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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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4.敵か味方か!? 謎の神官ゼロス介入!!



 ただの跡地になってしまったゾアナ王国を後にし、旅に出始めたパーティ一行、総勢5人。

「アメリアさまぁぁぁぁーーーーーっっ!!!!」

 セイルーンの家来2人が追いかけてきた。しかも、その一人は彼女の着替えが入った鞄を持っていた。僅かな傷は残っているものの、奇跡的に“竜波斬”に耐え抜いたので、彼女は大喜びした。このままこんなボロボロのドレスを着たままの姿だと恥ずかしくてたまらない。
 早速ガウリイとゼルガディスは、アメリアの身長の2倍ほどある布を半分に折り、その中に彼女が入った。ドレスを脱ぎ、服や星印の付いた青い球のリストバンド、アミュレットを装着し、着替えが完了した。リナ達と旅に出る時はいつも、この服装である。
 それが済んだ事で、次の目的地へと出発した。その道のりは長かったが、リナ、ガウリイ、アメリア、ゼルガディスの4人が再会し、そして悟空が新たに加入したことで、今までの雰囲気とは大きく異なっていた。いろいろ雑談しながら、森の中を歩いていった。
 夜になると、焚火をして、持ってきた肉を焼き始める。いい具合になると、肉を貪り合っていた。特に悟空とリナ、ガウリイである。後の2人は普通に食べていた。

「おやおや…」

 そんな5人を、木の上から見下ろしていた紫色の髪の青年がいた。うまく気配を隠していたので、彼らには気づかれていない。この青年は以前、この世界に来たばかりの悟空の姿も目撃していたのだった。

***

 旅には休憩が付き物である。旅を続けていたある日の正午、ゼルガディスを除く全員は、通りかかった草原で休憩を取っていた。触り心地がとても良いので寝転んでいたのであった。空は青白の比率が丁度よかった。
 そんな気持ちよさが眠気を誘ってくるのも、よくある話であろう。

「ふわぁ〜…」
「あ〜あ、いい天気〜」
「平和だなぁ…」
「気持ちいい〜…、これで弁当もあればピクニックですね」
「うん、そうだわねぇ。けどあたし達は旅の途中だし、そうそうのんびりしてはいられないわねぇ…」

 ガウリイはあまりの気持ちよさに眠りこんでいた。寝返りを打って、腕をリナの胸に置いてきた。

「ふん…、そんな呑気になっている暇があったら、お前達だけでそのままここで野宿すればいい…。俺はそういうの―」
「ぬああああっっ…!!! コラぁっ、寝るなぁぁぁっガウリイぃぃぃっっ!!!」

 言い切らぬ間に、リナはすぐに起き上がり、ガウリイを前後に大きく振って起こそうとした。しかし、彼は既に爆睡していた。旅を進めたがるリナにはイライラさせるだけだった。

「いいじゃないですか。もう少しこうしていたいですよね? ねっ、ゼルガディスさん?」

 しかし、一言も戻ってこなかった。違和感を感じ、彼女は起き上がった。

「ゼルガディスさん…?」
「あれっ、ゼルのやつがいねぇぞ?」
「ふえっ?」

 見回すと、彼がまるで誰も付き人を持ってなかったかのようなオーラを醸しながら、独り身で先に出発しているのに気付いた。

「ああああっ!!!」
「もう自分勝手なんだからぁぁっ…! ちょっと待ちなさいよ、ゼルーーっ!!!」
「あいつ、そんなに急がねぇでもいいじゃねぇか」

 ガウリイを引き摺るリナ達は彼を追いかけた。そんな彼の利己的な行動に困っていたのだった。

***

 夜、ある街中の宿で食事を取っていた。
 一行は何とかして捕まえたものの、ゼルガディスは不満を持っていた。再びリナの旅に加わってから、あまりにもペースが遅くなっていた。すぐにでも元の身体を取り戻して、人生をやり直したい彼はついに本音を吐露した。

「確かに…、俺は“異界黙示録”を探す旅に出るとは言った。しかし…、これはあくまで個人の問題だ! それをだな……、勝手についてきて……、とやかくいるのはやめてくれって――聞いとんのかお前らぁ!!!!」

 ゼルガディスは立ち上がって一喝した。今彼は蚊帳の外にいる状態であった。4人も誰も彼の話に耳を傾けようとせず、食べることに専念していた。

「しょうとはいふけど、『ふぁいしょうでしゅか』っていふとおもうのぉっ!?」
「いうぁないでしゅよ!!」
「あのなぁ、食うか喋るかどっちかにしてくれ…」
「「「「ふぁっ…?」」」」

 一瞬4人の手が止まり、ゼルガディスの顔を見た。しかし、結局は全員一致で食べるほうを選び、再び食べ始めた。彼はすっかり呆れていた。

「俺が悪かった…、食うのをやめて喋ってくれ…」

 今自分の言った言葉を渋々ながらも訂正し、何か言ってくれるように頼んだ。
 するとリナはジュースを一気飲みし、器をガタンと鳴らして置いた。そこからリナ側の反論が始まった。

「そうはいうけどねぇっ、満更知らない仲じゃあるまいし、『はい、そうですか、それじゃあ!』って行くと思うのぉっっ!!?」
「水臭いですよゼルガディスさん。折角こうしてみんなが再会できましたし、新しい仲間もできたんですもの。私たちにできる事ならば、協力します!」

 ゼルガディスはリナ達の仲間だ。それぐらいは彼でも分かっている。しかし、今では自分のことを優先したかったのだ。

「俺には単なる退屈凌ぎのように思えるのだが…」
「やだわ、そんなことないわよ! ねっ、アメリア!」
「えっ? え…ええっ!! 勿論ですとも!!」
「まあいい…。とにかく…、俺の邪魔だけはしないでくれ。俺は……、別世界の魔族や魔法の奥義が記されているという、謎の魔道書“異界黙示録”の存在に……、全てを懸けているのだからな…」

 彼は邪魔しない代わりに、彼らが協力することを遠回しに認めた。

「ふ〜ん…。で、それを見つけてどうするつもりなんですか?」
「「だあああっっ!!!!」」

 アメリアの素朴な疑問はリナとゼルガディスをこけさせた。

「えっ? だって、魔族を懲らしめるためにゼルもそれを探してんじゃねぇのか?」
「あのなぁ…」
「ゼルはねぇ…、“異界黙示録”に記された呪文を使って、合成生物にされた身体を元に戻そうとしてるんじゃないの!」
「いいっ!!? おめぇ魔族じゃねくて人間だったのかぁっ!!?」
「「「「でっ…!!!」」」」

 今度は5人がこけた。今更だが、初めて出会った時はすっかり魔族だと思い込んでいたのだった。当然ゼルガディスは魔族ではなく、邪妖精と岩人形との合成獣にされた、哀れな青年である。とはいえども、外見は自分でも異様な姿をしているため、さらに悪行を続けていたので、リナ達に出会う前は色々な人から恐れられていた。

「……今日は何だかムカムカする…」
「まだそんなこと言っているんですかっ!? 結構カッコいいのに…」
「嬉かねぇよ…」

 フォローされてもなお、ただゼルガディスに蓄積されるのはストレスと憂いのみであった。

「もう…、本人が嫌だっつんだから…」
「どうしてですかゼルガディスさん!? 例え見た目が違っても、私達の友情は永遠です!! …それなのに…」
「何の友情だか…」
「ちょっとデリカシーがないわよアメリア。本人を目の前にして、肌が岩だの髪の毛が針金のようだなんて…」

―お前がじゃ!!!