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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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 情けなく娘の命令に従うはめになった。彼は自問した。本当に自分は父親としての自覚を持っているのだろうかと。

「かかれ!!」

 マルチナの合図で一斉に兵士が槍を突き付け、彼女を取り押さえた。マルチナはそのざまを見て高笑いしていた。

「“爆煙舞(バースト・ロンド)”!!!」

 アメリアがその呪文を発動した。すると地面から複数の小さな火球が飛び交い、兵士を吹き飛ばした。マルチナは焦りを見せる。

「くっ…、魔道に長けているのは本当らしいわね…。だけど、こっちだって…!!」

 するとマルチナは口笛を鳴らした。
 微かに残る煙の中から、例の魔道士の姿が現れた。マスクを外し、アメリアと対峙した。
 彼女はその魔道士を見て、驚いた。

「はっ…! ゼルガディスさん!!?」

 ゼルガディス=グレイワーズ。実は彼もまたリナ達の旅仲間であった。彼はこう見えても元々は普通の人間であり、かつての宿敵、赤法師レゾによって合成獣(キメラ)にされたための容貌であった。

「こんな再会をするとはな…。ほっ…、何の縁だか…」

 ゼルガディスが小声でそう呟くと剣を抜き、アメリアに向けた。

「どうしてゼルガディスさんがここに!?」
「俺は今この国に雇われている。つまり今の俺とお前は、敵同士ということだ」
「そっ、そんなぁっ!!?」

 ゼルガディスがそう言い放つと彼女はさらに愕然とした。

「最近俺はお茶目な奴と思われているようだが、これが本来の俺の姿だ!」
「ああっ…!! かつて正義の為に戦った2人が、引き裂かれて戦い合わなければならないなんて…!! なんて燃えるシチュエーション!!」
「おい…!」

 何故か前向きに立ち直り、ゼルガディスは思わず扱けそうになった。

「俺の力は知っているはずだな、アメリア」

 ゼルガディスは構えの態勢に入った。彼女もまた構えた。彼はやる気だが、彼女は葛藤していた。

―かつての仲間と本気で戦うなんて…、でも、ゼルガディスさん相手に手加減なんかしたら勝てるわけありませんし…。けど、昔の仲間だからといって、その行いを全て多めに見ることも、決して正義とは…。

「はっ…! ああっ…!!! いつの間にぃぃっ!!!?」

 不覚にもアメリアが葛藤している隙を取られ、沢山の兵士に縄で腕ごと巻きつけられていたのだった。これでは呪文が使えない。ゼルガディスはあまりの彼女のドジさにまたもや扱けそうになった。マルチナはすっかり大喜びしていた。

「さすがにやりますねゼルガディスさん!! 私の正義を愛する心を逆手にとっての心理攻撃とは…!!!」
「別に狙ってやったわけではないのだが…」

 ゼルガディスは剣を鞘に戻しながら、そう返した。
 彼女は父親譲りで正義という志に心酔していた。ほとんど彼女が戦うときにはそれを忘れずに、それをモットーにしていたのだった。そのため、このようにドジを踏むようなことがあるのであった。
 結局、アメリアは城内の塔にある鐘の裏に吊るされた。ゼルガディスは塔の淵で座り込み、外を眺めてたそがれていた。

「私は世界の平和のためにここで散るのよ…、はぁ…、なんて美しい…!」
「もしもに浸ってる場合じゃないんだけどねぇ…」

 モロスは、こんな状況でもよく普通に妄想を繰り広げられるなと呆れていた。

「はっ…、それはよく考えたらそれは私の役じゃない!! 私は囚われの姫を助けるヒーローになりたいのにぃぃっ!!!」
「何訳わかんないこと言ってるのよ! …ともかく、これでセイルーンは私の思うがままよ!」
「いや、お前じゃなくて―」
「いいえ、いかに陰謀を巡らそうとも、最後に勝つのは正義です!! 確かに今の私は囚われの身!! 正義を愛する誰かが私を助けに…!!」

