二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

GO NEXT! -最強魔道士達と最強戦士の珍道中膝栗毛!?

INDEX|9ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

 その人々の中に、馬に跨り、ティアラとピンクのドレスを身に纏った女の子がいた。どこかの国らしき国旗の旗を掲げ、後ろには2人の家来を連れていた。彼女はリナの姿を見ると驚いた。
 リナもまた彼女を見つけると驚いた。

「り、リナさん!!?」
「あ、アメリア!!?」
「リナさぁぁぁん!!! お久しぶりですぅぅっ!!!」

 するとアメリアと呼ばれたその人はリナに飛び込んだ。リナは彼女をキャッチし、うまく着地させた。

「アメリアじゃないの! どうしたの、いい服着ちゃって!」
「なんだ? 知りえぇなのか?」

 悟空がリナ達のもとに向かって尋ねた。

「そういえば悟空には初めてだっけ? この子はアメリア!! あたしに一生懸命貢いでくれてる最高の仲間よ!!」
「あらっ…!! 貢いでくれてるって、今まで私達はそのためだけの関係だったんですかっ!!」
「冗談よ冗談!!」

 彼女の名は、結構長いが、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンである。彼女は“セイルーン”と呼ばれる、世界的にも有名な大国の王女である。しかし、この前はリナ達と共に旅をしたり、共に魔族と戦った事があるのであった。

「ところでリナさん、この見慣れない服を着たこの人は…?」
「オッス、オラ孫悟空!! ちっとこいつに世話になってんだ!! よろしくな!!」
「孫悟空!!? あの“西遊記”のですか!!? …でも…、実物は意外にも人の身体をしてるんですねぇ…」
「あのねぇ…」

 リナが今の彼女の一言に呆れながらそう言った。悟空はその意味が分からなかった。

「なんだ、アメリアじゃないか!」
「はっ、ガウリイさんも!!」
「よっ!」

 ガウリイも人ごみの中を通ってリナ達のもとに来た。そしてアメリアはあちこちに倒れているゴロツキの人達が目に入ってきた。

「それにしても、相変わらずですね…」
「まあね」
「でも、こんなところでリナさん達にまた会えるなんて…、…何をしてたんですか?」

 アメリアはリナに尋ねた。

「何をしてたのってそりゃ、ゾアナの魔道書を見に来たに決まってんじゃないのよ!」

 リナは笑いながら答えた。

「そういうアメリアは違うのか?」
「ああ、私はお父さんの代理で…、…あっ…!!」

 すると言いかけた矢先に途中で台詞を切り、首を振って、何故か台詞を変えた。何やら内緒にしたかったようだ。

「そっ、そうなんです! 私もゾアナの魔道書を見に来たんです!」

 3人は彼女の行動に不信感を持つようになっていた。今の彼女の誤魔化し方でそう感じ取ったのだった。
 すると焦ったままアメリアは後ずさりし始めた。

「じゃっ、じゃあ…、私には他に行くところがありますから…、この辺で…。それじゃ、そういうことで!!」

 アメリアは馬に跨り、砂煙を立たせながら、目にもとまらぬ速さで去っていった。
 3人はただ困惑しながら見届けることでしかできなかった。

「…え…?」
「なんだ…?」
「アメリアっちゅうやつ、そういやなんであんな派手なドレス着ちゃってんだ? ひょっとして、ここの王女様なんか?」

 いや、ここの王女ではない。むしろ、ゾアナ王国の王女はアメリアとは全く正反対の考えを持っているのであった。
 それでは、その王女がどんな人なのか見てみよう。

***

 城下町で見上げるとよく目立つ所に立っている城。その中では例の王女、マルチナ=ゾアナ=メル=ナブラチロワと、その父親であるモロス国王が話しあっていた。

「お父様、セイルーンの使者が到着したとか!」
「うむ、フィリオネルの奴め、自分の娘を送ってきおった」

 フィリオネルとはセイルーンを統治している“王子”であり、アメリアの父親でもある。ちなみに、何故その人が国王ではなく王子なのかはまだその父親が国王に在位中であるからだ。しかし、病弱のため、代わりにフィリオネルが治めているのであった。

「ということは…、セイルーンはまだわが国の誠意に、確信を持っていないと…?」
「さて…、それはどうかな…? 何しろ喰えん奴だからな…。だが、セイルーンがどう出ようとも、いずれ世界は我が手に…」
「その通りですわ、お父様」

 このやり取りから察するに、世界征服という、決してよからぬ目論みを立てているのであった。
 すると、2人は少しずつ笑い始めた。

「「はっははははははは!!」」

 そして大笑いに発展した。よほどゾアナ王国の戦力に自信があるのであった。
 しかし、2人は急に笑うのをやめ、目を合わせると、またそれより大きな声で笑い始めた。もっと大きくした方が悪者らしいのかと思ったに違いない。
 今度はモロスが急に息を切らし始めた。どうやら調子に乗り過ぎたようだ。また、一つ懸念していることがあった。

「はぁ、はぁ、はぁ…。時にマルチナ…」
「なぁに、お父様」
「このレリーフ外しちゃあいかんか? 不気味でしょうがないんだが…」

 モロスが王席の背後の壁に掛けられている、金銀と半分半分に塗り分けられ、五か所に角のようなものが生えている顔のレリーフを指差しながら、マルチナに尋ねた。

「あら、かっこいいじゃありませんか。私の信じる、魔人ゾアメルグスターですのよ」

 マルチナがそう言い返す。
 そんな彼女の父が心配していること、それは全く証明の付かない謎の人物を、マルチナが崇拝していることだった。

「お前の趣味をとやかく言うつもりはないが…、わしの玉座に掛けるのはちょっと…」
「却下いたします」
「そうか…」

 そっぽを向いたマルチナに即却下され、モロスは項垂れた。父親と言えども、あまり勇気がなかったのであった。

「それよりも、今はセイルーンの使者を…」
「…なぁに…、小娘も一人や二人、どうにでもあしらえんわい…。それとも、フィリオネルの娘を人質に取り、一気にセイルーンに攻め込むとするか…」

 彼は立ち直り、今後の計略を立てていた。アメリアを出しに使って、侵攻しようという卑怯な手段を採用しようとしていた。

「フィリオネルの娘はなかなか魔道に長ける者だと聞きます。そううまくいきますかしら…?」
「どれほど魔道に長けようとも心配はいらん。…のう、魔道士どの。」

 モロスがある方向に視線を向けた。マルチナもつられて、顔を向けた。
 そこには、アイボリー色のマントを被り、マスクを着けている、ターコイズの肌とアイリスの髪をした男が立っていた。鋭い視線が2人を見ていた。

「すっ、すてき…」

 しかし、マルチナは見てすぐに惚れた。
 この人もまた、アメリアと同じ、いやそれ以上に魔道の技術が長けているのであった。2人はもはや勝負あったと確信した。

***

 一方パーティ一行は街中を歩いていた。行先は城である。2つの目的を果たすために行くのであった。

「あのアメリアの態度、明らかにヘンだったわよね…」
「いつもあんなもんだった気もするけど、ちょっとな…」
「あれじゃあ、実はなんかの事件に絡んでますと言ってるようなもんよ」

 リナはある確信を持っていた。

「絶対、なんかの事件に関わってるに違いないわ!! それであたし達を巻きこませまいとして、わざとよそよそしく振る舞ったのよ」