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GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

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 『命取りになるだけよ』…。そう言いかけたリナなのだが、急に2人の口論が中途半端なところで止まった。彼女の顔が一気に沈み、それとは裏腹に、彼女にはある感情が湧き上がっていた。

「ちょっと待って…、今アタシのことなんて呼んだ…?」
「“ぺちゃばあさん”! あちらこちらでは“米寿”、“まな板”、何故だが知らんが“関東平野”って言われてるもんだから、オレが総括的にそのあだ名をわざわざ考えてやったんだ。 感謝するんだな!」

 ロンは指を一本一本折りながら、躊躇なく即答した。
 なんて躊躇という言葉を知らない男なんだ…。悟空、ガウリイ、アメリア、ゼルガディスは途轍もない焦りを抱いていた。そんな平気にリナの導火線に火をつけるなんて、命知らずにもほどがあると思っていた。
 リナは強く掌を握っていた。勿論怒りで満タンだった。

「何が感謝よ…。てかそんなことはどうだっていい…。それよりもあんた…、触れてはならんことを好き勝手にぶちまけおって…!!」
「ほ〜れほれほれ、やれるもんだったらやってみろ」
「おいおい待てって2人とも!! こんなとこでわざわざケンカするこたぁねぇだろ?」

 そして喧嘩に発展してしまったのだった。また、リナとロンの両者が魔法を使おうとしたので、慌てて悟空達が仲介に入った。こんな狭い所で使っては生き埋めになってしまう。

「まったく…。たかがコンプレックスで時間を無駄に潰しやがって…」
「誰のせいでそうなったのよっっ!!?」
「お前だろ?」
「違うわ!!」

 結局喧嘩は中断されたが、因縁は残ったままだ。この洞窟を出たら、“竜波斬”か何かでぶっ飛ばしてやる…。特にコンプレックスのことに突いてきたのがどうしても気に食わなかったのだった。
 しばらくして彼らは最初の関門に辿り着いた。一本『危険』と書かれた立て札が置かれてあったとはいえども、何も無く、ただの道にしか見えなかった。

「ここに立て札があるけど、どう見たって何もないよなぁ…?」
「あのねぇ、そう見えるけど裏に何かあるというパターンが必ずあるってもんよ。みんな、気をつけて!」

 リナは仲間に念を押した。確かにそういうパターンがないとは限らない。周りを見渡しながら一行はその道を渡っていった。
 しかし、とは言っても何も起っていなかった。なんだ、ただの脅かしだったのか…。そう思っていた悟空達。
 その時だった。急にリナが放っていた光が急に消えた。

「あれっ?」
「急に消えた…」

 一瞬途轍もなく、背筋が凍るような不安を感じ、ロンは足を止めてゆっくりと見下ろした。

「どうかしたのか?」

―地面が……、まっ、まっ黒……!?

 足場が…、ない…。
 全員がその場に足を踏み入れたと同時に、足場が一瞬で消失していたのだった。ロンが下に指を差すと、つれて見下ろした他の人達も焦燥感を感じた。

「やな感じ〜…」

 ロンは顔を上げ、そう呟いた。

「「「「「うわぁぁぁあああああっ……!!!!!」」」」」

 同時に悟空達はそのまま等速直線運動の状態で落下していった。

「なんでこうなるのぉぉっ…!!?」
「リナぁぁっ…!!! 何とかしてくれぇぇぇっっ……!!!」
「くっ…!! こうなったら…、“浮遊(レビテーション)”!」

 この時の為にこの呪文がある。リナは咄嗟にその呪文を発動した。
 しかし、ただ見上げた先の一筋の光が輝きを失っていくばかりだった。そう、空を飛べていないのだった。

「ええっっ!!?」
「ウソっ…!!?」
「呪文が使えないだと…!?」

 アメリアもゼルガディスも呪文を唱えるものの、何も起きなかった。もしかして、今日は女子に限っての“ある日”なのだろうか。いや違う。とっくにその日は過ぎたはずだし、ゼルガディスにはそんな日はない。

「ちょっとおっちゃんっっ!! どういうことよ!!?」
「そんなん、天才魔道士のお前がオレに訊くことかぁっ?!! …そうだ、今オレ思い出したんだが、罠のあちらこちらに封魔陣を敷いていたことを聞いたような…」
「それを最初に言わんかぁっ!!」

 しかもこの穴は奈落の底のようで、同じようにここの犠牲になった者達も少なくないようだった。

「そんなぁっ…!!! こんな狭いところが私達の墓なんてイヤですよぉぉっっ…!!! まだ正義の為にやらなきゃいけないことがいっぱいあるのにぃぃっっ…!!!」
「おーい!」

 リナ達は悟空の声のした方に顔を向けた。
 何ということなのだろうか。悟空だけが宙に浮いていたのだった。このまま落下していくリナ達と対照的に彼は見下ろしていたのだった。

「ごっ、悟空さん!!?」
「どうやらオラは何ともねぇみてぇだぞ!」
「『何ともねぇ』って…!! そんなとこでノホホンと見下ろしてないでアタシらをどうかしろぉぉーーいっっ!!!」

 悟空はリナの方へと飛んで行き、まず彼女の手を掴んだ。

「みんな掴まれっ!!」

 そのままゼルガディス、ガウリイ、アメリアとロンが?まっていく。そして悟空はUターンして一気に穴の外へと急上昇していく。

「だりゃああああああっっ!!!!」

 彼は一気に腕を振り上げ、彼らを投げ飛ばした。

「「「「うわあぁあぁあああああっっっ!!!!」」」」

 彼らは弧を描いて飛んで行き、地面に叩きつけられた。悟空が着地すると、『いててて…』などのうめき声が耳に入った。

「わりいわりい!! つい勢いに乗っちまった!!」
「だからってアタシらを軽々しく投げ飛ばすことはないでしょーーがっっ!!!」
「いいじゃないか。これで最初の関門を通過できたんじゃし…」

 頭をさすりながら笑う悟空に突っ込みを入れるリナに念を押した。

「でも、どうして悟空さんだけが使えたんでしょうか?」
「そうよ!!」
「ああ、どうやらオラの“舞空術”は何ともなかったようだ」

 “翔封界”や“浮遊”などの風系の魔法は勿論魔術の類に入るものなので、今封魔陣に足を踏み入れているリナ達には発動不可である。
 ただ、この名前からしては魔法だけを無効化するので、“舞空術”など身体中の気、ここでは所謂精神系に類する手段とは一切関係はないようだ。だからである。

「なるほどね…。…ってそれを先に言わんかっ!!!」
「いやぁ、おめぇらの使う魔法と気は似てるようなもんだからさぁ、すぐに気付けなかった」
「世の中似て異なるもんがゴマンといるというもんだろ。こんな話しとる場合じゃないんだがな。…さてと日が暮れぬうちに、とっとと魔道書を手に入れてしまうのが先決じゃないのか、お前ら」

 ロンがそう言うと、一行は出発した。

「け〜〜〜っ…!! 何よさっきから人をコケにするような態度して!!!」
「お前も同類じゃないのか?」
「一緒にするな!!」

 それ以降も、吊り天井や無数の吹き矢などの典型的な罠に困っていた。しかも、そこでも封魔陣が設置されているらしく、魔法が使えなかった。ただ、そういう飛び道具などに関してはガウリイの光の剣で対処してきた。光の剣はもともと精神などを集中することによって光の刃を作り出すので、これもまた魔法とは関係がないことに等しかったからだ。