ、エリオとキャロってさー…付き合ってるの?」
唐突に、ルッキーニがそんなことを訊いた。
「え…えええっ!?いやいや、付き合ってなんかないよ!」
顔を真っ赤にしながらエリオが否定する。ちなみに歳が近いため、三人はタメ口で会話している。
「そうなんだ」
「どうしてそう思ったの?」
キャロが訊き返す。
「んー、何か二人の仲が良かったから」
ニコニコしながらルッキーニが言う。
「僕たちは前の部隊から一緒だからね。どっちかって言うと、家族みたいなものなんだ」
「エリオ君の言う通り、私達は二人ともフェイトさんに引き取ってもらってて、だから家族同然なの」
「そうだったんだ。フェイトって、あの金髪で、シャーリーくらいおっぱいおっきくてパフパフ出来そうな人?」
「う、うん。そうだよ」
おっぱいと聞いて意識してしまったのか頬を赤らめながらエリオは答える。年頃の男子である。
「あっ!エリオ、顔まっか~!」
「えっ、あ…」
ルッキーニのからかうような言葉にエリオは更に頬を赤く染める。キャロがじとーっと横目でエリオを見る。
「そ…そろそろ消灯だし、戻ろうか」
誤魔化すようにエリオが言うと、三人は立ち上がってリラクゼーションルームを後にした。
消灯後、格納庫に芳佳は訪れていた。彼女は自分のストライカーである震電に手を触れる。
「何してるの?とっくに消灯時間は過ぎてるよ」
そんな芳佳の耳に声が届く。はっとして見やれば、そこにはなのはの姿があった。
「なのはさん…」
「これ、芳佳ちゃんのストライカーだよね?」
「はい。J7W1震電…。私の新しい翼です」
「新しい?」
「はい。これを手にいれたのはつい最近なんです」
芳佳は震電を手にいれるに至った経緯を話して聞かせる。
「そうなんだ。お父さんの…」
「私のお父さんが、私専用に造っていてくれた機体なんだそうです。そのおかげで私は、また空を飛べるようになりました」
「芳佳ちゃんは、どうして飛ぶの?」
「私は…私が飛ぶことで、皆を護りたい。護りたいから、私は飛ぶんです」
「そうなんだ。立派だね」
語る芳佳になのはは微笑んで返す。
「なのはさんはどうしてなんですか?」
「私も、大きくは芳佳ちゃんと一緒かな」
「そうなんですか」
「うん」
「……次は勝ちましょうね、絶対」
「うん、そうだね」
二人は決意を新たに誓い合った。
そして夜は、静かに更け行く…。
作品名:魔法少女リリカルウィッチーズvol.2 作家名:Dakuto