二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

INDEX|16ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

 3回目、ゼルガディスはこけた。数本の髪の毛が木製のテーブルに深く刺さっていた。
 ゼルガディスは一気に力を入れて毛を抜いた。

「そこまで言ってませんが、見た目にこだわるなんてやっぱり間違ってます!」
「まあなぁ…、どんなわりいやつでも何か裏にはちょっとした事情を必ず持ってるってぇのもあるしなぁ…」

 アメリアはリナに反論していた。しかし、彼にとってはもう今の雰囲気には懲り懲りだった。

「もういい…。寝るわ俺…」

 ちぢれった一本の毛を真っすぐ伸ばしながら立ち上がり、客室に戻っていった。4人にコケにされた彼の心はすっかり凹んでいた。

「お前なぁ…」
「う〜ん…。ちょっとからかいすぎたかなぁ…?」
「えっ、からかってたんですか!?」

 テーブルには彼の髪の毛が数本刺さったままだった。

「ゼルガディスさん…、髪の毛ちゃんと生えて来るかしら…?」
「お〜いちちち…」

 彼の身を心配しているアメリアとは逆に、悟空はゼルガディスの髪の毛を一本抜いて触っていた。
 一行はそれぞれの客室に入り、寝たのだった。
 リナは自室で髪を櫛で梳いていた。また、夕食時のことを思い起こしながら、ゼルガディスがのどから手が出るほどどうしても欲しがる魔道書のことを考えていた。

「“異界黙示録”ねぇ…。まず情報を集めないと…」

 梳き終わった後、櫛をカランと音を立てて入れ物にしまった。

***

 街ではヨタカが鳴いていた。街の人々は店を閉め、就寝に入っていた。また、誰も街中を歩いていないのですっかり静かだった。
 しかし、突如沈黙を破ったのは街から離れた山地での大爆発であった。

「なっ、なんだ!!?」

 ゼルガディスは瞬く間に起き上がった。自分の剣を持って窓越しで爆心地に目をやった。
 アメリアもまだ眠気はあるもののゆっくりと起き上がった。ガウリイは爆睡したままで、悟空は渋々ながらもベッドから降りた。

「どうしたんだ一体…? ん…?」

 何度も何度も、その山地では炎の柱が出来あがっては消え、出来あがっては消え、と繰り返していた。

―もしかして、魔族のおでましってことか? でも待てよ…、そんなにてぇした気が出てねぇのに…、いってぇ誰が…?

「悟空さん!! 起きてください!! 悟空さん、悟空さん!!!」

 部屋のドアの外から慌てているアメリアの声がしたので、すぐに悟空は道着に着替え、開けた。

「アメリア、どうしたんだそんなに慌てて…」
「そんなに呑気にしている場合じゃないですよ!! どうしても起きてこないんですよリナさんが!!」
「えっ? 何でこんな時に…? リナってそんなにオラみてぇにノンキなやつだったっけ?」

 彼が廊下を見回すとガウリイはゼルガディスが廊下に立っていた。しかし、未だにリナの姿が一向に現れなかった。

「リナにしては随分珍しいなぁ…」
「いや、あいつはそんな能天気ではないはずだ」

―いや、待てよ…。てぇした気を出さなくても、派手にやらかしてるってぇことは……。

 悟空は一つの答えに辿り着いた。

「おめぇら!! ちょっくら先に行ってくるわ!!」
「ちょっと、悟空さん!?」

 彼はすぐに階段を駆け下り、宿を出た。そして山の方に身体を向けた。

―あっちのほうだな…。

「ふん!!」

 悟空は空を飛んで、山の方へと向かっていった。
 実はその山の麓にある盗賊団のアジトが置かれてあった。しかし、今では断末魔の叫びが耳を覆いたくなるほど無様に鳴り響いていた。あちこちが火に覆われていた。
 沢山の盗人達が必死に逃げていた。

「お助け…、お助けをぉぉぉ……」

 一人がある人影に命乞いをしていた。ある人影とはリナであった。彼女はそんな男を見て嘲笑していた。

「ふふ〜ん……。逃がさないわよ〜〜〜っ!!!!」

 しかし、こんなことがリナの快楽であった。

「“炎の矢(フレア・アロー)”!!!」

 リナは数本の炎の矢を作り出し、彼に向かって飛ばした。彼はすぐに逃げたのにこけてしまった。

「おおお助けって言ったのにぃぃぃ!!!!」

 すると人影が盗賊の一人を捉え、その呪文を回避した。炎の矢はそのまま真っすぐ進み、塔に直撃して大爆発した。

「ふえっ…!!?」

 リナは一瞬疑った。
 一方、盗賊は目を押さえていたものの、少し違う感覚に気付いた。両足を揺らしても何も当たらないのだ。ゆっくりと目を開けた。

「なななな何じゃこりゃあああああっ!!!?」

 リナはその悲鳴にハッと気づいてすぐに見上げた。そこには盗賊の一人を前屈みになって抱えた悟空の姿があった。

「ご、悟空…!!!」
「反省してんだったら、ふつうは許してやるもんじゃねぇのか?」

 悟空は格闘が大好きだが、どちらかと言うと平和主義であった。しかし、リナはジタバタと踏んでいる。

「ちょっと邪魔しないでよ!! あたしはね、今情報収集にちょー忙しいの!! とっととそのクズをあたしによこすのね!!」
「い、いやだぁぁ!!! 誰があんな凹胸の悪魔の元に―」
「“炎の矢”!!!」
「おわぁっっ…!!!」

 すぐに悟空はリナの呪文を回避した。

「あっぶねぇなぁ…!! …ってあれ? あいつは…」

 手の感覚が消えている。今の勢いで手が滑り、盗賊を落としてしまっていた。

「どええええええっ……!!!!」

 真っ逆様に落ちていき、地面に激突した。リナはゆっくりと近づいていき、リナは彼の襟首を掴んで持ち上げた。

「盗品の中に“異界黙示録”があるでしょ!? あんたらさっさと大人しくだしなさぁぁぁいっっ!!!」

 リナは男を強く前後に振って問い詰めた。

「はぁっ、クレア…? 何それ…?」
「えっ…? あっそ…。…はずれちゃったかな?」

 リナは彼を離した。そのまま彼は気絶したのだった。彼女は“異界黙示録”を探していたのだった。まず情報を集めないとと彼女は先ほど言っていたが、彼女なりに細かく探していたのだった。
 悟空が着地し、リナのもとに歩いた。

「こりゃあ、こんな時間にみんな起きちまうのも無理はねぇよなぁ…」
「う〜〜ん…。まっ、気を取り直して次いこっか!!」
「いいっ!? おめぇまだ懲りねぇんか!!?」
「リナーーーーーっ!!!!」

 リナが次のアジトへと進み始めた。彼はすっかり困り果てていた。しかし、急に彼女の足が止まった。ガウリイ達もこの場所に到着したのだった。

「あららららら……!!」
「なんだこの有様は!?」

 誤魔化したくても誤魔化しきれないほど派手にやらかしてしまったリナの顔から焦りが浮かび上がった。

「それはその……、悪党を倒してお金もザクザクッとね!! あ〜盗賊いじめはやめられな〜い!! って……、その…」

 そう言って誤魔化そうとしたが、さらに4人の気分を悪くさせるだけだった。特に、正義と言う概念を愛するアメリアは憤慨していた。彼女から見てはただの情けない暴行に過ぎなかったのだった。

「おい、リナ…」
「いや……、その……」
「リナさん…、いつもこんなことやってたんですかぁっっ!!?」
「いいっ…!」