 来た。爆発音が鳴り響いた。すさまじく砂煙を放ち、兵士が吹き飛ばされていた。

「なっ、なんだぁっ!!?」
「もしかして、セイルーンの奇襲攻撃!!?」
「そんなぁぁぁっ!!!」
「“炸裂弾”!!!」

―この声はもしかして、リナさ―

 思いの声をかき消して、塔の天辺が大爆発した。破片が次々と落ちて来る。

「よっと!」
「助けに来たわよ、アメリア!!」

 そこに現れたのはリナ達であった。リナは“翔封界”、悟空は舞空術を使って着地したが、ガウリイは唯一空を飛べないため2人に支えられていたが失敗した。

「だっ、誰だ貴様は!!?」

 リナは髪を靡かせ、自らを名乗り出た。

「ふん…、問われて名乗るもおこがましいが、誰が呼んだか美少女天才魔道士リナ=インバース―」
「お、おい…」
「ああああっ!!! 何よもう!! 今いいところなんだから邪魔しないでよぉっ!!!」

 ガウリイに決め台詞を遮られ、いらつきながら彼に応えた。

「どうでもいいけど、アメリアまでふっ飛ばしちゃってるみたいだぜ」
「えっ?」
「ありゃまぁ」

 悟空とリナがガウリイの指差した方向に目をやると、アメリアがボロボロの姿で首まで鐘を被っていた。

「大丈夫アメリア!!?」

 3人は駆け付け、リナが鐘を振ってみた。すると、アメリアの頭が振動し、脆くなった鐘を砕き割った。

「随分かてぇ頭してんだなぁこいつ」
「大丈夫じゃありませんよ!! なんてことするんですかリナさん!!」

 アメリアはリナの姿に気付くと文句を言った。

「ごめん! なんせ久しぶりなもんで力はいっちゃってさぁ…、でも心配して助けに来たもんだからいいじゃないのよ!」
「よくありません!!」

 リナは何とか誤魔化そうとしたが、アメリアに言い訳は通じなかった。

「とにかく、こいつらが黒幕ってわけか!! おめぇらのことは既に聞かせてもらったわ!!」
「あんたらの悪事はこれまでよ!!」

 2人はモロスとマルチナの方に振り向いてそう言い放った。

「おっ、お父様…!」
「リナ=インバースだとぉっ!!!? もしやあの滅び屋の申し子、生きとし生けるものも全てを天敵、通った後には破壊と殺戮しか残らないという、あのドラまた―」
「うるさぁぁぁいっっ!!!!」

 散々悪名を言われたリナはついカッとなって遮った。ちなみに、リナはドラゴンでさえも跨るという武勇伝もあるのであった。

「おめぇ、やっぱわりい奴じゃねぇのか? どこでもボロクソ言われてんじゃねぇか」
「あんたも黙ってなさいっっ!!!」
「わかったわかった…!」

 悟空は困惑しながら落ち着かせようとした。

「かかれぇぇっ!!!」

 モロスが言い放つと、一気に兵士が3人に襲ってきた。

「はぁぁぁっ!!!!」

 しかし、一人で十分だった。ガウリイは鞘から剣を抜くと同時に、大きく剣を振り上げ、兵士を吹き飛ばした。
 周りに誰も2人を守る人達が全滅してしまったので、すっかりオロオロしていた。

「自己紹介が遅れたが、俺はこいつの保護者、ガウリイ=ガブリエフ!!」
「オラは孫悟空だ!!」

 2人は名乗りを上げた。
 もはや数分で悟空達が有利と化していた。

「ぜっ、ゼルガディス様ぁぁぁっ……!!!」

 マルチナは助けを呼んだ。すると、破片の山の天辺にゼルガディスが着地した。4人は目をやった。

「あっ、あいつは…?」