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魔法少女リリカルウィッチーズvol.2

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6th MISSION


撤退から1週間が過ぎた。
あれからネウロイは小出しに部隊を送ってくるのみで、この前のように大規模な攻勢に出てくることは無かった。

その夜も、サーニャとエイラは夜間哨戒の任務へ出立しようとしていた。
だが…
「あれ?」
「どうしたの、エイラ?」
「何か魔導エンジンの調子がおかしいぞ…?」
エイラのストライカーからは煙が出ていた。すぐにエイラは整備班の人を呼ぶ。
「エイラ。私一人でも良いから先に行ってるね」
「サーニャ、でももし敵が出てきたら…」
「大丈夫。その時はすぐに基地に知らせるから」
「私も直ったらすぐ行くから、気を付けるんだぞ」
「うん」
こうしてサーニャは一足先に飛び立っていった。
「ユーティライネン中尉、これはちょっと時間がかかりそうです」
エイラのストライカーを修理していたs整備士が言う。
「なるべく早く直してほしいぞ」
「はい。急ぎます」
整備士はストライカーを修理していく。

サーニャは魔導針を展開しながら普段の巡回路を飛んでいた。
「……」
こちらの世界に来てからはいつもエイラと飛んでいて話せる相手がいたため、久しぶりに一人になると若干の心細さを感じていた。
その代わり、この世界に来てからは頻繁に電波を受信して夜間のラジオ放送に耳を傾けることも多くなった。今もそうしてラジオ放送を通して音楽を聞いている。
「……」
ただ、やはり心細さは拭えなかった。

それからしばらくが過ぎた。
「!」
サーニャの魔導針による広域探査に反応があった。
「10時方向…ネウロイ確認。数は…10…!」
二人なら何とかなりそうな数ではあるが、一人、ましてサーニャの持つ武器『フリーガーハマー』では相性の悪そうな小型から中型ネウロイ編隊の反応が出ていた。
「基地に通信を…」
そう思い、通信を入れようと試みる。が、
「通信妨害…!ネウロイの仕業…!?」
ジャミングが施されたようで本部と通信が出来なくなってしまっていた。
その間にもネウロイは距離を詰めてきている。
仕方なしに、サーニャは基地への通信回線を開きつつ戦闘態勢へと入った。
小型の物はガジェットⅠ型と元の世界にもいた小型の円盤型ネウロイが四機ずつ、それから中型の物は先端が何やら膨らんだ特異な形をしたネウロイが二機の混成部隊だった。
そして中型ネウロイは、その膨らんだ部分から定期的に紙吹雪のように舞い散る何かを吐き出している。
『あれが、通信妨害に関係してるのかな…?』
考えながらサーニャは一先ず中型ネウロイへ向けてフリーガーハマーの照準を定める。とにかくジャミングをどうにかしなくては援軍を呼べないからだ。
狙いを定めるとフリーガーハマーのトリガーを引く。すると九発のロケット弾がそれぞれ中型ネウロイの一方へと向かっていく。それは何発かが直撃して装甲を剥ぎ取る。が、残りは当たらずあらぬ場所へ向かっていく。このようにフリーガーハマーは命中精度が良い訳ではないため、大型のネウロイの方が戦いやすいのだ。
そしてすぐにネウロイの再生が始まる。させるまいとサーニャは再びトリガーを引く。
が、やはり中々削れてはいかない。小型ネウロイがレーザーを撃ってくる。サーニャはそれを避けつつ距離を開け、なるべく固まっている小型ネウロイの集団へ向けてフリーガーハマーのロケット弾を放つ。周囲に誘爆させる狙いがあってのことだ。

その頃エイラは修理を待ちながら嫌な予感めいたものを感じていた。
「うわ…」
試しにタロット占いをしてみた所、良くない結果が出てしまった。
そして彼女はサーニャが今いるだろう辺りの空に目を凝らす。と、暗いはずの夜空がやけに明るくなっていた。
「サーニャ…!?」
その瞬間、エイラの嫌な予感は確信に変わった。ネウロイが出現したのだ、と。
「あとどのくらいかかるんだ!?」
焦った面持ちでエイラは整備士に話しかける。
「あと数分てとこです」
「早く!きっと敵が来てる!サーニャが一人で戦ってるんだ!」
それを聞いた整備士は急ピッチで作業を進める。
そして数分後。
修理が完了したストライカー『Bf109k-4』にエイラは搭乗する。
『サーニャ、無事でいてくれ…!』
援軍を出すよう整備士に伝えて魔導エンジンをふかして空へと飛び立った。

サーニャは変わらず通信を続けながら交戦していた。が、徐々に数の差で押されはじめてきていた。
「このままじゃ…!」
ネウロイの攻撃を回避しながら、それでも尚サーニャは攻撃にも転じる。しかし、中々有効な打撃は与えられない。
シールドを使っているのも相まって魔力の消耗も気にかかる。息切れも目立ち始めてきていた。
そんなサーニャの周囲をネウロイ達は段々と包囲していく。
「っ…!」
囲まれ、サーニャの心を絶望が襲う。エイラのストライカーの修理が終わるまで待っていれば…。そんな後悔を彼女はしていた。そして、一機の小型ネウロイが、無情にもレーザーを放つ。
サーニャはそれをシールドで受け止める。が、
「ぅあっ!」
限界に達していたシールドは程なくして破られ、サーニャは衝撃で海へと落下していく。

『エイラ……』
サーニャは薄れそうになる意識の中、自分にとって大切な一人の友人のことを思い出していた。次に撃たれれば確実に死んでしまう。撃たれなくてもこの高度では海に叩き付けられて…。驚くほど冷静に、彼女は同時にそんなことも思っていた。せめてもう一度、エイラと会って話したかったな…。そう思いながら彼女は落下していく。

……。

一方エイラは出せる限りの速力でサーニャの元へ駆け付けるために飛んでいた。
「急がないと…!サーニャ、サーニャ…!」
飛んでいると、前方にネウロイらしきシルエットが見えてくる。そして、その下方。
「っ…!サーニャ…!!」
落下していくサーニャを見て、エイラは思わず息を飲む。そして、
「サーニャぁぁぁぁぁっ!!」
次の瞬間にはサーニャを助けるため下降していた。

『声が聞こえる…。私を、呼んでる?誰?私を呼ぶのは、誰…?』
意識が無くなりかけたサーニャの耳に声が届く。と、不意にふわりと落下していくはずの体が持ち上がった。それを感じてサーニャは目を開く。
「サーニャ!」
「エイ…ラ…?」
「良かった…サーニャ、怪我は無いか?」
「大丈夫…。それより、ありがとう。私…」
「話は後でゆっくりしよう。今はネウロイを…」
「そうね」
サーニャに離れているように伝え、エイラはゆっくりと上空に控えるネウロイを見上げる。
「お前ら…サーニャをよくも……絶対、許さないっ!!」
そう叫んだ後、エイラは勢い良くネウロイへ向かって上昇する。当然、迎撃のためにネウロイもレーザーを撃ってくる。
「そんなの、当たるか!」
固有魔法である未来予知を発動し、エイラはネウロイからの攻撃を全て複雑な機動で回避、ガジェット型ネウロイに狙いを定め、トリガーを引く。ものの数分で小型ネウロイを全て撃破してしまった。
「あとは…」