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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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「あなたに協力するのは、“異界黙示録”の写本を手に入れるまで! その後のことまでは、あたしは保証しないわ」

 リナはゼロスを指差して条件を突き付けた。ゼロスの口元が緩んだ。

「いいでしょう…」
「そうと決まれば、早速盗賊団のアジトに案内して!! “竜の牙”だか“ドラゴンヘッド”だか知らないけどねっ!」
「おし〜い! 盗賊団の名は、“闘竜血団マッチョバトラー”!!」

 リナの予想は明らかに外れた。いや、あっているのはただ一つ。名前に“竜”の字が入っていることだ。

「と…」
「闘竜血団…」
「マッチョバトラー…!?」
「ま、マッチョ…? なんだかすっごい嫌な予感がする…」

 悟空達はすっかり混乱していた。
 いつものリナは盗賊団の撲滅に楽観的な考えを持っているが、マッチョという言葉を聞いて、今回はある意味そう簡単にはいかないと不安に思ったのだった。

***

 悟空達はその“闘竜血団マッチョバトラー”と珍妙な名を持つ盗賊団のアジトに向かうことにした。まず悟空が気をうまく隠して、外見だけ下見してみた。

「あいつらか? でも、大して強い気は出てねぇな…」

 悟空は一度ビビったものの、冷静になると、そう思った。莫大な要塞型のアジトの入口に、獣の仮面とマントを被る2人の門番がいるのだが、時に胸をピクピクしたり、誰も見ないのにボディビルダーのように筋肉自慢をしたりしているからだ。
 名前からわかるように、盗賊団一筋肉美にこだわる盗賊団で有名なのだ。しかし、その割には力が強靭なのだった。ただ、悟空からしてはイチコロなのだが。
 悟空はリナ達の元に戻り、外の様子を報告した。そして作戦を練り始めた。

「リナ、もしかしてまたさっきみたいに突撃するつもりか?」
「いいえ…ってそれはそれ、これはこれっていうもんよ!! さすがに今回は迂闊に突撃できないわよ」
「そうですよね。その盗賊団が逃げる際に誰かが写本を持ちだしてはキリがないですからねぇ」

 アメリアはそう言った。リナは彼女の方を向いた。

「…そうだわ!!」
「なんだ? なんかおめぇついたんか?」
「ちょっといい?」

 アメリアに目を向けると、突然リナは作戦を思いつき、後の3人に話した。

「えええっ!!? 私がですかぁっ!!?」
「あなた、セイルーンのお姫様でしょ? その肩書を利用してアジトに入りこむっていうのよ!!」
「そんなぁぁっ!! 私にそんな脇役みたいな役割なんて無理ですよ!!」
「脇役だなんて、何言ってるのよ? いい? あなたにはねぇ、あそこの鍵になる素質を持ってるの。それだけの価値で十分よ!」
「そのような価値のままで散るなんてそんなの出来ませんよ…!!」

 何故かアメリアは驚き、真向に拒否した。しかし、悟空とガウリイは納得していた。

「とは言っても…、俺はリナの提案に賛成かな?」
「ガウリイさん!!?」
「オラもだ。他にも何もいいの思いつかねぇしな…」
「悟空さんまでっっ…!!?」
「ようし!! 全員一致と決まれば作戦決行よ!!」
「わわ私はまだ認めてないですよリナさんっっ!!!」
「問答無用!!!」

 結局アメリアは彼女のシナリオに弄ばれる羽目になったのだった。
 それにしても、何故彼女は動揺しているのか。それはリナの考えついた作戦からだった。

***

 悟空達は身を潜め、例の2人の様子を窺っていた。未だにいつも通りの行動と見張りを両立していた。
 リナは小屋にいた時はあれほど余裕をこいていたものの、実際に来てみると急に下降気味になっていた。『百聞とは一見に如かず』とはこのことだろう。特に女子陣は気味悪がっていた。

「リナさんリナさん…! やっぱり危ない人達です…!」
「う〜っ…! でもここまで来たらジタバタしない…!」
「さぁて、とっとと行くとすっか…!」

 こうして作戦が開始された。リナとガウリイ、悟空は門番の前に現れたが、何故かアメリアに限っては縛りつけにされ、地面に引き摺られていた。

「オッス!! いっつも御苦労さん!!」
「んんっ?」

 門番はリナ達の方を向いた。
 というのも、アメリア以外全員は何処かの盗賊が付けていそうな衣装を身に纏っていた。リナは髪を縛って眼帯を付け、ガウリイは笹の葉を広げて張ったカチューシャを付け、悟空は帽子を被ってさらにコートを被っていた。

「あたしはさすらいの賞金稼ぎ、リリー!」
「同じくガウリイ!」
「そしてオラ悟空!」

 皆さんもご存知のように、“リナ”のままだとすぐにばれるので彼女のみ偽名を使っている。
 また、リナの作戦はこうだ。

 第一段階:アメリアを引き渡す
  ↓
 第二段階:門番にボスの元に案内してもらう
  ↓
 第三段階:ボスに写本の居場所を教えてもらう
  ↓
 第四段階:手に入れる

 アメリアの肩書を使うというのは、国の王女を明け渡すということであった。ここが気に入らなかったのだった。これでは暫くの間閉じ込められて、結局は何も活躍できないじゃないかと思ったのだ。
 少し棒読みであったが、色々喋りまくり、彼らに信用させようとした。

「ん〜っ…、ほっ!」

 すると了承したのか門番の一人がポーズをとって、胸の筋肉を痙攣させた。リナは引いていた。

「あいつ、またやりやがったな」
「おいリナ…! どうやら胸ピクピクしないと入れてもらえないようだぞ…!」
「おっしゃあーっ! 胸ピクピク〜っ…って出来るかぁぁっ!!!」
「がぁっ…!!」

 リナはガウリイに頭突きを喰らわせた。
 彼女のコンプレックスを突いたのか、本気で言ったのか、あの時の彼の本意は未だにわからない。

***

「ああっ…!!」

 早速アメリアは牢屋に放り込まれた。すぐに門番を睨んだが、また彼が筋肉を見せつけると急に恐れの色が彼女の顔に現れた。

「こ…、怖い…」

***

 一方悟空達はもう一人の門番に案内されていた。

「なぁリナ、今んところうまくいってんのか…?」
「さぁ…? 中に入れたってことはうまくいってるんじゃない…? あとは敵のお頭からうまいこと写本の在り処を聞きだすだけ…。その間見計らってアメリアが脱走騒ぎを起こせばいいから…」
「そうか、そのどさくさに紛れて写本を手に入れればいいんだな…?」
「ピンポ〜ン、ガウリイにしては上出来。うまくいくよね?」
「ああ…!」

 とうとうボスがいるとされる部屋に辿り着いた。門番がゆっくりと扉を開け、カーテンを上げていく。

「さてと…」

 ここからが本場である。ボスと対面して写本のある場所を聞き出すだけだ。

「「いいっ…!!?」」

 しかし、ボスの第一印象はあまりにも強烈だった。門番に比べてさらにワイルドな体つきをしている男が土台の上で胡坐をかいて、肉を貪り食っているのだからだ。
 リナやガウリイは、『引いている』と『ビビっている』の狭間の状態であった。

「うへぇっ…」
「かなり濃いなぁ…」
「いや、普通じゃねぇか?」
「どこがよ!」

 悟空のみはそういう者を見ることには慣れていた。様々な戦いで経験を積んだからである。
 ボスは悟空達を一目見ると雄叫びを上げ、頭の上で腕を組み、大きな声で笑い始めた。