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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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 未だに能天気なままであった。もう我慢できないと思い、ここで一喝しようと思った彼女。

「なっ―いてっ…!!!」

 しかし天井裏のさらに天井に頭をぶつけてしまった。

「でも、敵を欺くにはまず味方からともいいますし! ねっ?」

 するとゼロスは人さし指を自分の唇に触れ、さらにそれをリナのに触れたのであった。彼女の顔が一気に真っ赤に染まった。

「『ねっ』っっって…!!! ごまかすなぁぁぁぁっ!!!!!」
「さてと、行きましょうか!!」
「ぐぅぅっ…!!! 人の話を聞かんかい!!!」

 リナがリアクションしてもなお彼はマイペースのままだった。女に慣れているような態度、自分達を道具にするような狡猾さ、どんな時でも愛想笑いを振りかけるなど様々な要素を兼ね揃えている謎の青年ゼロス…。
 2人は下の様子を窺ってみると、空気が違っているような気がした。
 何故ならもう一人ここに現れたからだ。ゼルガディスである。

「うおおおおっ!!! …ぐはぁっ…!!」

 ボスは写本を取られまいと彼に立ち向かったが、一振りで撃沈した。

「安心しろ、峰打ちだ」

 しかし、峰打ちにしては音の鳴りが何かおかしい。確かに峰で打って、ただ気絶させたはずだ。なぜズバッとすっきりするような効果音がなったのか。まさかと思い、自分の剣に目をやると、彼は冷や汗をかいた。

「すまん…! これは両刃だった…!!」

 剣が両刃だったことをすっかり忘れていた。何故いつも使う剣の刃元の種類を忘れていたのか…? 昔みたいに殺すつもりはなかったのだが、ただ謝ることだけでしかできなかった。
 リナはぶら下がった状態で声をかけた。

「こらゼル!! さてはあんた最初から抜け駆け狙ってたわね!!? 別行動のフリして、あたし達のあとをつけてきたんでしょーが!!!」
「悪いな。 この件に関してはお前に譲るつもりはない」
「ちょっと……!! ゼル!!」

 ボスが掴んでいた写本の一部を拾うと、そのままこの場を去っていった。

「おやおや…。まずいですねこれは…」

 するとゼロスの姿が消えた。一瞬何が起こったのかリナには理解できなかった。
 燃え盛る中、ゼルガディスは目的を達成できたと思い、大いに満足していた。後は自分の縄張りに戻ってそれをじっくり読み、方法を見つけるのみだ。

「さてと…。写本を手に入れたからにはここにはもう用はない。なんだか利用してしまったようだが、悪く思うなよリナ…」

 今この場所にいないリナに話しかけた。でも今では彼女達には関係ない。すっかり、彼の顔からは笑顔が浮かんでいた。
 しかし、そういうのも束の間、嫌な気を感じ取った。前を見てみると、炎の中に謎の影がゼルガディスの方を向いていた。ゼロスであった。彼は悟空の瞬間移動のような能力を使って先回りしていたのだ。

「き…、貴様…!!」
「すみませんが、先に中を確かめてもらいますよ…!」

 するとまたもや瞬間移動を使って、ゼルガディスから写本をスッと奪い取った。

「しまった…!!」

 そしてゼロスは柱の上で座り込み、じっくりと写本の中身を確認しようとした。勿論ゼルガディスは納得がいかない。

「貴様ぁぁぁっ……!! とっとと俺にそいつをよこせぇぇっ!!!!」
「今渡しますよ。私に用がないものだと分かればね…」

 ゼルガディスは普段は冷静のままでいるが短気でもある。すぐに取り返そうと彼は必死であった。

「“炎の矢”!!!」

 ゼルガディスは炎の矢を数本ゼロスに目がけて飛ばした。しかし、見えない結界がそれを無効化した。

「なんだとっ…!!?」
「せっかちな人ですねぇ…」

 リナもゼルガディスとゼロスを追いかけてここに辿り着いた。

「ちょっとゼロス! ゼルには情報を提供するという約束でしょ!? とっとと降りてきなさいよ!!」
「構うなリナ…。もう…、止めても無駄だぞ…」

 ゼルガディスはもう臨界点に突破していた。リナは止めようとした。ゼロスの顔から初めて笑顔が消えた。

「“ボム・ディ―”」
「あああ!!! ダメダメェェッッ!!!!!」
「“ウィーーーンッッ”!!!!!」

 ゼルガディスは風の力を爆発的に発揮し、リナがいるのもかまわずに周りにあるもの全てを吹き飛ばした。その呪文の強大な力で、見事にアジトを破壊してしまったのであった。

***

「やっべっっ…!!」
「うおおっ…!!?」

 悟空はガウリイの肩を掴み、瞬間移動した。後に残った獣人達は次々と落ちて来る破片の餌食になったのであった。

***

「いたたぁぁ…。…うぇえっ…!!?」

 アメリアはやっとの思いで破片をどけた。しかし、またもやそれより大きな岩が落ちてきた。
 と思いきや、彼女の背後に悟空達が現れ、彼女の肩に触れると破片が落ちて来る前に姿が消えた。

***

 リナ達がいる所に悟空達が現れた。

「悟空さん!! ガウリイさん!!」
「おお、わりいな。オラとガウリイはちっと忙しかったからつい忘れちまうとこだったわ!」
「酷いですよ2人とも!!」

 ガウリイはすっかり廃墟となってしまった様を見回していた。どおりでリナが恐れたほどだ。たかが写本の事で、こんな狭い所で問答無用に発動するとは、なんたる魔剣士であろうか。
 しかし3人はリナの茶番だとすっかり思い込んでいた。

「おそらくリナのことだから、また派手にやらかしちまいやがったな」
「リナさんもですよ!! 私があのみすぼらしい牢屋の中でどんな過酷な目に遭ったか…!!」
「あれ? ゼルもいたのか?」
「えっ…?」

 悟空の視線の先にはゼルガディスの後ろ姿があった。

「ゼルガディスさん!! …それにしても、どうしてここにあるとわかったんでしょうか?」
「さあ…? さっき俺達にあんな態度を取ってたけど、やっぱり写本に目がないんじゃないのかな?」

***

「やはり奴らは雑だなぁ…。手段も性格も何もかも…。欲深き者は、どんな手だてを使ってさえもせしめようと必死になる…。これが人間の欲望という理なのだろうか…?」

 燃え盛るアジトを眺めながら嘆く男がいた。外見から見て40歳過ぎであり、頭から膝までのマントを被り、蝙蝠杖を立てていた。実際杖を立てなくても普通に自分で立つことはできるのだが、彼には何故か欠かせないのだった。

***

 ゼルガディスは息を切らしていた。さきほどの“風魔咆裂弾(ボム・ディ・ウィン)”でよほどの魔力を消費したのであろう。
 彼の前にの前に写本がひらひらと落ちてきた。彼は一枚ずつ丁寧に拾った。すると同時に勢いよくリナが顔を飛び出してきた。

「くらぁぁぁゼル!!! あたしはどおでもいいんかぁぁい!!!」
「これさえあればな…」
「ぐぐぐぐぐ…!!」

 リナは苦虫を噛み潰したような思いでいっぱいであった。

「まさか、この有様はリナじゃなかったとなぁ…」
「たまにゼルもこんなことやるもんなんだなぁ…」

 悟空とガウリイ、アメリアは隠れて様子を窺っていた。

「あとさ、ゼルのやつ写本手に入れたんじゃねぇか…!?」
「ホントだ…!! でも意外とあんな紙きれだったとはな…!」