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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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「さあ、魔人ゾアメルグスターの名のもとに、行きますわよーーっ!!!」

 ゴーレムから異様なオーラが湧きだした。

「なんか世界が違うような…」
「魔人ゾアメルグスターって…」
「知ってるのか!?」
「あたし、その手の伝説や伝書には結構詳しいんだけど、聞いた事ないわねぇ…」
「えっ…?」

 魔人ゾアメルグスターはリナでさえも知らない謎の存在であった。それに対し、マルチナは得意げに次のことを言い放つ。

「貴方達が知らないのも無理はないわ」
「ふえっ?」
「魔人ゾアメルグスターとは…、私が考え出した魔人だもの!」

 いわゆる空想上の魔人であり、当然実在しない存在であった。しかし、彼女はそれでも本当に存在すると信じ込んでいるのである。

「そんなの知るかぁぁぁぁっ!!!!」

 リナは怒声を浴びせた。そう言うのも無理はない。

「そんなこと平気で言ったら、オラ達ビビるどころか、呆れちゃうよな」
「ある意味可哀そうですね…」

 悟空とアメリアは困惑しながらコメントを付け加えた。
 自分で作った想像上の人物を自分が浸透するとは、まさにどうかしていると言われるのは避けられ難い。

「行くわよ!!」

 マルチナは一つのレバーを横に捻った。すると、ゴーレムの胸部が大きく展開し、中から壺状の装置が引き出してきた。
 ある方向に照準を合わせ、もう一つのを大きく引っぱった。すると壺から青い閃光が放たれ、真っすぐに光が飛んで行った。すぐに照準の先で大爆発が起こり、茸状の黒煙が湧きあがっていた。見た感じだが、大規模の被害を受けたであろう。リナ達は唖然としていた。

「ひぇぇぇぇぇぇっ……!!!!!」

 特に悟空はゴーレムのビーム砲の威力に仰天していた。これはさすがのリナ達も、まともに喰らってしまえば一溜りもない。

「ふはははは!!! 見たか!! 我がゴーレムの力を!!!」
「感謝するのね! 貴方達を魔人ゾアメルグスターの最初の生贄にしてあげるわ!!」
「じょーだんじゃないわよ!!!」

 勿論リナ達はやられるわけにはいかなかった。むしろ、所詮フィクションに過ぎない魔人の生贄に何故ならなければならないのかと、彼女の趣味には誰もが呆れ果てていた。

「覚悟っ!!」

 マルチナは先ほどのレバーの柄を掴み、リナ達のいる所に照準を合わせた。

「ちっ…!!!」

―こいつにはわりいけど、誰も知らねぇし、何処かのおとぎ話に出るようなやつの生贄になるなんてまっぴらだな!!

 悟空はかめはめ波の体制に入った。何とか相殺させようとしているのであった。

「ふふふ…!!」

 一気にレバーを引き、壺からビームを放った。

「波ぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 悟空もまたかめはめ波を放ち、ビームとぶつかりあった。













 という風に決死の戦闘シーンと化することになるはずだった。













 マルチナがレバーを引くとビームを出すどころか、コクピットのどこかから湯気が漏れ始めた。

「うひっ!!?」
「ふぇっ!!?」
「ありぃっ!!?」

 マルチナ、リナ、悟空はつい間抜けな音をつい漏らしてしまった。
 ゴーレムの所々から湯気が漏れ始め、そして動きが止まった。ゆっくりと前のめりに悟空達の方に倒れ始めた。

「ちょっとちょっとぉぉぉぉっ!!!!」
「うああああああっ!!!!」
「「「「うわあああああああっ!!!!」」」」

 ゴーレムは見事に倒れ、大量の砂埃が立った。悟空達は倒れると同時にすぐに走って逃げたので無事である。
 砂煙が消えた後に残ったものは、無残にも粉々に砕けてしまったオリハルコンゴーレムの哀れなる姿であった。

「考えてみたら、魔道書と共に伝わってたってことは、あのゴーレムは相当古いってことよねぇ…?」
「そういやぁあのおっちゃん、千年前の眠りとかなんか言ってたしな」
「そうそう」
「そんなの、まともに動くわけないじゃないか」

 リナ達がいうには、思ったよりもそんなに大した事のない相手だと実感したということだ。
 瓦礫にはモロスとマルチナが挟まっていた。

「た…、たたたた助けて……」
「ちょっとあんた達!! 堂々と呑気に見てないでどうにかしてよっ!!!」

 マルチナが自分達を蔑にしているリナ達に吼えてきた。

「どうにかって言ってもなぁ…」

 次の瞬間、先ほどのビーム砲と思われる装置から火花が走った。マルチナがすぐに振り向いたと同時に、同じようなビームを放ち、城のほとんどを破壊し始めた。

「あっ、暴走してるし」
「とっ、とっ…「止めてぇぇぇっ!!!! ああああっ、止めてよぉぉぉぉっ!!!!」」

 今はリナ達を敵と見なしている状況ではなかった。すぐにその2人は彼女達に助けを求めた。

「止めてって言われても…」
「並の呪文も、攻撃も通じないとなれば…」
「ってことは、並の呪文じゃなきゃいいのよね?」
「ええ、まぁ…。……あああっ!!!!!」

 アメリアはリナの短絡的に導いた解決法の内容を自覚した。

「そっか、あれを使うんか!! こんなことはリナ一人で充分だろ?」
「当たり前でしょ!? こんな欠陥だらけのガラクタを一掃するなんてチョチョイのチョイってもんよ!」

 リナは悟空の問いに対して自信満々に答えた。

「悟空さん!!! リナさんがあれを使うと周りの人に被害がぁぁっ!!! …こうなったら、警報を鳴らして避難させないと!!!」
「そうだな!!」
「ちょっとあんた達、あたしをおちょくってるんじゃないわよね…?」

 リナがアメリアとガウリイの、まるで自分が危険人物と見なすような発言にいら立っていた。

「竜波斬警報発令!!!」
「市民の皆さんは直ちに避難してくださぁぁぁい!!!」
「早くこの街から逃げるんだ!!! ここにいたらみんなあぶねぇぞぉぉっ!!!」

 悟空はブザーを鳴らし、アメリアとガウリイはメガホンを用いて喚起した。
 人々はそんな他愛もない目的での避難であるにもかかわらず、まるで騙されたかのように一斉に街から逃げ出していた。

 リナは大きく腕を広げ、呪文を唱え始めた。

「『黄昏よりも暗き存在、
  血の流れより紅き存在、
  時の流れに埋もれし
  偉大なる汝の名において、
  我今ここに闇に誓わん、
  我等の前に立ち塞がりし
  全ての愚かなるものに
  我と汝の力もて、
  等しく滅びを与えんことを』…!!!」

 恐れをなすモロスとマルチナをよそに、両腕を右脇腹に持ち込み、両手に魔力を貯め、両手を前に突き出した。

「“竜波斬”!!!」

 掌から“竜波斬”を放ち、装置に向けて真っすぐ飛ばした。

「はぁぁっ…! 確かに、並の呪文じゃ効かないって言ったけどぉぉぉぉぉっ!!!!」

 あまりにも効きすぎた。それよりむしろ、今のゴーレムの状態ではどんなレベルの呪文でもすぐに撃破できるほど老朽化が進行していたのであった。しかし、マルチナの悲鳴はあまりにもタイミングが遅すぎた。
 装置を中心として、一気に爆発し、さまざまな建物を飲み込んでいった。

***

「まっ、運が良ければ助かってるようなもんでしょ?」